ペルソナ4
・要約版:要約スレpart2-803
・詳細版:part42-223~228、part44-239,242,258~261、part46-50~55,63~65,156~157,2009/09/26 wiki直接編集
- 803 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/16(土) 21:32:49 ID:RUhJE2yeO
- ペルソナ4
親の都合で一年間叔父の所に世話になりに主人公は田舎町に来る。
この町では連続殺人事件とマヨナカテレビが噂になっていた。
主人公はマヨナカテレビを試そうとするとテレビの中に引き込まれた。
この空間は常人が入ると自らの鏡面存在シャドウに殺される
だがシャドウの存在を乗り越えるシャドウはペルソナに変化する。
被害者はこの空間に落とされシャドウを乗り越えられず殺されたと確信し主人公は被害者を助け仲間を増やしていく。
そんな中主人公の従姉妹菜々子が次の標的にされ、とうとう犯人生田目を捕らえる。
捕まえた生田目から真相を聞くと生田目も被害者を助けようとしておりテレビの中が安全空間だと勘違いしていた。
その生田目を扇動していた真犯人は叔父の同僚の刑事足立だった。
動機は完全な愉快犯で手に入れたペルソナを使い好き放題していた。
主人公は足立を倒し事件を解決する。
だが主人公、足立、生田目だけが特殊な能力を得たのは何故か仲間達は推理する。
その結果イザナミという超存在に辿り着く、イザナミは事件の舞台をつくり人の存在を試していた。
主人公、足立、生田目は外来者だから波乱をおこすと能力を与えた。
主人公達はイザナミに挑むがその力に圧倒される。
しかし、主人公がこの町で築いた絆が力になりペルソナ伊邪那岐大神を発現してイザナミを倒す。
イザナミは主人公達の力に驚愕し力を認めて消え去る
無事全てを終えた主人公は町をでる、仲間達は別れを惜しみ離れていても絆は変わらない誓い合う。 -
223 :ペルソナ4◆iN8Okbnucw:2008/11/11(火) 17:59:44 ID:pLju9cC/0
キャラ紹介
主人公…デフォ名は無し。この春から高校2年生。ごく普通のどこにでもいそうな少年。
初期ペルソナ:イザナギ 使用武器:両手剣(日本刀、バット、ゴルフクラブetc.)
花村陽介…クラスメイト。大型ショッピングセンター「ジュネス」の店長の息子。
ペルソナ:ジライヤ→スサノオ 使用武器:二刀流の短刀(くない、包丁etc.)
里中千枝…クラスメイト。勝気で明るい少女。カンフーマニア。
ペルソナ:トモエ(巴御前)→スズカゴンゲン(瀬織津比売命) 使用武器:靴(蹴り攻撃)
天城雪子…クラスメイト。老舗旅館「天城屋旅館」の一人娘(次期女将)で千枝とは昔からの親友。
ペルソナ:コノハナサクヤ→アマテラス 使用武器:扇
巽完二…高校1年。噂になっている不良少年。
ペルソナ:タケミカヅチ→ロクテンマオウ(織田信長) 使用武器:板状のものを鈍器として使用(盾、パイプ椅子etc.)
久慈川りせ…人気絶頂のアイドル。
ペルソナ:ヒミコ→カンゼオン サポート担当。
白鐘直斗…高校1年生の少年探偵。
ペルソナ:スクナヒコナ→ヤマトタケル 使用武器:銃
クマ…テレビの世界の住人。ぷりちー(自称)な熊(?)の着ぐるみ。
ペルソナ:キントキドウジ(金太郎)→カムイ 使用武器:爪
堂島遼太郎…主人公の叔父(母親の弟)。稲羽署の刑事。妻をひき逃げ事故で失ってから娘と二人暮し。
堂島菜々子…堂島の娘(主人公の従姉妹)。小学1年生。
足立透…この春から堂島と組んでいる若い刑事。
山野真由美…地方局のニュースキャスター。
生田目太郎…市議会議員秘書だったが山野アナとの不倫が発覚して失脚。妻とは別居中で今は実家に帰っているらしい。
柊みすず…生田目の妻。演歌歌手。
小西早紀…八十神高校3年生。ジュネスでバイトしている。陽介の想い人。
用語説明
マヨナカテレビの噂:雨の日の午前0時にテレビを見ると、運命の人が映るという噂
シャドウ:人の抑圧された本能や欲望が変化したモノ
ペルソナ:人格の鎧。もう一人の自分と言うべきもの。タロットカードに象徴されるのはシリーズ通してのお約束。
224 :ペルソナ4◆iN8Okbnucw:2008/11/11(火) 18:00:15 ID:pLju9cC/0
Chapter 1 ~はじまり~
2011年4月11日。主人公は八十稲羽(やそいなば)駅に降り立った。
両親の急な海外出張が決まったので、言葉の通じない土地で暮らすよりはと、
稲羽市に住む叔父の元へ預けられることになった。
叔父、「堂島」とその一人娘「菜々子」との挨拶もそこそこにこれから1年間過ごすことになる家へと向かう。
途中、ガソリンスタンドに立ち寄り馴れ馴れしい店員の歓迎を受ける。
彼が言う通り、稲羽市はお世辞にも都会とは言えない寂れた田舎町。
都会から越してきた自分は馴染めるのだろうか…?
そんな不安からか、気分が悪くなってしまった主人公は早々に休むことにする。
その夜、彼は不思議な夢を見る。
霧に覆われた不思議な世界。
どこからか聞こえる声が言う。
「真実はいつも霧の中だ。人は自分に都合の良い物だけしか見ようとしない。
本当に真実を知りたければ捕まえてごらんよ」
よく目を凝らすと、ぼんやりと人影が見えるような気がするが…。
意識はそこで途切れ、夢はそこで覚めた。
昨日の夢は何だったのだろう?
