ボクシングには空手や拳法、キックボクシングなどからの転向者が多いが、世界王者になるのは簡単ではない。ボクシングとムエタイが同じコミッションのタイはムエタイ出身の世界王者が多い。それ以外の国では少ない。日本では日本拳法の渡辺二郎と伝統派空手の徳山昌守の2人。フルコンタクト空手が定着し、キックボクシングやK−1も一世を風靡(ふうび)した時代があったのに、いまだに2人というのも意外だ。
空手出身の私は異種からの世界奪取に興味があって、その意味でライト級の土屋修平(26)=角海老宝石=とスーパーフェザー級の尾川堅一(25)=帝拳=に注目している。前身は土屋がキック、尾川が日本拳法。ともにパンチが強く、右ストレートとフックを武器にKOデビュー。全日本新人王も獲得した。
その土屋と尾川が厳しいプロの洗礼を浴びた。土屋は15戦目、尾川も9戦目でレフェリーストップのTKO負け。尾川は顎を複雑骨折、2度の手術を経て6月1日に1年ぶりにTKO勝ちで再起戦を飾った。土屋も7月25日、約半年ぶりにリング復帰する。彼らにはぜひ、世界王者への夢を実現してほしい。 (格闘技評論家)
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