米国:情報収集体制が判明…プログラム4種が監視
毎日新聞 2013年06月17日 12時13分(最終更新 06月17日 12時47分)
【ワシントン及川正也】米ワシントン・ポスト紙は16日、米国家安全保障局(NSA)によるテロ対策を目的とした通信情報収集体制を報じた。電話とインターネット情報のそれぞれについて、電話番号やアドレスなどの「メタデータ」と、通話やチャット内容など「コンテンツ」を収集する計四つのプログラムで構成されているという。公になった「プリズム」はその一つで、いずれもブッシュ前政権(2001〜09年)の後期に導入され、オバマ政権が引き継いだとみられる。米国の「監視社会」の一端が明らかになった。
同紙によると、運用されているプログラムは(1)メタデータを電話情報から収集する「メインウエー」(2)メタデータをインターネット情報から収集する「マリーナ」(3)コンテンツを電話情報から収集する「ニュークレオン」(4)コンテンツをインターネット情報から収集する「プリズム」の四つ。
当初は「ステラーウインド」との総称で呼ばれたが、ブッシュ政権内で違法性を指摘され、再構築されたという。
メタデータは「数兆」に上り、時間、場所、端末、参加者などが分かるが、交信内容は収集しない。英紙が報じた米通信大手に米国人の通話履歴の提出を裁判所を通じて求めたのは「メインウエー」による運用という。
また、米英紙が報じたインターネット大手9社の中央サーバーに接触して交信内容などの情報を入手したケースは「プリズム」の活動の一環という。
クリントン、ブッシュ政権でNSA局長を務めたヘイデン元中央情報局(CIA)長官は16日、米テレビ番組で、デジタル情報収集についてメタデータ系とコンテンツ系があることを認めたうえで「歴代の軍の監察総監が検証し、悪用はないと判断している。テロに限定した運用だ」と述べた。
◇「20カ国以上恩恵受けた」下院情報委員長
【ワシントン及川正也】米国家安全保障局(NSA)による海外との電話やインターネット情報の収集活動について、ロジャース下院情報委員長は16日の米テレビ番組で「数十のテロ計画を未然に防いで米国民を救っただけでなく、20カ国を超える国がこの活動からの情報の恩恵を受けた」と述べ、同盟国や友好国のテロ攻撃阻止にも役立っているとの考えを強調した。また、「強いプライバシーの保護を課している」と正当性を強調した。