何も分からないまま、主人公は新しい学校、八十神(やそがみ)高等学校へと向かう。
口うるさいことで有名な倫理教師、諸岡先生のクラスに配属された。
新しい学校では二つの噂で持ちきりだった。
「生田目太郎との不倫が暴露され、クビになったニュースキャスターがこの街に来ているらしい」
「雨の日の午前0時、何も映っていないテレビを見ると運命の相手が映るという『マヨナカテレビ』」
主人公も隣の席の「里中千枝」とその友人「天城雪子」からその噂を聞かされる。
千枝、雪子と一緒に帰る途中、校門前で、他校の男子から突然ナンパされ、豪快に振る雪子(天然)。
その話で盛り上がる帰り道、パトカーが止まっていて、物々しい雰囲気が漂う場所に通りかかった。
周囲の野次馬によると殺人事件が起こったらしい。
捜査に来ていた堂島に諭され、彼等はその場を後にする。
翌日。
朝のニュースで、昨日の事件のことを報道していた。
被害者はこの町に滞在しているという噂のアナウンサー「山野真由美」。
奇怪な事に、その遺体はマンションの上のアンテナに引っかかるようにぶら下がっていたという。
不気味な事件に学校もその話で持ちきりだった。
嫌な雰囲気を振り払うように「花村陽介」が「マヨナカテレビ」の話題を出す。
「マヨナカテレビ」の話で盛り上がる一同。
この事で陽介、千枝、雪子と仲良くなった主人公は、
陽介の家でもある大型デパート、ジュネスのフードコートで歓迎を受ける。
そこで会ったのは陽介の想い人、3年生の「小西早紀」だった。
様々な人と知り合い、少し町に馴染んできた主人公はその夜、マヨナカテレビの噂を思い出す。
おあつらえ向きに外は雨。時刻は間もなく午前0時だ。
物は試しと、テレビを見てみると、そこに女性の姿が映し出された。
はっきりとは見えないが、何か酷く怯え、苦しんでいるように見える…。
225 :ペルソナ4◆iN8Okbnucw:2008/11/11(火) 18:00:56 ID:pLju9cC/0
助けを求めるかのような画面の女性の仕草に、主人公は思わず右手を伸ばして、画面に触れた。
すると、水の中に手を入れるかの如く、簡単に手が沈み込んでしまったのだ。
そのまま吸い込まれていきそうになったが、自室の小さなテレビでは、背の高い主人公の身体は入らなかった。
何とか手を引き抜き事なきを得た。
翌日、その事を陽介と千枝に話すと皆「夢でも見たんだ」と言う。
だがアレは確かに夢などでは無かった。
放課後、千枝の家のテレビを買い換えたいという要望で、陽介と千枝と主人公でジュネスへと向かう。
家電売り場に並ぶ大きな液晶テレビ。この大きさなら全身が入るかもしれない…。
もう一度昨夜同様、テレビに触れてみる主人公。
すると、昨夜と同じく手が画面の中に沈んでいく。主人公はさらに身を乗り出して、頭をテレビに突っ込んだ。
それを見た陽介と千枝は大慌て。この状況を人に見られては大変だと騒いでいるうちに、
誤って三人ともテレビの中へと吸い込まれてしまう。
気がつくとそこは、どこかのスタジオのような場所だった。漂う霧のせいで視界が不明瞭だ。
出口らしき物は無く、どこから来たのかも分からない。
ともかく先に進んでみようとの意見で、彼等は捜索を始める。
行き着いた先はどこかのアパートらしきものの一室だった。
そこにあったのは大量に張られた、顔の部分だけが切り取られた女性のポスター。
このポスター、生田目太郎の妻の演歌歌手「柊みすず」のものだと陽介が気づく。
そして部屋の中央にある、首吊り台のような物。
もしやここは山野真由美の部屋なのでは…?
血(赤いペンキ?)が所々に飛び散った不気味な様子が嫌な想像を掻き立てる。
戻ろうと提案する千枝に賛成し、一旦先ほどのスタジオのような場所へと戻る一行。
そこで妙な着ぐるみと出会う。
「またこの世界に人が来てるクマ?ほらほら、早く帰るクマ!」
着ぐるみは足つきのレトロなテレビをどこからとも無く出現させた。
着ぐるみに急かされ、わけも分からぬままテレビの中へと押し込まれる一行。
気づくと、3人はジュネスの家電売り場へと戻ってきているのだった…。
混乱する3人だったが、ともかく今日は家に帰ることにした。
翌日。
朝のニュースで、再びこの町で殺人事件が起きたことを知る。
被害者は陽介の想い人でもあり、先の事件の第一発見者でもあった小西先輩だ。
死体は前回と同じく、屋上のアンテナにぶら下がっていたという。
この事実に悲しみ、同時に怒りを燃やす陽介。
不可解な被害者の死因に「あのテレビの中の世界が関係しているのでは」と睨む陽介。
危ないと引き止める千枝の声も聞かず、主人公と二人でテレビの中へと向かうことに。
226 :ペルソナ4◆iN8Okbnucw:2008/11/11(火) 18:02:05 ID:pLju9cC/0
落ちてきたのは前回と同じくあのスタジオのような場所だった。
そこで再びあの着ぐるみと出会う。
自らを「クマ」と名乗る着ぐるみによれば、最近人がこの世界へと落ちてきて、困っているという。
やはり陽介の読みは正しかったのだ。連続殺人事件の被害者は、
二人ともこの世界へと落とされ、そこで殺されている。
怒りに燃える陽介は犯人をとっちめると言い、
クマもこの世界を静かにして欲しいと主人公に頼み込む。
そう言うクマは自分では何もしないのだろうか?
主人公が軽く触れてみると、クマは簡単に倒れてしまった。弱すぎる。
好奇心に駆られた陽介はクマの頭の部分を外してみた。クマの中は空洞になっていた。
クマは一体何者なのだろう。謎が深まった。
ともかく、ここが事件の現場なら犯人がまだ居るかもしれないと、捜索を開始することに。
クマに案内されて辿り着いたのは異常な雰囲気が漂う稲羽中央通り商店街だった。
外見はそっくり同じなのだが、人の気配がない…。
クマは「これがこの世界の住人にとっての現実」だと言う。
ここが商店街であるなら、小西先輩の実家である小西酒店もあるはずと、
走り出す陽介。そこへ、謎の怪物が襲い掛かる。
成すすべなく敗れるかと思ったその時、「我は汝、汝は我」という声が主人公の頭の中に響いた。
気が付くと主人公の右手の上にカードが載っていた。「ペルソナ」と呟いてカードを握りつぶす。
ペルソナ能力が発現し、謎の怪物を一掃するのだった。こうして主人公はペルソナ「イザナギ」を得た。
不思議な力に感動していると、どこからか声が聞こえた。
「ジュネスなんて潰れちゃえばいいのに…」
「ねぇ、知ってる?ここの娘さんってば酒屋の娘の癖にジュネスでアルバイトなんて…」
「この商店街を潰す気なのかしら?恥知らずよねぇ…!」
「親御さんもあんな娘を持って大変よねぇ…」
自らの店への中傷と想い人への中傷に項垂れる陽介。
これがこの世界の住人の現実なら、これが小西先輩の現実なのだ。
店へ足を踏み入れると今度はその想い人の言葉が響く。
「私…陽介くんのこと…、ずっと…ウザいって思ってた。
店長の息子だからって仲良くしてあげたら勘違いして…盛り上がって…ホント、ウザい。
あーあ、酒屋も商店街もジュネスも全部面倒…ウザい」
憧れていた先輩の言葉に打ちひしがれる陽介。
「違う、こんなのは…」
そう言おうとしたとき、どこからか人影が表れる。
「悲しいなぁ…可哀想だよなぁ…俺…」
その姿は陽介そのもの。
もう一人の陽介が楽しそうに言う。
「てか、何もかもウザいと思ってんのは自分の方だっての…」
「誰だ!?お、俺は…そんなこと思ってない!」
「よく言うぜ…いつまでそうやってカッコつけてる気だよ?
ジュネスも、商店街も、こんな田舎暮らしも全部退屈でウザったいだけだろ?
小西先輩のために来た?何か面白い物があるかもしれない、ってのが本心だもんなぁ?
