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事件
【辛坊さん遭難会見詳報】声を詰まらせ感謝繰り返す
「数日前に北緯35度以北は低気圧の通過もあって、波が高くなるので危ないということで、ここ2日くらい進路を南に変えて北緯32度台まできていた。実は3日前に比べると海況はおだやか。見通しも非常にクリアで、風も1つの方向から吹いていた。波もさほど高くはなかった。恐らく3日前の海況だったらライフラフトに乗ることは無理だった。ライフラフトに乗った瞬間、そんなに海が荒れている印象はなかったのだが、その後、午後になって風が吹いてきた。海流の影響でライフラフトが北東方向に流され始め、時間を追うごとに風と波が強くなってきたという状況だった。ただ、ライフラフトには初めて乗ったのだが、とても安定している乗り物で、窓を開けて外の海を見てみると大変なうねりだったが、ライフラフトの中に乗っている限りでは、そんなに荒れている感じがしなかった」
「海上自衛隊の第1便の水上艇が来てくれるという連絡をもらったが、私の基本的な知識では3メートルを超えると、水上艇は着水できないというのがあった。窓を開けてみたら確実に3メートルをこえていたので、これはもしかして無理かもしれないと思った。夕方になってもう少し波が穏やかになると予測し、その後、もう一度救助に来てくれたと思うが、結果的に波は相変わらず高かった。普通のパイロットだったら降りないと思う、あの海には。救助してくれた方々は『こんな海でレスキュー活動したことがない。訓練でもしたことがない』とおっしゃった。本当にたった2人の命を救うため、11人の海自の皆さんが犠牲になるかもしれないというのに着陸(水)してくれた。僕は本当にね、ああこのすばらしい国に生まれた。これほどまでにうれしかったことはない」
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