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東電 放射性物質漏出 対策強化へ
6月19日 19時25分

東京電力福島第一原子力発電所で、海に近い観測用の井戸の地下水から放射性物質のストロンチウムとトリチウムが高い濃度で検出された問題で、東京電力は、井戸の水が周辺の海や土壌に漏れ出していないか、調査場所を増やすとともに、海に漏れ出さないよう、対策を強化することにしています。

福島第一原発では、2号機の海側にある観測用の井戸で採取した地下水から、先月から今月にかけて、放射性物質のストロンチウムとトリチウムが国の海への排出基準を上回る高い濃度で検出されました。
この井戸の水が周辺の海や土壌に漏れ出しているかどうかについて、東京電力は、近くの海の放射性物質の濃度に大きな変化はないとしていますが、海の濃度を測る場所や、観測用の井戸を増やして、詳しく調べることにしています。
また、井戸の水が海に漏れ出すのを防ぐため、近くの護岸の地盤を薬剤で固め、対策を強化することにしています。
東京電力では原発事故の直後のおととし4月、2号機の海側で高濃度の汚染水が地面を通して海に漏れ出しており、そのときにしみ込んだ水に混ざった放射性物質が、地下水と共に移動して、およそ30メートル離れたこの井戸で観測された可能性があるとしています。
また、近くには高濃度の汚染水が入り込んだ電源ケーブルを収める地下のトンネルがあり、東京電力は、このトンネルの状況などを調べ、原因の特定を急ぐことにしています。
一方、2号機のタービン建屋の地下には事故の影響で高い濃度の汚染水がたまっていますが、地下水のほうが水位が高いため、この汚染水が井戸に流れ込んだとはみていないということです。

福島県が東電に対策申し入れ

東京電力福島第一原子力発電所で観測用の井戸の地下水から、国の排出基準を上回る放射性ストロンチウムなどが検出されたことを受けて、福島県は19日午後、東京電力の小森明生常務を県庁に呼び、トラブルの経緯や今後の対策について説明を求めました。
小森常務は、「県民の皆さんにご心配をおかけし、心よりおわびします」と陳謝し、原因の特定と監視を強化するなど汚染の拡大防止に取り組む考えを伝えました。
これに対し福島県の長谷川哲也生活環境部長は、「廃炉に向けて汚染水の対策には万全を期すよう繰り返し求めてきたなかでのトラブルは遺憾だ。県民の思いや不安を厳しく受け止めて、さまざまな角度からリスクを検証し、安全管理を徹底するよう強く求める」と述べ、速やかに原因を特定し、汚染水の海への流出を防ぐ対策を講じるよう申し入れました。
このあと県は、担当者を集めて緊急の対策会議を開き、原発の周辺で独自に行っている海水の調査の地点や回数を増やすことなどを確認しました。
佐藤知事は、「周辺環境への影響について、県としても確認を進めるとともに、東京電力に対し、県民の声として、汚染水の拡散の防止などの対策を求めていく」と述べました。

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