認めろよ…この町で殺人事件が起きた時、面白くなったって思っただろ?」
容赦なく浴びせられる秘めていた本心に、動揺する陽介。
そして、叫ぶ。
「違う!こんなの、こんなヤツ俺じゃない!黙れよ!」
その言葉を聴いたもう一人の陽介が口元を歪めて笑った。
「そうさ、俺はもうお前なんかじゃない…!だからウザいものは全部、ぶっ壊してやるよ!」
227 :ペルソナ4◆iN8Okbnucw:2008/11/11(火) 18:02:59 ID:pLju9cC/0
そう叫ぶともう一人の陽介が黒い炎に包まれ、異形のバケモノへと姿を変えた。
襲い来るバケモノに主人公は再びペルソナ能力を発現させ、
苦戦しながらも何とか打ち倒す。
それでも「自分ではない」と否定する陽介をクマが諭す
「あれは元々ヨースケの中に居たモノクマ…ヨースケが認めなかったら、
さっきみたいに暴走するしかないクマよ…」
主人公とクマの説得に、陽介が呟く。
「俺はお前で…お前は俺、か…。全部ひっくるめて俺ってことだよな…」
自分自身と向き合える強い心が「力」へと変わる。
こうして陽介はもう一人の自分、
困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナを手に入れるのだった。
ひとまず広場に戻った一行は状況を確認する。
・先ほどの怪物は「シャドウ」。人の心の闇から生まれた本能のようなモノ。
・テレビの中に投げ込まれた人は陽介のように自分のシャドウ(もう一人の自分)と向き合うことになる。
シャドウを上手く受け入れることができれば、それは力になる。
・テレビの中の世界で霧が晴れるのは、現実で霧が発生する日。
・テレビの中で霧が晴れると、シャドウが暴走し、テレビの中にいる人は殺される。
クマの「この世界を静かにして欲しい」という頼みもあり、
陽介と主人公は次に誰かが投げ込まれたなら助け出すと約束する。
そして出来ることなら投げ込まれる前に犯人を捕まえることも。
だがとにかく身体が重い。
本格的な事件の捜査は翌日からになりそうだと告げると、
クマがメガネを渡してくれた。それをつけると、霧が見えなくなり、視界が晴れた。
どうやらこのメガネ無しでは精神、体力共に大きく消耗してしまうようだ。
二人は先日と同じように、クマが出したレトロなテレビの中に入って、現実世界へと帰った。
228 :ペルソナ4◆iN8Okbnucw:2008/11/11(火) 18:04:02 ID:pLju9cC/0
このゲーム導入部分が異常に長い上に
序盤の伏線の数がハンパ無いんで今回だけ長くなっちゃったけど許しておくれ
次からはもうちょい簡潔に書くつもり。
258 :ゲーム好き名無しさん:2009/03/07(土) 12:12:49 ID:KxQeOqv70
ペルソナ4を途中までですが投下します
前任者の方の続きから雪子救出までです
259 :ペルソナ4:2009/03/07(土) 12:14:53 ID:KxQeOqv70
Chapter 2 ~わたしはあなた、あなたはわたし~
その夜テレビのニュースで、雪子の実家である天城屋旅館と雪子が取り上げられる。
また、その夜のマヨナカテレビを見ると着物姿の女性の姿が映る。
翌日、陽介がペルソナ能力が覚醒するのと共に、テレビに入る力が得られたと主人公に言う。
直後に千枝が雪子との連絡が取れないと慌てながら飛び込んでくる。
しかし実際には忙しくて連絡が取れないだけだった。
念のためジュネスに行ってクマに聞いてみるが誰もテレビの中には入ってないという返事だった。
その夜マヨナカテレビを見ると鮮明な映像が映し出された。
雪子がお姫様のような雰囲気のドレス姿で映っていた。雪子は王子様を探すため逆ナンをするらしい。
普段の雪子とのギャップの大きさに驚く陽介を落ち着かせ、千枝に連絡を取るように指示する主人公。
翌日に3人で集まることに。
次の日、3人でテレビの中の世界に潜入する。
雪子の気配を頼りにクマの案内で連れてこられたのは、
マヨナカテレビで映っていた城のような建物だった。
城の中に雪子が居ることは間違いないというクマの発言を聞いた千枝は、一人で城の中に入ってしまう。
後を追いかけた主人公たちが見たのは、
「自分には千枝に守ってもらう価値が無い」という雪子の心の声を聞いて動揺する千枝の姿だった。
260 :ペルソナ4:2009/03/07(土) 12:15:24 ID:KxQeOqv70
そこに現れたもう一人の千枝が「自分よりも美人で人気のある雪子が自分に頼る姿はたまらなかった」と心の底を暴く。
その声に耐えきれず、千枝は「アンタなんか、あたしじゃない!!」と言ってしまう。
その言葉を受けてもう一人の千枝は異形の姿へと変身する。そいつを倒すともう一人の千枝は元の姿に戻った。
なおももう一人の自分を否定しようとする千枝だが、主人公や陽介の説得を受けて自分を受け入れる。
こうして千枝もペルソナを手に入れる。
力を手に入れたことですぐにでも雪子を助けに行こう焦る千枝だが、体力の消耗が激しい。
テレビの中の世界の霧が晴れる日=現実の世界に霧が発生する日までは雪子が死ぬことはないし、
絶対に失敗できないから万全の態勢で臨もうという説得を受け入れ、千枝は救出を延期することを承諾する。
広場に戻った3人とクマは改めて雪子を助け、事件を解決することを誓う。
また、陽介は主人公の力が一番強く、冷静にみんなを導いてくれるとの理由で、
主人公にみんなのリーダーをやってくれるように頼む。
その意見に千枝とクマも賛成し、こうして「自称特別捜査隊(縮めて特捜隊)」が結成された。
ジュネスのフードコートは「特捜本部」となり、テレビの中に入る前の集合場所となった。
再び城に向かう特捜隊一同。
以前千枝に追いついた部屋で雪子らしき人物を発見する。
見た目は雪子と同じだが普段の雪子とは全く違うその言動から雪子のシャドウだと気づくが、
雪子のシャドウは一足先に奥へと進んでしまう。
後を追いかけて城の最上階に到着すると、そこには雪子とシャドウの二人がいた。
天城屋の女将という決められた将来は嫌だから、どこかに連れて行ってくれる王子様を探しているとシャドウは言う。
雪子はその言葉に耐えられず「あなたなんか…私じゃない!」とシャドウを否定してしまう。
今までと同じように否定の言葉を受けて力を増すシャドウ。
大きな籠の中の鳥の姿へと変身したシャドウをみんなで迎え撃つ。
激戦の末になんとかシャドウを倒すと、シャドウは元の姿へと戻る。
自分の本心を受け入れた千枝の心からの言葉を受けて、雪子はシャドウを受け入れることを決心する。
これにより雪子もペルソナを手に入れることができた。
長時間テレビの中に居たために心身の消耗が激しい雪子を慮り、
話を聞くことは雪子が回復してからにすることにして、一旦解散する。
主人公が堂島の家に帰ってしばらくすると、堂島が若い刑事を連れて帰ってきた。
若い刑事は「足立」といって、この4月から堂島とコンビを組んでいるらしい。
その日は久々に賑やかな夕食となった。
