国の基準を超える放射性セシウムが検出された原木=高島市提供
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高島市は二十四日、同市マキノ町蛭口にあるJAの倉庫に福島県産シイタケ原木が保管され、一部から国の基準を超える放射性セシウムを検出したと発表した。
原木はJAが福島第一原発事故直後の二〇一一年四月に購入。市は今年四月に県からの連絡で把握した。ビニールで密閉してあり倉庫周辺の放射線量は通常値と変わらない。福井正明市長は「状況を把握していた県からの連絡が遅れたのは残念」と述べた。
市とJAマキノ町によると、原木は一昨年四月、同JAが福島県内の業者から約二千本を購入。マキノ町内の農家に販売した後の同年九月、県の調査で原木の表面から平常値を上回る放射性物質を検出した。同年十二月に県が農家に販売自粛を要請し、シイタケが出荷されることはなかった。原木は昨年七月にJAが引き取るまで野ざらしの状態だった。
今年四月に国の事業で放射性廃棄物の処理に補助金が出るようになったことに伴い、この原木が対象になるとして県から市に初めて連絡があったという。市の要望を受けた県が今月四日、国の規定に沿って倉庫の原木の一部を検査したところ、三検体から国が定める五十ベクレルを上回る七十〜二百四ベクレルの放射性セシウムを検出した。
今後の原木の処理についてはJAマキノ町と福島の販売業者の間で続いている返品交渉の推移を見守るという。
(山内晴信)
◆県「風評被害」を懸念、自治体名公表せず
県は二十四日、県庁で会見し、原木が保管されていた経過などを説明した。福島産の原木が流通したこと自体は二〇一一年十二月に公表していたが、「風評被害につながる」として具体的な市町まで明らかにしていなかった。今回は「ごみ処理が絡む可能性がある」として自治体名も公表したと説明した。
県は一一年九月、林野庁からの情報提供で、高島市内の農家が福島産の原木を購入したことを把握した。農家に出荷自粛を求めた際に、具体的な市は明かさぬよう強く求められ公表を控えたという。
原木の処理については今後、JAと業者の交渉次第だが、仮に高島市で焼却や埋め立て処分することになっても数値的に環境や人体への影響はほとんどないとみる。ただし住民の同意などは「必要になる可能性もある」とした。
(井上靖史)
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