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【静岡県知事選 2013】

<終盤戦ルポ>(上) 組織戦 熱く駆ける 広瀬一郎さん

雨が降り続く中、石破茂自民党幹事長(左)の応援演説を受ける広瀬一郎さん(右)=浜松市浜北区で

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 十一日夜、浜松市浜北区の遠州鉄道浜北駅前。急きょ県内入りした自民党の石破茂幹事長が小雨の降る中、広瀬一郎さんとともに街頭に立った。「昨年の衆院選の勝利を生かすため、一緒に仕事できる知事を選んでほしい」。党本部推薦ではないものの、「自民の広瀬」を印象づけた。

 三島市出身で名門藤枝東高、東大でサッカー部に所属。「体力と気力には自信がある」。イメージカラーの赤いシャツに、日焼けした顔がよく映える。

 七日のJR沼津駅前では、沸き起こる「イチロー」コールに演説を終えた途端、駆けだした。ひょいとガードレールを跳び越えると、さっと道路を渡って支援者の輪に飛び込む。「東部は完ぺきに勝ちたい。よろしくお願いします」「十六日はイチローで」。投票日をもじった冗談で、笑いも誘う。

 出馬を表明したのは四月に入ってから。知名度不足は織り込み済みだ。陣営幹部は「とにかくたくさんの人と会って、握手しよう」と指示。応援演説が続く間、弁士の横に立たず、ひたすら聴衆の間を回ることもある。

 演説での訴えは明快だ。具体的な政策にはあまり触れず「時間の都合上、割愛します。お配りしたビラを見てください」。代わりに訴えるのが「ねじれの解消」だ。

 「私の能力、政策以前の問題として、ねじれを解消しないといけない。実行を阻害する仕組みをなくさないといけない」

 ここ静岡県では国政、県議会を押さえる自民党と知事が対立する構図が続く。陣営はこのねじれ状態の打開に向け、政権への追い風を利用したい考え。広瀬さんと政権与党との近さを前面に打ち出す作戦だ。

 八日夕、静岡市葵区の繁華街でマイクを握った古屋圭司国土強靱(きょうじん)化担当相は「強靱化計画で優先順位を付けるには、知事の意見を聞かないといけない」と指摘。その上で「現職には一回も会っていない。これは本当に心配」と、川勝平太さんをけん制した。

 女性票の取り込みにも力を注ぐ。「女性は会ってくれればファンになる」と陣営幹部。県連の要請で、党中央から橋本聖子議員や片山さつき議員、野田聖子総務会長、高市早苗政調会長らが応援に駆けつけた。

 推薦する団体は告示後も増え、三百以上に上る。街頭演説の場所には、強力な集票力を誇り、県内各地にくまなくあるJAグループの支店を選ぶことが多い。かねて親交があり、前回知事選で三十三万票を得た静岡維新の会顧問、海野徹元参院議員の支援も得た。

 徹底した組織戦に乗る広瀬さんは「出馬を決意したとき、情勢判断で一喜一憂するのはやめようと思った。残された時間、しっかりとこなしていきたい」。試合終了の笛が鳴るまで、走り続ける。

(加藤隆士)

    ◇

 十六日投開票の知事選は終盤戦に突入し、三候補の選挙戦はますます熱を帯びている。県内各地で懸命の訴えを続ける各候補の戦いぶりを追った。

 

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