日々の仕事や雑事は「個人アウトソーシング」してより価値のある活動に時間を使う

2013.06.22 11:30
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「アウトソーシング」とは、業務の一部を外部の会社(おもに海外の会社)に委託することを示すビジネス用語です。この考え方を私たちの生活に取り入れた場合、日常生活のタスクの一部を、ほかの人に安い賃金で行ってもらうことを意味します。

「個人アウトソーシング」という言葉を最初に広めたのは、米国の男性誌『Esquire Magazine』のA.J. Jacobs氏です。Jacobs氏は2005年の記事で、インドにいるアシスタントチームを安い時給で雇い、生活のどの部分までを任せることができるかについて、ユーモアを交えながら説明しています(この記事自体が、委託した人物に書かせたものでした)。

「効率性」という面では、個人アウトソーシングは驚くほど価値があります。アウトソーシングを利用すれば、1日24時間という限られた時間をより有意義に過ごせるようになりますし、自分が重要な仕事に取り組んでいる間に、ほかの人が買い物や税金の支払いなど生活の雑務を済ませてくれます。この記事では、より価値のある活動のための時間がほしい方向けに、ほかの人にアウトソーシングが可能な作業についての初歩的な内容をご紹介します。


はじめに知っておきたいこと

個人アウトソーシングを行う上で必ず把握しておくべきことは、「あなたの時間はお金に直すとどれくらいの価値があるか」ということです。通常は時給で計算しますが、この金額が、アウトソーシングするだけの価値があるかを判断する唯一の基準になります。

例を見てみましょう。米商務省によると、カリフォルニア州の住民1人あたりの年収は3万8956ドルです。平均的な労働者は、朝9時から午後5時まで1日8時間働き、週5日勤務を1年52週間続けます。つまり、1年間に260日、または2080時間働いていることになります。そして年収3万8956ドルを2080時間で割ると、時給は18ドル73セントとなります。

この計算からは、平均的な人の1時間には、18ドル73セントの価値があると見られることがわかります。もちろん、実際の時給の計算では、通勤時間や、仕事について考える時間、会社の行事に費やした時間、残業時間など、労働時間以外にも考慮すべきことはあります。ただし、ここではシンプルな例を挙げるのが目的なので、カリフォルニア州の平均的な労働者は1時間につき18ドル73セントの価値を持つと仮定して説明を続けましょう。

この数値を見て言えるのは、1時間につき18ドル73セントまで行かない仕事はアウトソースできるということです。当然ながら、仕事の価値を計算する時は、「自分がその仕事を終わらせるのにかかる時間」と、「委託した人がその仕事を終わらせるのにかかる時間」とを比較する必要があります。

例えば、税金の申告書類を作成するのに、あなたが作業すれば2週間分の週末のほとんどの時間が費やされるとしましょう。少なくとも20時間が必要だとすれば、そのコストは374ドルです。同じ仕事でも、税理士ならたったの2日で終えられるかもしれません。おそらく速いだけでなく、あらゆる面を考慮に入れて、ミスのない処理をしてくれるでしょう。

アウトソースすべき仕事が何かわかったら、次の問題は、「その仕事の代わりに自分は何に取り組めば良いのか」ということです。あなたが起業家であればその答えは明快で、「ビジネスに専念する!」でしょう。いっぽう、従業員の立場であった場合には、答えは少し曖昧なものになります。この場合は、金銭面やほかの面から見て、アウトソースした仕事よりも大きな価値を持つ仕事に時間を費やすべきです。仕事での将来性を考えて勉強したり、副業を始めたりするのも良いですし、友人や家族と充実した時間を過ごしたりするのも良いでしょう。


アウトソースできる仕事

アウトソーシングには「オンショア」と「オフショア」の2種類があります。「オンショア」とは仕事をアウトソースする相手が自分と同じ地域に住んでいる場合を指し、「オフショア」とはアウトソースする相手が海外や別の州など、自分とは別の地域で暮らしている場合を指しています。以下に挙げる例のほとんどは、オンショア、または地元でのアウトソーシングとなっています。その理由は、オフショアの人たちが引き受けられる仕事の種類には限りがあることと、オフショアの人を管理するには、別の記事を用意しなければならないほど複雑なノウハウが必要になるからです。