50 :ペルソナ4:2009/03/29(日) 11:33:01 ID:qo0s4KW80
ペルソナ4の続きを投下します。
巽完二の救出までです。
51 :ペルソナ4:2009/03/29(日) 11:34:34 ID:qo0s4KW80
雪子の体調も回復し再び通学することが可能になった。
改めてテレビの中に入れられたときの状況を聞くが、雪子は何も覚えていないらしい。
玄関のチャイムが鳴ったことは覚えているが、その直後からの記憶が無いそうだ。
ともかく誰かが人をテレビの中に入れていることは間違いない。
自分がどうして狙われることになったのか知りたいという雪子も仲間になり、また一歩前進する特捜隊。
犯人の狙いを探るため被害者の共通点を考える。
雪子が言うには、実は山野アナは天城屋旅館に滞在していたらしい。
だから共通点としては、「山野アナもしくは彼女の事件に関わりがあった人」「女性」の二つが浮かぶが決め手にならない。
そこでもう一つの手がかりとしてマヨナカテレビが挙がる。
雪子のときと同様にテレビに入れられる前でも被害者の姿が映るため、犯人の前に被害者を守ることも可能なはず。
そう考えたみんなは次のマヨナカテレビに注意することにする。
もうすぐゴールデンウィークだ。堂島は少しは休みが取れそうだというので、
菜々子と主人公と3人でどこかへ出かける約束をした。堂島も菜々子も料理ができないので、
主人公がお弁当を作る係になってしまった。
だが突然堂島の休みは取れなくなってしまい、しょんぼりした気分のまま連休は過ぎていった。
連休の最終日、千枝が主人公を誘いに来た。菜々子も一緒に連れて行くことになった。
ジュネスのフードコートに集まる特捜隊メンバー+菜々子。
みんなは菜々子に、家での主人公の様子などを質問した。
「(主人公は)いいお兄ちゃん、なんだな」と何気なく陽介が言ったのを聞いて菜々子は驚いたようだった。
それ以降、菜々子は主人公を「お兄ちゃん」と呼んで、本当の兄のように慕うようになった。
5月の半ば頃、珍しく堂島が早く帰って来た日、菜々子と主人公と3人でぼんやりテレビを見る。
カメラに向かって悪態をつく不良少年が映し出されていた。少年なので顔にはモザイクがかかっているが、
堂島はこの少年が誰だか知っているらしい。彼が中学生の頃は札付きのワルだったので、
何度も補導されて堂島とは顔見知りとのことだ。そんな彼も、高校生になってからは多少落ち着いているとのこと。
それから数日後、真夜中の雨の日が訪れた。
マヨナカテレビに誰か映るかもしれないため確認することにする。
マヨナカテレビを見ると、高校生ぐらいの男の姿が映ったが、映像がはっきりせず分かるのはそれぐらいだ。
ジュネスのフードコートに集まりマヨナカテレビの内容について話し合うが、みんなはっきりとは見えなかったようだ。
雪子の事件のときと合わせて考えると、おそらく被害者はまだテレビの中には入れられていない。
しかし誰かもはっきりしない現状では対策の取りようがない。
天気予報では今夜も雨らしいので、次のマヨナカテレビを見て対策を考えることにする。
マヨナカテレビを見てみると前日よりも多少はっきり見える。
そこに映ったのは、数日前テレビに出ていた不良少年、
商店街にある老舗の染物屋「巽(たつみ)屋」の一人息子である巽完二のように見える。
電話をしてきた陽介も同意し、翌日、みんなで話し合うことにする。
翌日学校で話し合うと、やはり千枝や雪子も完二だと思ったようだ。
更に雪子は実家が巽屋からお土産品を仕入れているため、完二の母親とは話すことがあるらしい。
ひとまず雪子の伝手を頼りに巽屋に行ってみることにした。
巽屋に行くと、小柄で帽子を被った少年が完二の母親と話をしていた。
少年は主人公たちに気づくと話を切り上げて立ち去った。
完二の母親に最近の様子を尋ねている途中で、千枝がある物に気づいた。
それは、テレビの中の山野アナの部屋と思われる場所で見かけたものと同じ柄のスカーフだった。
完二母曰く、もともと山野アナが男性用と女性用の2種類をオーダーメイドしたもので、
結局女性用しか引き取ってもらえなかったので売りに出しているらしい。
つまり巽屋の人たちも「山野アナもしくは彼女の事件に関わりがあった人」に該当する。
ひとまず外に出ると完二が先ほどの帽子の少年と話をしていた。
隠れて会話に耳を澄ませると、明日会う約束をしているらしい。
盗み聞きしていることが完二に見つかり、みんなは慌ててその場から逃げた。
ともあれ明日は完二と巽屋を張りこむことにして一旦解散する。
次の日、完二と少年の尾行を陽介と千枝に任せ、雪子と主人公は一緒に巽屋を張りこみする。
結局、陽介と千枝は完二に見つかってしまったうえ、
陽介の「最近変なことが無かったか?」という質問の「変」の部分に
なぜか過剰反応した完二に追いかけまわされ退散することに。
その日は解散して再び張りこみすることにする。
52 :ペルソナ4:2009/03/29(日) 11:35:39 ID:qo0s4KW80
夜、雪子から完二がいなくなったとの連絡がくる。
雨が降ってきたため念のためマヨナカテレビを確認すると、雪子のときと同様に鮮明な映像が映し出された。
完二らしき人物が、褌一丁でサウナのような場所の入り口に立っている。
番組名は「ハッテン、ボクの町!」らしい…。
性別の壁を越えた崇高な愛を求めて後ろの施設に突入すると言い残し、完二らしき人物は姿を消した。
かなり動揺した様子で電話をしてきた陽介を落ち着かせ、ひとまず明日集まって相談することとする。
翌日集まった特捜隊はテレビの中に入って、クマに完二の居場所を探してもらう。
発見したその場所は蒸気が充満するサウナのような場所だった。
入り口で聞こえた男同士の怪しいささやき声に若干の不安を感じつつも完二を探す。
途中で完二らしき人物を発見するが、その言動から完二のシャドウであることが判明した。
さらにマヨナカテレビでその言動が映っているのか、外部からの人の笑い声らしきものまで聞こえる。
一行を散々戸惑わせたあげく、シャドウは一足先に奥へと向かってしまう。
先に姿を消した完二のシャドウを追いかけ最深部までたどり着くと、そこには完二とシャドウの二人が居た。
家庭的な趣味を持つ完二は女性から馬鹿にされてきた。
だから男と一緒にいた方が気楽だという気持ちを、シャドウは完二にぶつける。
それを認めることができない完二は「テメェみてぇのが…オレなもんかよ!!」と否定の言葉を叫ぶ。
それを受けてシャドウは巨大な筋肉男の姿へと変容する。
シャドウを倒すと、今まで通りシャドウは元の姿へと戻る。
自分自身の気持ちを受けれた完二と対峙することにより、シャドウはペルソナへと変化した。
やはり完二の体力と精神の消耗が激しいため、
ひとまず家に連れて帰り、事件についての調査は完二が復帰してからということにして、一旦解散した。
54 :ゲーム好き名無しさん:2009/03/29(日) 17:40:02 ID:IGSK4F4E0
乙です。要するにゲイなの?
