やくざのみかじめ料
暴力団対策法が施行されて以来、暴力団の民間企業への介入は難しくなっているが、それでも完全には無くならない。みかじめ料も別の形で搾取している。典型例なのは、民間会社や店が必要な備品、サービスの受注をして、その仕事を専門業者に丸投げして、そのマージンを得る手法である。例えば、レストランや居酒屋で出されるおしぼりは、ヤクザの関連会社が請け負い、その業務をおしぼり専門業者に行なわせる方法である。当然、ヤクザ企業は何もしないが、中抜きをして儲けられる。
別の例。東京の繁華街にある某小売チェーン店では、レジを打つアルバイトを人材派遣会社から雇っているが、店が出費する時給は1800円である。しかし、実際にアルバイトがもらえる給料は時給1000円程度なので、差額の800円は人材派遣の会社とヤクザ企業に行く。この店が営業する限り、ヤクザは何もしないで収入が得られるのである。また、別の支店では、駐車場で警備員を雇っているが、毎月1人あたり30万円を支出している。警備員本人がもらえる給料は20万円程度なので、残りは警備会社とヤクザのものである。また、別の支店では、店舗のフロアをワックスがけするのに年間100万円を支出している。ワックスがけとはいっても、素人同然の男性数名が2〜3時間かけて、年数回、行なうだけである。
また別の例。トヨタ自動車では名古屋に大きなビルを建設したが、このビルの清掃業務を請け負っているのは、地元のヤクザ(弘道会)である。トヨタほどの大企業になると株主の目も厳しいのが、少し高めの清掃費を支出して、それをヤクザ企業に請け負わせ、その企業は本物の清掃会社に丸投げして行なわせるのである。これは半ば公然の事実だが、公安調査庁の長官が記者クラブでこのような事実に言及しても、何の問題にもならないのが日本のおかしな点である。
|