「除染終了」説明 不安の声も6月23日 18時5分
原発事故の避難区域で住民の帰還を目指して進められてきた除染のうち、最初に終わった福島県田村市で23日、初めての住民説明会が開かれました。
しかし、放射線量が国の目標値を下回っていないところもあり、自宅に戻ることに対して不安を訴える声も聞かれました。
説明会は国と田村市が主催して午前と午後の2回にわたって開かれ、東部の都路地区の住民およそ130人が出席しました。
田村市の都路地区の一部は、住民の早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」に指定され、国が去年7月から行ってきた住宅などの生活圏の除染が先月終わり、今後、指定の解除に向けた調整が進むとみられています。
会合では環境省の担当者が、放射線量はおおむね半減したものの、住宅の玄関前の1時間当たりの放射線量は高さ1メートルの平均で0.27マイクロシーベルトと、国の長期的な目標値の0.23マイクロシーベルトを上回っていることなどを説明しました。
このあと非公開で意見交換が行われ、住民からは放射線量が下がりきっていないところもあるとして、自宅に戻ることに対して不安を訴える声も出たということです。
環境省側は、除染の効果を確かめるため、今後も放射線量を定期的に測定するとしましたが、それ以上の具体的な説明はなく、内閣府の担当者が、住民の要望を踏まえてインフラや医療など生活環境の整備を進めながら、避難区域の解除の時期を検討していく考えを示したということです。
原発事故の避難区域がある11の市町村で、国による除染作業が終わったのは田村市が初めてで、今後、住民の帰還に向けた具体的な動きが出てくるものとみられます。
説明会に参加した農家は
田村市都路地区は、ことしの作付けからコメを作ることが認められ、一部の農家でコメ作りを再開しています。
説明会に参加した農家の男性は、「除染が始まった当初は、0.23マイクロシーベルトまで下げるという説明だったので、そこまでは除染してほしいと言ったが、秋に改めてモニタリングをするのでそれまではやらないということだった。来年から農業を再開したいので、自宅に泊まれるような形にしてほしい」と話していました。
別の農家の男性も、「作物を作ってもいいし、作付けをしてもいいという条件が出ているので、帰りたい気持ちはあります。ただ、子どもたちは線量を下げてもらわないと帰宅できないと思うので、完全に帰宅できるよう、放射線への対策をしてほしい」と話していました。
内閣府「話し合いを」
避難区域の住民支援などを担当する内閣府の井上博雄参事官は、説明会の終了後、記者団の取材に応じ、「早く自宅に帰って農業を再開したいという人がいる一方で、放射線量などまだ不安だという声もある。仮に避難指示が解除されたからといって、帰るかどうかは政府として強制するわけではなく、一人一人の判断になる」と述べたうえで、「きょう以降、避難指示の解除に向けて田村市や住民と話し合いをしていきたい」と述べました。
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