リニアコライダー:日本誘致に懐疑論 学術会議が初検討委
毎日新聞 2013年06月14日 19時16分(最終更新 06月14日 21時43分)
宇宙誕生の謎に迫る超大型加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の意義を審議するため、日本学術会議は検討委員会を設置し、14日に初会合を開いた。委員からは、巨額の建設費を負担して日本に誘致することについて「国民の理解が得られるのか」「他分野の研究予算を圧迫するのでは」など疑問視する意見が相次いだ。
ILCは日米欧の科学者らが進める国際プロジェクト。建設費用は10年間で約8300億円にのぼり、誘致国は半額を負担することになる。
国内では岩手、宮城両県が北上山地に、佐賀、福岡両県が脊振(せふり)山地への誘致活動を展開しているが、海外で誘致している国はない。
委員の指摘に対し、ILC計画を推進する駒宮幸男・東京大教授は「ILCの意義が一般的に浸透しておらず、努力が必要。建設費用は、他分野の研究費が圧迫されないよう、科学技術予算とは別に確保する必要がある」と説明した。
今後7月に計3回会合を開き、審議結果を文部科学省に提出する。【斎藤有香】