以下に、アウトソースできる仕事の例をあげてみましょう。


  • 洗濯:家族構成にもよりますが、洗濯は手軽にアウトソースできる仕事のひとつです。米国のほとんどの主要都市では、大抵の人が1週間に少なくとも1時間半から2時間は洗濯に時間を費やしています。この推定は標準的な洗濯量にかかる時間のものですが、量によってはもっと多くの時間が必要になります。そのため、洗濯の機会費用は、約28ドルから37ドルとなり、さらに洗濯機を回すための電気代が別にかかります。地域情報のコミュニティーサイト「Craigslist」などを使えば、これよりも安い金額で洗濯をしてくれる人を比較的簡単に探せるでしょう。
  • 食料品の買い物:筆者がサンフランシスコに住んでいた時は、週に2回、1時間くらいかけて食料品店まで行き、買い物を済ませたら、買ってきたものの包装を外す作業を行っていました。けれども今振り返ってみると、ほんのわずかな料金を支払えば(または一定の金額を超えれば無料で)食料品を家まで配達してもらうことができ、ビジネスのための時間を確保できたはずです。
  • 庭の手入れ:自宅に花壇や芝生の庭がある人は、芝刈りや水やりを専門業者に依頼することで、自分のための有用な時間を作ることができます。また、業者は適切な作業用具を持って来るため、あなたが自分で道具を買いそろえる費用を省くことができます。
  • 日常の雑務:これは、郵便局で列に並んで順番待ちをすることや、クレジットカード会社への電話、銀行に行くなどの用事が含まれます。もちろん、金融的な取引など他人には任せられない用事もありますが、それ以外はすべて自分でやる必要はありません。近所にお小遣い稼ぎをしたいと言っている若い人はいませんか? 心当たりがある場合には、お駄賃を渡して、封筒を郵便局まで届けてもらいましょう。クレジットカード会社や銀行に電話で相談する必要がある時は、オフショアの仮想アシスタントを探し、時給4ドルであなたの代わりに電話をかけてもらうこともできます。
  • メイド・清掃業者:ここからは「高価」なアウトソーシングになります。毎週メイドや清掃業者に自宅まで来てもらうのは、大概の人にとって贅沢なイメージがあります。けれども、「Craigslist」やあなたの住む地域の地元求人誌を利用すれば、おそらくあなたよりもずっと短時間で効率よく清掃作業をしてくれる人が見つかるでしょう。
  • 料理・食事の準備:自宅にシェフを呼んで食事を用意してもらえれば素晴らしいのですが、料金も相当なものになります。より良い方法としては、「地元で出前サービスを行うお店に毎日食事を届けてもらう」という方法があります。料金はなるべく前払いにし、メニューは1日あたりの品目数を指定して、メニューの組み合わせはお店の側で毎日変えてもらうようにします。こうすれば、何を料理しようかと頭を悩ませることがなくなります。
  • 運転手:通勤時間が長く、移動中に生産的な活動に取り組みたい場合は、運転手を雇うと良いでしょう。「JangoMail」の最高経営責任者(CEO)も、過去の記事で「運転手を雇うことが、ビジネスを成長させる上でどのように役立ったか」について述べていました。


アウトソーシングするか、しないかの境界線は曖昧

ここまでは、主にアウトソースが可能な日常の単純作業について見てきました。けれども、アウトソーシングには別の種類もあります。例えば、あなたの職場で、退屈で単調な事務作業が生じたとします。この場合、この作業をインドなどにいるアシスタントに安い料金でアウトソースしてもよいのでしょうか。当然、これには仕事に対する責任の問題も関わってきますから、あなた自身で判断するしかありません。アウトソーシングするか、しないかの境界線は、ますます曖昧になってきているのです。


ちょっとしたヒント

  • 「お金のやり取りが伴わない取り引き」や物々交換が可能ではありませんか。親は子どもと、「家の手伝いをしてくれれば、あとで1時間遊んでもいいよ」といったやり取りをいつも行っています。同じことを、ルームメイトや家族、近所の人々、友達とも行ってみましょう。例えば、あなたがコインランドリーへ行く代わりに、ルームメイトには毎週食料品の買い物に行って来てもらうというのはどうでしょう(コインランドリーなら、待ち時間に読書などの生産的な活動に取り組むことができますし)。
  • 地元の人を探しましょう。アウトソースする仕事は、実際に自宅まで来てもらう必要のあることがほとんどです。また、相手に直接会ってコミュニケーションが取れるため、誤解を生む可能性も少なくなります。
  • 指示はわかりやすく、誤解のないコミュニケーションを。作業を依頼する相手には、はっきりとした指示と、相手に自分の要望が正確に伝わるコミュニケーションを心がけ、誤解が生まれないようにしましょう。仕事内容をきちんと理解しているか、最初に確認しなかったばかりに、同じ仕事をやり直してもらうような事態は避けたいものです。
  • クリエイティブになりましょう。ほかの人には引き受けてもらえなそうだな、と思う仕事はいろいろとあるでしょう。けれども、人の考えはみな違います。そのような仕事の依頼を受けてくれる人がいるかどうかは、実際に質問をしてみなければわかりません。


人材の探し方

アウトソーシングを請け負ってくれる人を探す方法は数多くあります。

地元の人に仕事を依頼する場合は、米国内では最大手のサイト「Craigslist」が便利です。多数の応募者の中から適任者を選ぶのには時間がかかりますが、その価値は十分にあります。

専門性の高い仕事を依頼する場合は、「Odesk」や「Elance」が、最も人気の高いオンライン市場です。

遠隔地から行ってもらう雑多な仕事を依頼する場合は、「Fiverr」にアクセスしてみましょう。5ドルで提供されるサービスの豊富さには驚かされます(誕生日に歌を歌ってくれるといった、ちょっとした楽しいギフト的なサービスもあります)。

サンフランシスコのベイエリアに住んでいるなら、「TaskRabbit」をチェックしてみましょう。


すべきこと

  • あなたの時間は、1時間あたりどのくらいの価値があるのか計算してみます。
  • 毎週行ってはいるものの、本当はその作業が嫌いで、むしろほかの人に頼みたいと思っている作業について考えてみます。
  • こうした作業をアウトソースするための広告を「Craigslist」に投稿します。
  • アウトソーシングによって生まれた時間を生産的な活動に充て、有意義な時間を楽しみます。


Personal Outsourcing: How to Get More Than 24 Hours Out of Each Day | Asian Efficiency

Aaron Lynn(原文/訳:丸山佳伸/ガリレオ)

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