マッドキャッツがウメハラさんのスポンサーになったあのとき、日本人初のブロゲーマーが誕生した。

そこからどんどん日本人にプロゲーマーが生まれ、今では10人以上のプロゲーマーが存在している。

自分の趣味を仕事にするということについて、「趣味は趣味のままがいい」「仕事になったらもう楽しめない」などの否定的な意見を聞くこともあるが、僕はとても素敵なことだと思う。

もしも、ゲームをエンジョイできたままプロゲーマーとしてやっていけたとしたら、そんなに素晴らしいことはないだろう。

もちろんプロになれば結果を求められるし、そんなに簡単なことじゃないのは分かっている。

それに、上記のような「趣味を仕事にしてから」の問題もあるし、その前に「趣味を仕事にする」こと自体が難しい場合が多い。

例えば、趣味といえばスポーツ、ボードゲーム、ゲームなどがすぐ思い浮かぶが、そのジャンルで日本有数の実力者になれなければ、プロのプレイヤーになることは出来ないからだ。

そこで、日本有数の実力者になれないものたちが次に考えることは、ゲームだったらゲーム制作会社など、そのジャンルにプレイヤー以外の関わり方をすることである。(もちろん最初からゲーム制作が趣味の人もいるけど)

今回の記事は、そんな僕が就職活動をしたときの話し。















大学3年の夏休み、だんだんと周りの人間が就職活動をはじめていく。

そんな中、僕はまったく就活をはじめる気がおきず、当時稼動したばかりのスト4三昧の生活を送っていた。

ゲーセンが閉まるまでスト4をして、家でwikiや対戦動画を漁る。

そんな生活を続けていると、いつのまにか季節は冬になっていた。





冬にもなると、周りの大学生はほぼ全員といっていいほど就活にはげんでいた。

流石に就活しやなまずいな・・・そう考えた僕は、まず自分のやりたいことについて考えてみた。

所謂、自己分析というやつだ。

自分が一番好きなことはスト4、じゃあカプコン?でもカプコン大阪勤務しかない、とりあえず東京で就職したいな・・・。ほかにやりたいこと、大学では工学デザインを学んでいるけど、デザインにはまったく興味がないし、やりたいことなんてねえ。

結局どれだけ考えてもやりたいことは思いつかず、適当に目についた会社にエントリーするだけで合同説明会にも会社説明会にも参加していなかった。

少しずつ焦りはじめる。

困った僕は、母ちゃんに相談の電話をしてみた。

る「母ちゃん、まったくやりたい仕事ないんやけど何やったらええかな?」

母「あんたパソコン好きやしIT系の会社でええんとちゃう?」

る「わかったそうするわ。」





母ちゃんのおかげでIT業界を狙うことに決まったので、その日からIT系の会社にエントリーし、説明会を予約していった。

はじめての面接で派手に緊張してカス対応しかできなかったり、そのとき携帯を交換した女の子とメールをしていたら長年付き合っている自慢の彼氏の話しをされたり、色々なことがあった。あれは本当に悲しかった。

話しを戻す。

あまり多くの会社を受けたわけではないのだが、最初にエントリーした数社の中で、とあるインターネットビジネスを専門にやっているとあるIMJという会社の説明会にいったときに、エンジニア枠はほとんどとらないのでめっちゃ倍率高いですみたいな話しをされた。

会社も社員の雰囲気もオシャレ系で、こんなとこで働いたらセックスいっぱいできそうやなーでもエンジニア枠めっちゃ厳しいとか言っとるし記念受験ですなwドゥフw

とか思ってたら1次2次とぽんぽん受かっていき、何次か忘れたけどいつのまにか社長とのタイマン最終面接に辿り着いていた。

そのころ就活らくしょー!と思い切り調子にのっていた僕は、IMJ以外の会社へ就職活動にいってなかった。





最終面接当日、緊張している僕に、何度も話している人事が話しかけてくる。

人事「緊張してる?」

る「めっちゃ緊張してます・・・」

人事「そりゃそうだよね。でもね、エンジニア職には何千何万と志望者がいたんだけど、君はその中の数人に選ばれているんだよ!社長面接で落ちることはほとんどないし、今まで通りの自分を出せば、絶対内定だよ!頑張ってね!」

る「ありがとうございます!僕頑張ってきます!」





狭い応接室に通され、社長との最終面接がはじまる。

る「~大学の~といいます!宜しくお願いします!」

社長「元気いいな~ますわって。」

る「失礼します!」

志望動機、会社に入ってやりたいこと、一通りの質問に答えたあと、最後にこう質問された。

社長「君はあと何社ぐらい受けているの?」

る「何社かエントリーはしましたが、現在御社以外の会社は受けていません。」

社長「ふーん。それってさ、結構危ないよね。何でウチ以外は受けてないの?ウチが駄目だった場合はどうするつもりなの?」

る「私は御社の説明会や、それぞれ面接でお話しさせて頂いた社員の方々を見て、IMJで働きたいという気持ちが強くなったので、一社に集中して頑張ってきました。もしそれでも駄目だった場合は、私には足りないものがあったんだと諦めて、もう一度、一から就職活動をはじめていきたいと思います。」

めんどくさいから他社は受けてないだけなのに、適当な嘘をつく。

ここで社長は、わざとか分からないが、僕が伝えたいことを理解していないような返事をしてくる。

社長「ふーん。でもウチ秋採用とかないし、今回で採用活動終わりだよ?中途採用でまた受けるってこと?」

る「あ、駄目だった場合は、また就職活動頑張ります。」

社長「わかりました。じゃあ結果はまた後日メールでお知らせします。」

る「わかりました。ありがとうございました!」





応接室を出ると、人事が話しかけてくる。

人事「どうだった!?」

る「・・・ちょっと自信はないです。」

人事「うん、きっと大丈夫だよ!また連絡させてもらいますね。」

る「宜しくお願いします。」

帰りの電車の中で、社長との最後のやりとりを思い返す。

また就活頑張るっていうのを、またIMJ入るために頑張りますって意味にとらえられたんかな・・・もう今回無理やったら新卒では入れないって言われたのにとりあえずIMJ入るため頑張ります、みたいな意味に聞こえたかな・・・もっとはっきり言い直せばよかった・・・。

大きなモヤモヤをかかえたまま、僕は家に帰りオナニーして寝た。










数日後、あの人事から結果を記したメールが送信されてきた。

結果は、不合格だった。











長くなったので続く。