消える剣
すぐさまダンジョンに向かおうとする兄達を制止し、
もう少し時間を置こう。
城には美人もいるし、ご飯も美味しい。
そんな、私の必死な説得が通じたのか、【秘宝の眠る海岸】へは1週間後に行くことに決まった。
おそらく、後者の影響が大きい。
私は、この一週間をどのように活用するかを必死に考えた。
兄達は実戦と連携の確認を繰り返すばかり。
このパーティーはなかなかバランスがいいが、魔法を使える者がいたほうが更にいい。
そう思い、私は城で魔法を使える者に訓練を受けることにした。
しかし、3時間訓練しても基本の発火魔法でさえ発動しない。
どうやら魔法の才能はない。
私が3時間費やしても進歩なしだ、才能のなさに疑いはない。
じゃあ、どうする?
結局、私は素振りに帰った。
実戦はやっぱり怖い。
素振りをしていると恐怖も紛れ、着実に進歩を感じとることもできた。
今まではただ振っていた剣だが、
次第に何かを斬るイメージをして振る大事さがわかってきた。
これも進歩した故の気づきだろう。
今の私は、岩竜を斬るイメージで振っている。
そんなイメージのこもった振りを一万回。
6日間続けた。
イメージのこもった一振りは、私の素振りをさらなる高みへと導く。
早さは格段に上がり、そこに柔らかみも加えられた。
おそらく常人ではもう、私の剣は見えないだろう。
もしかしたら、兄達も見えないかもしれない。
試しに目の前で振って見たが、
「剣が消えたっ」
ライ兄さんが期待通りの反応を示す。
1000倍の早さで進化する私は、素振りの来てはいけない領域まで来てしまったかもしれない。
臆病な私だが、今自信を持って言えることがある。
「今なら岩竜を斬れる」
と、調子にのってみたが、実戦経験のない私が、果たして動く相手に剣を当てることができるものなのか…
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