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福島沿岸の漁業 試験操業から1年
6月22日 7時19分

福島沿岸の漁業 試験操業から1年
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東京電力福島第一原発の事故のあと、ほとんどの漁の自粛が続く福島県沿岸で、一部の魚介類に限って試験的に漁が始まってから22日で1年になりますが、水揚げは震災前の1パーセントにも満たず、本格的に漁が再開される見通しは立っていません。

福島県沿岸では、原発事故のあと魚から基準を超える放射性物質が検出されてほとんどの漁は自粛が続き、福島県漁連は、基準を超えることがなくなった一部の魚介類に限って試験的に漁を行っています。
試験的な漁は去年6月22日に始まってちょうど1年になり、販売先は東京の築地市場や関西にも広がっていますが、漁の対象はタコやカニ、コウナゴなど16種類にとどまっています。
主力のカレイ類やタラなどの漁が再開できていないため、この1年間の水揚げ量は250トンと、震災の前の年のおよそ2万6000トンに比べわずか0.9パーセントにとどまっています。
漁業者や流通・加工業者の経営のためには対象の拡大が必要ですが、16種類以外の魚介類は基準を超えることがあるため、対象が大幅に拡大され本格的な漁が再開される見通しはたっていません。
福島県漁連の野崎哲会長は「今は試験的な漁を続けて、福島県沖の魚を安全に流通させる態勢を作り消費者の理解を得ていきたい」と話しています。

取れる魚の種類拡大を

福島県の相馬双葉漁協で試験的な漁の検討委員会の委員長を務めている佐藤弘行船長は、この1年間の取り組みについて「当初に比べれば対象の魚介類の種類も増えて少しずつ前進していると感じている」と話していました。
ただ、本来なら大きな収入源となるカレイ類やタラなどは今も国の出荷制限の対象になっていて、佐藤さんは「水揚げが少ないと漁業者の意欲も弱まってくるので、取れる種類を広げて水揚げ量を増やさないと試験的な漁そのものが下火になってしまう」と話していました。

この状況続けば撤退も

試験的な漁で水揚げされた魚介類は、地元、相馬市内の流通業者が作る組合が出荷・販売しています。
震災前から取引があった首都圏や関西などの市場に協力を求めて出荷先を確保していますが、競りは行わずに話し合いで価格を決めることが多く、価格は震災前の6割程度にとどまっているということです。
流通業者の組合によりますと先月の売り上げ総額は200万円余りで、運送費や人件費などの経費を差し引くと、利益はおよそ34万円しか残らず、活動に参加した12社で分けると1社あたりおよそ3万円でした。
多くの業者は他の県の魚や安全が確認されている川魚などを扱ってしのいでいる状況だということです。
組合に参加する流通業者の高力秀明会長は「試験的な漁の魚だけを扱っても経営は成り立たない。この状況が続けば撤退する業者も出てくるのではないか」と話しています。

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