55 :ゲーム好き名無しさん:2009/03/29(日) 18:00:29 ID:McSfBlfxO
>>54
いや、幼少期から裁縫とかが趣味なのを女子達に、
「男らしく無い」
など散々馬鹿にされつづけ、
女性が苦手になった。
63 :ゲーム好き名無しさん:2009/05/31(日) 01:47:18 ID:9MUnc9Aw0
復調した完二から誘拐された時の話を聞くが、完二もほとんど覚えていなかった。
誰かが家に来たらしいが、次に気付いたときはすでにテレビの中だったらしい。
事件についての進展はさほどなかったが、完二も特別捜査隊の一員に加わる。
特捜本部で事件について話し合っていると、完二がとあるメモを取り出した。
自分の家の周りにいた不審な男から取り上げたらしい。
そのメモに、被害者がテレビに映った日付があった。
山野アナ、小西先輩、雪子、完二…4人とも事件にあう前にテレビで報道されている。
どうやらこれが本当の共通点のようだ。
犯人が何を目的としているかは依然不明ではあるが、事件を解決していけばいずれは犯人を見つけることができるだろうし、
被害にあいそうな人物をより正確に察知できるということで今後はテレビ報道にも注目することにした。
6月下旬のある日。テレビで芸能人の記者会見が行われていた。
人気アイドルの「りせちー」こと「久慈川りせ」が休業して祖母の住む稲羽市に来るらしい。
休業の理由は定かではないが、
雪子曰く、以前旅館と取引のあったマル久豆腐店がりせの祖母の家のようだ。
その記者会見が放送された次の真夜中の雨の日、マヨナカテレビに水着を着た若い女性の姿が映った。
主人公にはハッキリとはわからなかったが、陽介はりせだと確信しているようなので、翌日豆腐店を確認することにする。
マル久豆腐店に行くと、りせは割烹着姿で店番をしていた。
こうしてみると、りせはあの「りせちー」本人とは思われないほど地味だ。そのギャップに驚く。
りせにマヨナカテレビに関して確認すると、りせも昨日の映像を見たらしい。
りせが言うには「映っていた時の髪型では水着の撮影をしたことはないから自分ではないと思う」とのことだ。
とはいえ、一番条件に近いのがりせのため、念を入れて注意しておく。
その夜、マル久豆腐店に堂島と足立が来る。
堂島の刑事のカンで、りせに周囲の状況の確認と注意に来たらしい。
りせから自分たちの前に主人公たちが注意に来たと聞き、何か考え込む様子を見せる堂島。
その日の夕食時に、主人公は堂島から危険だから事件には関わるなと注意されてしまう。
重苦しい夕食が終わった夜中、雨が降っているのでマヨナカテレビを確認すると、
今度は顔もはっきり映っており、りせだとハッキリ確認できた。
翌日、特捜本部で相談することにする。
特捜本部で情報を突き合わせた結果、マヨナカテレビに映っているのは直前にテレビで騒がれた人物であること、
画像が鮮明かつバラエティ番組のようなノリになるのは本人がテレビの中に入れられた後であること、
ひょっとするとマヨナカテレビは犯人のターゲットが映し出されているのではないかという考えに至った。
犯人の動機に関してはいまだ不明ではあるが、
りせが次のターゲットであることは間違いないため、完二のときと同様に張り込みを行うことにする。
64 :ペルソナ4:2009/05/31(日) 01:48:48 ID:9MUnc9Aw0
張り込みをしていると足立が現れる。
堂島の指示でりせ(と主人公たち)の様子を確認に来たらしい。
豆腐店を張り込みしていると、すぐそばの電柱によじ登っていた不審な男を発見する。
逃げようとした男を捕まえて、足立がその男を稲羽署に連行していく。
りせに安心するように伝えようとしたところ、りせは居なかった。
祖母曰く、りせは何も言わずに出かけることがあるらしいが…。
嫌な予感を感じた主人公たちは、りせを探し回ったが、見つからなかった。
結局、今夜も雨が降るらしいのでマヨナカテレビを確認することにする。
マヨナカテレビを確認すると、
雪子や完二のときと同様ハッキリとした映像に変わっていた。
水着姿のりせらしき人物がストリップを行うらしい。番組名は「マルキュン!りせちーず」。
結局、誘拐を防ぐことができなかったことに落胆しつつ、一刻も早くりせを助け出すことを誓う特捜隊であった。
テレビの中に行くと、クマが自分の正体が不明なことを思い悩んでいた。
そんなクマを励ましつつ、りせの居場所を探してもらう。
りせがいるであろう場所は、ストリップ劇場のような感じのところだった。
劇場を奥へ進むと水着を着たりせを見つける。彼女はやはり、りせのシャドウだった。
りせに対し、作られた虚像である芸能人の「りせちー」ではない本当の自分を周りに見せつけたいと煽るシャドウ。
本当の自分をさらけ出すためストリップを行おうとするシャドウに対し、
「あなたなんて…私じゃない!!」とりせは否定の言葉を発する。
それにより、シャドウは顔がアンテナの形をした異形の姿へと変化する。
65 :ペルソナ4:2009/05/31(日) 01:50:03 ID:9MUnc9Aw0
シャドウを倒そうとする特捜隊だが、シャドウのアナライズ能力によりすべての攻撃を封じられてしまう。
シャドウが止めの攻撃を放とうとした時、クマがみんなをかばいシャドウに突撃する。
クマの捨て身の体当たりによって、りせのシャドウは倒された。
クマは焦げてペラペラの姿になったものの生きており、捜査隊の面々は安心する。
また、りせは本当の自分は「りせちー」も今の自分も含めた全てだと、自分自身の思いと向き合いシャドウを受け入れる。
それによりシャドウはペルソナへと変わり、りせもペルソナを手に入れた。
やはり消耗しているりせを連れて外の世界に帰ろうとするが、クマの様子がおかしい。
いままで自分自身の存在について悩んでいたクマにとって、りせの言葉は理解しがたいものだった。
クマの混乱と何者かの干渉によって、クマのシャドウが具現化する。
真実を追求することの無意味さ、クマなど最初から何もないカラッポの存在だと語るシャドウ。
クマに自分自身の正体を突き付けようとするシャドウに対し、クマは「やめろって言ってるクマー!!」とシャドウ自身を否定する。
さらに捜査隊に対し「真実などどこにもない。あるとすればお前たちがここで死ぬということだけだ」と、
巨大化したシャドウが襲いかかる。
ペルソナが覚醒したりせのサポートにより、クマのシャドウを撃退することができた。
「クマの自分探しを手伝う」という仲間たちの言葉のおかげで、
正体もわからないカラッポな自分を受け入れることができたクマ。
仲間たちと同様にクマもシャドウと向き合い、ペルソナ能力を手に入れることができた。
これからは一緒に戦えるように自分自身を鍛えるというクマを残し、テレビの外へと出る捜査隊。
りせの体調が回復するまで待ってから情報を集めることにして、その日は解散となった。
家に帰ると珍しく前後不覚なまでに酔っぱらった堂島が、足立に連れられて帰ってきた。
