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故井上ひさしさん作詞の歌碑建立 JR釜石駅前

被災者を励ました釜石小校歌を刻んだ歌碑=JR釜石駅前

 青春時代の一時期を岩手県釜石市で過ごした劇作家・作家の故井上ひさしさんが作詞した釜石小校歌「いきいき生きる」と「ひょっこりひょうたん島」の歌碑が23日、JR釜石駅前に完成した。東日本大震災の1年前に亡くなった井上さんが残した二つの歌は、被災した市民を励まし続ける。「復興のシンボルとして後世に歌い継ごう」。こんな思いが市民に広がっている。
 それぞれの歌詞を刻んだ歌碑2基、説明の碑1基の計3基で、いずれも御影石製で高さ約1.5メートル。事業費は200万円。釜石ロータリークラブ(RC)が札幌市と東京立川市、岩手、宮城両県の仲間の協力を得て建立し、市に寄贈した。
 井上さんが2003年に作詞した釜石小校歌は、校歌特有の校名や自然描写がない歌詞で、当初は関係者の間で戸惑いがあった。
 「いきいき生きる ひとりで立って まっすぐ生きる」
 「困ったときは 目をあげて 星を目あてに まっすぐ生きる」
 歌詞の内容は、市民に徐々に浸透。震災時、避難所となった釜石小体育館では、市民が毎朝、全員で校歌を歌い、互いに励まし合ったという。
 NHK人形劇の主題歌で知られる「ひょっこりひょうたん島」も、苦しさや悲しみを乗り越え、泣かずに笑って前へ進む内容の歌詞が、被災者を元気づけた。
 ひょうたん島は、隣接する岩手県大槌町の蓬莱島がモデルとして注目されるが、「釜石人にとっては釜石湾の三貫島こそ、ひょうたん島」(釜石RC)という思いを、市民に再認識してもらう狙いもある。
 井上さんは山形県川西町出身。上智大に入学した1953年、都会生活に悩み、母が暮らしていた釜石市に一時帰省。2年間休学し、市立図書館や国立釜石療養所で働きながら、後の文学活動の基礎をはぐくんだ。
 現地であった除幕式には、井上さんの義姉で市内に住む井上淑子さん(76)ら関係者約80人が参加。釜石小児童らが、校歌やダンスを披露し、建立を祝った。
 釜石RCの埜木隆司会長は「被災してもくじけず、前を向く勇気を井上さんの歌詞からもらった。釜石ゆかりの井上さんの功績を、市民の心の復興につなげたい」と話している。


2013年06月24日月曜日


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