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【静岡県知事選 2013】

川勝流を問う(下)

◆前哨戦 自民「組織戦で勝算」

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 川勝平太知事の就任以来、対立してきた自民党県連。「知事の言葉は実現性がない」と知事の言動への反発を原動力に対抗馬擁立に動いた。昨年の衆院選圧勝、党と安倍内閣の高支持率の余勢で「参院選の前哨戦」(杉山盛雄前県連幹事長)と位置付ける。

 二月中旬から県連幹部三人が人選を開始。現職国会議員、中央官僚ら十数人に打診したが、いずれも固辞された。多摩大教授(当時)の広瀬一郎氏と最高幹部が接触し、やっと前向きな感触を得たのは三月上旬。広瀬氏は家族の説得などに時間がかかり、意思確認が遅れた。広瀬氏から出馬の確約を取り付け、擁立を決めたのは四月八日だった。

 擁立にはこぎ着けたものの、相手は現職知事。知名度不足は否めない。それでも、自民幹部は「われわれは七十万票取った自力がある」と自信を見せる。

 前回選で川勝氏は政権交代の前哨戦と位置付けて勢いに乗る民主党の推薦を受け、次点の自公推薦候補を一万五千票差で破った。自民幹部のいう「自力」とは、自民に逆風だった前回選でも僅差に迫った組織力に裏打ちされる。今回も「徹底した組織選挙で勝てる」と従来型の戦いを展開する作戦だ。

 しかし、自民支持層は広瀬氏支持で一枚岩ではない。川勝氏を支援する勝手連の中心メンバーには自民衆院議員の有力な支援者が複数名を連ねる。その一人は「国政は国政。知事選は知事選。人物本位だ」と割り切る。

 本来は政権与党を支持する財界も自民の期待通りではない。重鎮の鈴木修スズキ会長兼社長は川勝氏支持を早々と表明。鈴木会長ら財界トップ十六人が川勝氏支持を打ち出し、十三日には有志が石破茂幹事長らに広瀬氏の党本部推薦の見送りを求めた。

 杉山前県連幹事長は「十六人のうち三分の一以上が広瀬氏支持か、川勝氏不支持に転換した」と切り崩しに自信を見せるが、ある関係者は「中央では自民は政権与党だが、経営者が地元の現職知事を支援しない、と言えるのか」と打ち明ける。

 党本部推薦が得られるかどうかは勝敗を左右すると県連幹部はみている。テレビで何度も顔が映る著名な国会議員が県内入りすれば、広瀬氏の知名度向上につながる。ただ、財界の要請に加え、川勝氏には安倍晋三首相、森喜朗元首相らとの人脈があり、党本部の判断は不透明だ。

 近く対応を決定する友党の公明党県議団、広瀬氏の推薦を党本部に上申した日本維新の会県総支部との連携にも期待する。共産党は十四日に党県副委員長の島津幸広氏擁立を発表した。

 組織戦に全力を傾ける自民県連に対し、政党の推薦を受けない川勝氏は「組織票で選挙するのは賢明かもしれないが、県民に判断を委ねたい」とあくまで川勝流を決め込む。

 県民の審判は一カ月後に下る。

(この連載は本田英寛、唐沢裕亮が担当しました)

 

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