県警から特別捜査協力員として、まだ若い少年探偵が送られてきたことが気に入らないらしい。
警察側も一向に進展のない状況に業を煮やしているようだ。
156 :ペルソナ4:2009/06/06(土) 18:41:15 ID:hrrNNp1Y0
7月上旬、3人目の犠牲者が出てしまう。
犠牲者は驚くべきことに主人公たちの担任である諸岡だった。
諸岡の死体はアパートの屋上の給水塔に逆さにぶら下がった状態で発見されており、いままでの死体の状況と似ている。
普通のテレビにも、マヨナカテレビにも出ていなかった諸岡が殺されたことで動揺する捜査隊。
ともあれクマのところに相談しに行こうとすると…なんとクマが現実の世界に出てきていた。
主人公たちと一緒にいるうちに外への興味が出たので、出てきたらしい。
クマに現実の世界で霧が出たときの中の様子を尋ねるが、クマは誰もいなかったと言う。
マヨナカテレビに誰も映らなかったことを考えてもやはり間違いない。
となると諸岡はやはりテレビの中には入れられてない、つまり外の世界で殺されただろうという結論になった。
突然クマは暑いと言い出して、自分で頭の部分を外してしまう。
中から金髪碧眼の、非の打ち所の無い美少年が姿を現した。カラッポの身体の中に突然中の人が生えてきたらしい。
ますますクマの正体がわからなくなった。
みんなでりせに話を聞きに行く。
マル久豆腐店へ到着すると、そこには前に完二と会っていた、帽子を被った少年がいた。
少年は白鐘直斗と名乗った。一連の殺人事件を調査しているらしい。
直斗は今回の被害者(諸岡)がテレビ報道された人物ではないことを疑問に思っており、
主人公たちはそのことをどう思っているか?と問いかけてくる。
その質問に戸惑っていると、直斗は「君たちに注目している」との言葉を残しその場を去って行った。
気を取り直し、りせに誘拐された時のことを尋ねてみるが、やはりりせも気が付いたらすでにテレビの中だったようだ。
事件については進展はなかったものの、戦闘メンバーになったクマに代わって
りせがこれからは戦闘をサポートしてくれるようになった。
ちなみにりせの休業の理由は芸能界に疲れたから、ということらしく、当面は復帰する予定は無いらしい。
そして、りせは八十神高校の1年に転入ことになった。
クマはジュネスで住み込みのアルバイトとして働くこととなった。
次の日、特捜本部に集合して今後の対応について相談していたところ、そこに直斗が現れる。
直斗は諸岡殺しの容疑者はすでに固まっており、後は警察が逮捕するだけだと言ってくる。
なぜそこまで知っているかというと、直斗が県警から送られてきた「特別捜査協力員の探偵」だからだった。
名前まではわからないが、容疑者は高校生の少年らしい。
なぜそんなことを教えるのかという質問を受けるも、
それには答えず必要な時にしか興味を持たれないという探偵という存在の寂しさを見せる直斗。
そしてそのまま帰ってしまう。
突然もたらされた情報にどうすることもできず、結局そのまま解散となってしまった。
157 :ペルソナ4:2009/06/06(土) 18:42:19 ID:hrrNNp1Y0
警察の捜査にも進展はなく、いまだ犯人らしき少年が捕まらないまま日々は過ぎていった。
夏休み直前の7月下旬、マヨナカテレビに見知らぬ少年の姿が映る。
画像は鮮明ですでにその少年はテレビの中にいるようだ。
少年の「自分を捕まえてごらん」という言葉を残しマヨナカテレビは終了する。
翌日特捜本部に集合する。
話し合った結果、マヨナカテレビに映った人物はおそらく、
警察が追いかけている容疑者の少年だろうという結論になった。
テレビの中いるからには、警察には捕まえることはできない。
また、自分たちの手でケリをつけたいということもあり、少年を捕まえることにする。
テレビの中の霧が濃くなっていることもあり、
少年の居場所を見つけるためにも、少年がどのような人物だったかを調査する必要があった。
その過程で少年の名前「久保美津雄」と久保がそれぞれの被害者と何らかの関係があったこと、
さらに、久保は以前八十神高校の生徒で、校則違反を犯したために諸岡によって退学させられていたことが分かる。
久保の顔写真を見て驚く。彼は4月に雪子をナンパしてきた他校の生徒たった。
これらの情報をもとに、テレビの中の久保がいるであろう場所を見つけ出す。
そこはレトロゲームのような、ドット絵で作られたダンジョンだった。
ダンジョンの最奥までたどり着くと、そこには久保と久保のシャドウの二人がいた。
シャドウに対し「気に食わないからどいつもこいつも俺がやったんだ!」と言い放つ久保。
しかしシャドウは「僕には…何も無い…僕は、無だ…。そして…君は、僕だ…」と返す。
そんなシャドウを無視し、久保は「俺が全部殺したんだ!お前らも殺してやる!」と叫ぶ。
頑なにシャドウを認めなかったためにシャドウは赤ん坊に似た異形の姿へと変容する。
シャドウを倒し、意識を回復した久保に改めて3件の殺人事件の犯人かどうかを尋ねると、
久保は笑いながら俺が殺したと言い放った。
そして久保のシャドウは久保と同化することなく消滅してしまう。
消耗している久保をテレビの外に引きずり出し、殺人を犯した理由を問うと、
久保は「世間の注目を集めるために殺した、相手は誰でもよかった」と答える。
そんな身勝手な理由に全員が怒りとやるせなさを感じながら、警察に通報した。
これで事件は解決、特捜隊も解散か…と少し寂しい気持ちを切り替えるために、
主人公の家で打ち上げパーティーを開くことにする。
料理は菜々子のオムライスが食べたいというリクエストを受けて、
主人公・千枝・雪子・りせの4人でそれぞれオリジナルのオムライスを作って食べ比べることに。
主人公たちがオムライスを作っているとき、
クマは主人公たちと最初に交わした、テレビの中の世界を平和にするという約束が果たされたことを実感し、
帰らなければいけないと悲しみの表情を見せる。
そんなクマに対し、菜々子は自分と遊んでほしいと願う。
また主人公もクマに、菜々子と約束をすれば帰らなくていいんじゃないかと提案する。
その約束のおかげで帰らなくてよくなったと、クマは元気を取り戻す。
女子3人が作ったオムライスはそれぞれ辛い、不味い、味が無いと散々な出来。
主人公は持ち前の器用さを生かし、一番おいしいオムライスを作った。
みんな楽しく打ち上げパーティーを過ごすことができた。夏休みも半分が過ぎた8月中旬、ついに久保は立件された。
その日の夜は珍しく堂島が早く帰ってきていて、足立も交えて4人での賑やかな夕食となった。
遊びに、バイトに、成績の悪かった人は補習に、そして宿題も忘れずに。
何の憂いもなく夏休みの残りを過ごす。
そして2学期が始まると同時に直斗が八十神高校の1年に転校してきた。
9月中旬、1・2年合同で修学旅行。行き先は、なんと辰巳ポートアイランド(前作「3」の舞台)。
2日目の夜、主人公たちはりせの案内でクラブに行くことになった。
