番外編 優しきおじさん
唐突だが、自己紹介させてもらおう。
私の名はオルータ・ハッカス。
なかなかのイケメンである。
そして、幼少の頃より、ひたむきに最強を目指してきた馬鹿野郎である。
才能がないと師に見放され、才能ある仲間たちとも別れた。
そんな私が才能に目覚めたのは、ごく最近である。
そこからの私の成長は著しかった。
日に日に力を付けていき、気づけばAランクハンターだ。
今は、ダンジョンに一人で潜る日々である。
そんなある日、Aランクダンジョンにレベル不相応な若者達がやってきた。
よくいるのだ、自分たちの力を勘違いし急に高レベルダンジョンに潜る連中が。
探索者として初心者を卒業し、迷宮での戦闘にも探索にも慣れてきた者。
この時期の探索者がもっとも死亡率が高い。
私は優しいダンディなおじさんだ。
彼らの後をつけ、いざとなったら助けてやろうと考えた。
助けたあとで、
パニックになった彼らが襲ってくるような恩知らずなら、返り討ちにするまでだ。
若者は4人組で動きまわっている。
やけに道をするすると進むが、
駄目だなと、私は思っていた。
足取りが遅すぎる、もし偶然モンスターに出会ったらあれでは逃げきれない。
そしてーーーーー来た。
彼らの向かう先、薄暗い闇の中から、青色に輝く目をした、巨大な岩の竜が一匹、姿を現した。
予想通り、若者は達は驚き絶望した。
しかし、一番小さな少年が前に出て剣を構えた。
………。
何というか、恐れを知らないというか馬鹿というか、彼は正気なのだろうか。
そんなことを思っているが、たまには魔物に殺されそうになっている者を助けたりしているのだ。
心優しい私は、未熟な彼らを見て自らの若い頃を思い出し、神の如き慈悲を持って助けてやろうかと思っていたのだが…………、
なんと少年は岩竜を真っ二つに斬った。
私でも岩竜を狩るのには1週間かかる。
いるのだな、天才と言うやつは。
…村に帰ろう。
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