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ソリッドステート・リレー 概要


ソリッドステート・リレーは、半導体を使った無接点リレーで、高速高頻度動作が可能です。ここではソリッドステート・リレーの概要を解説します。

関連情報

ソリッドステート・リレー(SSR)とは

●SSRと有接点リレーの違い

SSRとは、ソリッドステート・リレー(Solid State Relay)の略で、可動接点部分がないリレー(無接点リレー)のことです。動作的には有接点リレーと変わるところはありませんが、サイリスタ、トライアック、ダイオード、トランジスタなど、半導体スイッチング素子を使用したリレーを言います。またフォトカプラと呼ばれる光半導体を用いて、入出力間を絶縁しています。フォトカプラは絶縁された空間を光の信号で伝達を行うので、絶縁性もよく、伝達速度も速いのが特長です。
SSRは、接点のない電子部品で作られているため、有接点にはない多くの特長を持っています。中でも、有接点リレーのような開閉による接点の消耗がないことが最大の特長です。
特に、●高速・高頻度開閉に対応できる
    ●接触不良がない
    ●ノイズ発生が小さい
    ●動作音がない
など幅広い分野での用途に適しています。

ソリッドステート・リレー(SSR)の構成

ソリッドステート・リレー(SSR)(交流負荷開閉の代表的な例)

電磁リレー(EMR:Electro Magnetic Relay)

コイルに入力電圧を印加することで、電磁力を発生させ、可動鉄片を動かします。これに連動させて接点を切り替えます。制御盤だけでなく広く使用されています。しかも原理も簡単でローコストに仕上げることができます。

●SSRの制御(ON/OFF制御、サイクル制御、最適サイクル制御、位相制御)

ON/OFF制御は温度調節器の電圧出力信号を受け、SSRをON/OFFすることでヒータをON/OFFする制御です。電磁リレーでも同様の制御は可能ですが、数秒間隔でON/OFFする制御で数年間使用する場合は、SSRが必要になります。
サイクル制御(形G32A-EA)は0.2秒(固定)を制御周期とし、0.2秒間をON/OFFさせることで出力電力を制御する方式です。温度調節器の電流出力4~20mAを受けて制御します。
最適サイクル制御の基本原理は、半サイクルごとにON/OFFを決定するゼロクロス制御です。出力の時間平均が正確に指令値に一致するような波形が出力されます。
ゼロクロス機能(ゼロクロス精度)自体は従来のゼロクロス制御と同じですが、従来のゼロクロス制御が制御周期の中の一定時間連続してONするのに対し、半サイクルごとにON/OFFが切り替えられるので出力精度が向上できます。

サイクル制御(最適サイクル制御)での注意点

サイクル制御を行うと1秒間に5回(制御周期0.2sのため)突入電流が流れる事になります。
トランス負荷は突入電流が非常に大きいので(定常電流の約10倍)

  1. SSRの定格に余裕がないと、SSRの破壊を招く。
  2. 負荷回路上のブレーカのトリップが生じる。

という現象が起こる可能性があります。よって、サイクル制御でのトランス一次側の電力制御はできません。

位相制御は温度調節器の電流出力4~20mAの信号を受け半サイクルごとに出力量を変化させる制御です。高精度な温度制御が可能であり、半導体製造装置に多く使われています。

ON/OFF制御

ローコスト・ノイズレスでメンテナンスフリーを実現。

サイクル制御

ノイズレスで高速応答可能。

最適サイクル制御(高精度ゼロクロス制御)

通信による多点のヒータコントロールが可能。
ノイズレスで高速応答可能。

位相制御(単相タイプの場合)

精密な温度制御が可能。
ヒータの高耐久性化を実現。

●MOS FETリレーの構成と動作原理

MOS FETリレーは出力素子にパワーMOS FETを使用したSSRです。パワーMOS FETを動作させるために受光素子としてフォトダイオードアレイを使います。電流が入力端子に流れるとLEDが発光します。この光でフォトダイオードアレイに光起電力を発生させ、これがゲート電圧となってパワーMOS FETをオンさせます。2個のパワーMOS FETをソースコモンで接続することで、AC負荷の制御が可能になります。DC専用にパワーMOSFETが1個のタイプがあります。

シグナル用MOS FETリレー形G3VMにはバリスタは含まれていません。

●MOS FETリレーの名称

比較的歴史の新しい商品であり各社がさまざまな名称、商標を付けています。下表にシグナル用(形G3VM相当)の例を示します。

メーカ名カタログでの名称
東芝フォトリレー
松下電工Photo MOSリレー
日本電気光MOSFETリレー
沖電気光MOSスイッチ
沖田製作所Photo DMOS-FETリレー
HPSolid State Relay
オムロンMOS FETリレー
SSRの内部回路構成例
負荷仕様ゼロクロス
機能
絶縁方式回路構成形式
交流負荷用有 *1フォト・カプラ
形G3H
形G3B
形G3F
形G3NA(AC入力)
フォト・
トライアック
形G3NE
形G3J
形G3F
形G3H
形G3TA-OA
有 *1フォト・
トライアック
形G3PA-VD
形G3PE(単相)
形G3NA(DC入力)
形G3NE
形G3F-VD
形G3H-VD
形G3B-VD
有 *1フォト・
トライアック
形G3PE-2(N)(三相)*2
有 *1フォト・
トライアック
形G3PE-3(N)(三相)*2
有 *1フォト・カプラ
形G3NA-4□□Bタイプ
形G3PH
形G3PA-4□□Bタイプ
直流負荷用フォト・カプラ
形G3FD、形G3HD-X03
形G3BD
形G3TA-OD
形G3NA-D
フォト・ボル・
カプラ
形G3HD-202SN
交流・直流
負荷用
フォト・ボル・
カプラ
形G3FM

*1. ゼロクロス機能
   ゼロクロス機能を有するSSRは、交流負荷電圧がゼロまたはその付近で動作します。
   このゼロクロス機能をもつSSRには次のような効果があります。
   ・負荷投入時のクリックノイズを小さくする。
   ・ランプ、ヒータ、モータなどの負荷では突入電流がおさえられるため、電源への影響を小さくでき、また突入電流保護回路を低減できます。
*2. 200Vタイプに関しては、出力開閉素子にトライアックを使用。


最終更新日:2013年06月24日