途中で直斗に会ったので誘ってみたら、意外にも直斗は快諾した。みんなで王様ゲームで盛り上がった。
その席で直斗はみんなに、白鐘家は代々探偵の家系であること、直斗も祖父の跡を継ぐつもりであることを話した。
直斗は、今度は皆さんが事件とどう関わっているのか話してほしい、と言った。
テンションが上がっていた雪子はペルソナのことやテレビに入れることを口走ってしまうが、直斗は信じてないようだった。
修学旅行から帰ってきて数日後、ニュースに直斗が出ていた。
「探偵王子」という触れ込みで、インタビューを受けている。
直斗は連続殺人事件の犯人として久保が逮捕されたが、それには違和感がある、とコメントした。
翌朝、通学途中の主人公たちの前に、直斗が私服を着て現れた。
これで確証が持てればいいのですが、という言葉を残して、直斗は学校とは別方向に去っていった。
それ以来、直斗は学校に来なくなった。
数日後の雨の夜。マヨナカテレビに直斗が映った。
番組名は「世紀の大実験・ゲノムプロジェクト」。白衣を着た直斗は怪しい手術台の前で、
これから改造手術を受けると言った。
特捜本部に集まった主人公たちは、直斗は囮になるためにわざとテレビに出て、誘拐されたのでは、と推理した。
これで直斗が言うとおり、確証が持てた。テレビに出て有名にになった人がマヨナカテレビに映り、そして誘拐されるのだ。
そして、まだ犯人は捕まっていない。
テレビの中でりせが探知した直斗が居る場所は、昭和の匂いがする、特撮の秘密基地のような場所だった。
地下に深く深く潜って最下層に、マヨナカテレビに映っていた手術台があった。
そこで、白衣を着た直斗のシャドウと直斗は話をしていた。
シャドウは直斗に、いくら事件を解決しても、子供だからという理由で誰も認めてくれないから、
カッコいい大人の男になりたい、と話した。
突然シャドウの態度は急変して、威圧的な態度を取り始めた。
さあ、そろそろ人体改造手術を始めよう、と、シャドウは直斗を誘う。
直斗はシャドウを拒絶し、シャドウは特撮に出てくるアンドロイドのような姿に変わって、暴走した。
暴走したシャドウを倒し、直斗はシャドウと向き合う。
「そもそも男じゃないのに大人の男になれるわけないだろ」と言うシャドウの言葉にみんなは唖然とする。
そう、直斗は女の子だったのだ。直斗は探偵として認められたい一心で男のふりをしていたのだった。
子供だという事実は時間が解決する、だけど女だという事実は変えようが無い、と直斗は思い直し、
シャドウを受け入れ、直斗はペルソナを得た。
直斗をテレビの中から助け出した日の夜、主人公が家に帰ると、堂島と足立が待っていた。
行方不明だった直斗が見つかった、と報告する足立に、慎重に言葉を選んで答える主人公。
そんな主人公の顔をじっと見ていた堂島は「意外と驚かないんだな」と言って主人公を疑っている様子。
事件に関わっていることがバレたかと思い内心ひやひやしている主人公。
足立は、狭い町だから噂が広まるのも早い、だから驚かなくても不思議は無いと主人公をフォローし、事無きをを得た。
10月上旬、直斗の体力は回復し、学校に来るようになった。
主人公たちのみならず、他の生徒や町の人々にも女だとバレていた直斗だったが、今まで通り男装を続けていくらしい。
直斗も特捜隊に入ることになった。放課後、特捜本部に集まった。
直斗に誘拐されたときの状況を聞いてみる。犯人はやはり玄関から堂々とチャイムを押してやってきたらしい。
そして、攫われてからものの数分もしないうちに、直斗はテレビに入れられた。覚えているのはそこまでだという。
とにかく、真犯人は別にいることと、久保が諸岡を殺しただけの模倣犯に過ぎないことだけは分かった。
今は犯人の出方を待つしかない。その日はそれで解散になった。
>これで仲間たちは揃いました。
>これからは主人公の口から語ってもらいます。
>その方が筆者が書きやすいからです。
>マンガやドラマCDはチェックしてませんので主人公のキャラが違うかも知れませんが悪しからず。
Chapter 3 ~真実を求めて~
10月20日(木) 雨のち曇り
「ポストに手紙来てたよ、お兄ちゃんに」
菜々子から渡された封筒は何の変哲も無い茶封筒で、表にはおれの名前だけが書いてある。
切手も住所も差出人も無かった。
中に入っていた紙にはたった一行、「コレイジョウ タスケルナ」と印字されていた。
10月21日(金) 晴れ
昼休みに、みんなに昨日の謎の手紙を見せた。
やっぱりこれは犯人からの脅迫状、らしい。
「重要なのは、犯人はこちらを知っている、ということです」
直斗がもっともらしく言う。とにかく、この手紙は叔父さんには絶対に内緒にしておくことにした。
10月27日(木) 晴れのち曇り
今週末は文化祭だが、そこで「ミス八高コンテスト」が開かれるらしい。
そのミスコンに雪子、千枝、りせ、そして直斗という、そうそうたるメンバーがエントリーしていた。
実はこれは陽介が勝手に推薦したものらしい。
10月30日(日) 晴れ
例のミスコンは、直斗が水着審査を棄権したにも関わらず、ぶっちぎりで優勝した。
その後、みんなで校内を見て回っていると、叔父さんと菜々子に会った。
叔父さんはこれから県庁の方に出張だそうで、おれ達に菜々子を預けて、行ってしまった。
「そうだ、今晩、うちに泊まりに来ない?菜々子ちゃんも一緒に」
雪子がそう言った。
そういえば夏休みにオムライスで打ち上げしたとき、いつかみんなで天城屋旅館に泊まろうと約束していたことを思い出した。
というわけで天城屋旅館に一泊することになった。クマの奴はやたらとはしゃいでいる。
男子共4人(おれ、陽介、完二、クマ)に充てられた部屋は4人で泊まるにしては広すぎる。
よく見ると鴨居に御札が貼ってある。ここはたぶん、山野アナが泊まってた部屋だ…。
10月31日(月) 晴れ
今日は文化祭の代休日だ。まだ叔父さんは出張から帰ってこない。夜、菜々子と二人でテレビを見る。
政治家の香西とかいうやつがニュースに出ていた。
「あ、この人、学校に来たよ」
香西は稲羽市方面に頻繁に発生する霧のことを調べていて、
最近、菜々子の小学校を訪問して、生徒にいろいろと質問したらしい。
香西は名前は出さなかったが、ある生徒をとても褒めていた。
あれ…?菜々子の様子がおかしい。額を触ってみるとすごい熱だ。速攻で薬を飲ませて、布団に寝かせた。
「ねえ、お兄ちゃん、春になったら、帰っちゃうの?」
あ…ああ、そうだった。そんなこと、忘れていた。
「もうすぐ、冬になっちゃうね。雪が降ったら、お兄ちゃんと雪だるまつくる…。
春まで、いっぱい、遊ぼうね」
なんとも言えない気分になった。
11月4日(金) 雨
叔父さんから電話があって、今日は帰れないとのことだ。
「今日も寒いね。そうだ、寒かったらコタツ出しなさいってお父さん、言ってた」
菜々子がそう言うので、押入れからコタツを出して、スイッチオン。
だが壊れているようで電源は入らなかった。
