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震災関連死 審査会の認定判断に差 自殺など対応分かれる

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による避難生活に伴う震災関連死(原発事故関連死)で、県内市町村が設置した9つの審査会の認定判断に差が出ていることが23日、分かった。自殺などを関連死と認めるか否かで対応が分かれている。市町村からは「公平を期すため県が審査会を設けるべき」とする声が出るが、県は「市町村で行った方が実態に即して判断できる」としている。

■申請できないケースも
 双葉郡8町村は合同で一つの審査会を設けているが、審査件数は最多の847件で認定率は93・8%に上る。514件を扱う南相馬市は79・5%、195件のいわき市は56・9%と50%を上回っているが、91件の飯舘村は46・1%となっている。
 市町村関係者によると、震災と原発事故から2年以上が経過し、死因と原発事故の因果関係の見極めが難しくなっているという。
 ある審査会は避難生活でうつ病を患って自殺した人を不認定としたが、別の審査会は同様のケースで因果関係を認めた。また、避難生活中に発症した病気が一度回復したが、その後、別な病気にかかって亡くなった人を認定した審査会がある。対照的に、病気が回復した時点で災害との関わりはなくなったと判断した審査会もある。
 一方、居住する市町村に審査会が設置されていないため、審査の申請ができない問題も浮上している。未設置の田村市で昨年8月、70代男性が避難先の仮設住宅で病死した。市によると、男性は長期の避難生活で心労を重ねていたという。
 厚生労働省は震災後、市町村の負担軽減のため、都道府県が審査会を設置することを特例で認めた。岩手、宮城、本県の被災3県では、本県のみが審査会を設けていない。田村市は「(災害弔慰金の審査は)生命・財産に関わる問題。訴訟に発展する可能性もあり、市町村単位では処理しきれない」と県に審査会の設置を繰り返し要望してきた。しかし、県に対応する動きがないことから、今秋の審査会設置を目標に準備を始めた。
 県は審査会を設けない理由として「原発事故による避難経路が市町村ごとに違う。それぞれの市町村で審査会を設置した方が、きめ細やかに被災者を救済できる」と説明している。
 被災三県の認定率は本県が82・0%で最も高く、宮城県は75・1%、県と市町村で独自の統一基準を設けている岩手県は57・2%となっている。
 川俣町は今月、審査会を設置し21日現在、9件を審査している。

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