がっかりしている菜々子に、今度新しいコタツを買おうと約束した。
久々の雨の夜だったので、マヨナカテレビを見てみる。
いつにも増して不鮮明だ。何か人影が映っているのは分かるが、性別の見分けすらつかない。
11月5日(土) 雨
放課後、特捜本部にみんなで集まった。
だが話し合おうにもあの不鮮明な映像ではどうにもならない。
誰か、テレビに出て有名になった人はいないかと思い返すが、
最近では政治家の香西が町に来た事以外は目ぼしいニュースは無い。
夜、叔父さんは帰ってくるなり、おれに封筒を突き出した。
「お前宛てなんだが…」
この前同様、おれの名前が書いてあるだけの封筒。
中身もこの前と同じ、カタカナで一行だけ、印字されている。
「コンドコソ ヤメナイト ダイジナヒトガ イレラレテ コロサレルヨ」
「おい…こりゃ何だ?」
叔父さんに手紙を取り上げられてしまった。
「差出人のまるっきり無い手紙なんて、そう届くもんじゃないんだ。
答えろ。お前、この事件に関わってるな?お前、一体、何をしている?」
おれは何も言わなかった。
「答える気は無いのか。俺はお前を家族だと思うから、あえて問い詰めないで来た。
けど、間違いだったな。家族だから、もっと早くに言うべきだった。
…今日こそ、本当のことを話してもらうぞ。別の場所で続きだ。俺が納得するまでは帰さない。
それが、お前のためでもある。…いいな?」
有無を言わさぬ叔父さんの口調。うん、と言うしかない。
菜々子が不安げな様子でこっちをじっと見つめてくる。
―すぐ帰るから、心配ないよ。
菜々子にやさしく言う。
その後、おれは稲羽署の一室に連れてこられた。ここは取調室…じゃなくてたぶん、人を保護するための部屋だ。
叔父さんの隣には足立さんもいた。
「さあ、話してもらおうか。お前、何に首を突っ込んでいる?あの手紙は何だ?何故あんなものが届いた?」
言っても信じてもらえそうにないが、とりあえず精一杯説明してみた。叔父さんは失望したらしかった。
「今日こそ本当のことを話してもらおうと思ったんだがな…。
まあ、半年そこらで親父面なんて無理があったかもな。
少しは、お前に信じてもらえてると思ってたんだがな…残念だ」
残念なのは、おれも同じだ。
「一晩、ここに居ろ」
叔父さんは部屋を出て行った。残った足立さんが言う。
「あのね、僕は君たちを信じたいんだよね。きっと堂島さんも、信じたいから、ここに連れてきて、話を聞いてるんだよ。
それに、あんな手紙見たら、心配で保護したかったんだよ」
足立さんも出て行って、部屋の中に一人になった。そういえば、この部屋には小さなテレビがある。
もうすぐ午前0時。今日は雨が降ってたから…マヨナカテレビに何か映るだろうか。
昨日より鮮明な映像だ。恐らくは小学生の女の子…これは、菜々子だ。毎日見ている菜々子を見間違えるはずはない。
だが、みんなに連絡しようにも、携帯電話は取り上げられてしまっている。
どれくらい時間が経っただろうか。外が騒がしい。
部屋のドアがいきなり開いて、陽介以下、特捜隊のみんなが飛び込んできた。
陽介は、おれの携帯に電話をかけたが出ないので、家の電話の方にかけて、
おれが稲羽署に連れて行かれたことを菜々子から聞いたそうだ。
そのとき、叔父さんに直斗から電話がかかってきた。
「菜々子ちゃんがいなくなりました!」
ああ、ついに、恐れていたことが…。
「今、堂島さんの家にいます。扉が開いていて、中は誰もいません。
恐らく、菜々子ちゃんは例の連続誘拐犯に誘拐されています」
それを聞いて叔父さんは取り乱している。
「どうして、どうして菜々子なんだ…!」
足立さんが止めるのも聞かず、叔父さんは一人で出て行ってしまった。
直斗が遅れてやってきて、特捜隊メンバーは全員揃った。
マヨナカテレビに菜々子が映ったのは、香西とかいう政治家が匿名で褒めていた生徒こそ、菜々子だったからだ。
香西が褒めていた生徒は匿名のまま知名度が上がっていった。
昨日の時点では匿名だったので映像は不鮮明だった。だが、香西が褒めていた生徒は菜々子だと突き止められ、
今日の夕刊に名前と写真が載った。だから急に鮮明になって映った。
みんなで状況を整理してみる。家の玄関の扉にはこじ開けられた跡がなかったから、
菜々子が自分で扉を開けたらしい。菜々子は、一人で留守番しているときに、
知らない人が玄関に来ても開けるな、と躾けられているから、犯人は菜々子が知っている人だ。
それに、犯人はおれより背の高い完二も入ってしまうような大型のテレビを犯行に使っている。
誘拐されてすぐテレビに入れられてしまうことを考えると、そのテレビを恐らく、車に載せて運んでいる。
大型のテレビが乗せられる大きな車を使用しているはず。なのに、現場付近には不審車の目撃証言が無い。
菜々子の顔見知りで、怪しまれずに、車で移動できる人物。それは…。
犯人は宅配業者だ。宅配のトラックなら、どんな家の前にあっても怪しまれない。
この小さい町なら、配達人も毎回同じ人が来るだろうから、顔見知りになる。
横で聞いていた足立さんが驚いた顔をしている。
「君らの推理、当たってるかも」
山野アナ殺しの参考人の一人が運送業者…生田目太郎だ。春に山野アナとの不倫でワイドショーを賑わせた生田目は、
議員秘書を辞めて今は実家の運送業を手伝っている。
「行こう、生田目の家へ。堂島さんも、そこへ向かってる」
外に出ると雨は止んでいた。生田目の家の方角に白煙が上がっているのが見える。
行ってみると、生田目の使っていたトラックが乗り捨てられていて、生田目は逃走した後だった。
叔父さんは怪我して倒れていた。ひどい怪我だが、どうやら命に別状はなさそうだ。良かった。
生田目の乗ったトラックを追跡していた叔父さんの車は、建物に激突して変形していた。
生田目のトラックには推理通り、大きなテレビが積まれていた。
運転席には生田目が書いたと思われる日記帳が残されていた。直斗が内容を読み上げる。
「山野真由美、小西早紀、天城雪子、巽完二、久慈川りせ…そして、諸岡の名前は書かれていない」
「すごい、そりゃ決まりだよ」
足立さんはうなずいた。
日記の最後のページには、「こんな小さな子が映ってしまうなんて。この子だけは、絶対に救ってあげなければ」と書いてあった。
きっと、菜々子のことだ。犯人は生田目で間違いない。
今すぐテレビの中に入って菜々子を助けに行こうとも思ったが、焦って失敗しては元も子もない。
明日以降、いつものように、ジュネスのテレビから、行こう。
叔父さんに付き添って、病院まで行く。
「菜々子は俺の生きがいだ。あいつを失くしちまったら、生きてる意味なんてない。
お前になら、出来るんだろ?頼む…菜々子を救ってくれ」
ベッドに寝かせられた叔父さんは、おれをじっと見上げている。
―はい。日数はかかるかも知れないけど、信じて待っていてください。
11月某日
テレビの中に入って、りせに菜々子の居場所を探してもらう。
行ってみるとそこは、雲の上に浮かぶ神殿といった風情の場所。まさに天国だ。
菜々子の中の、死別した母親への未練がこんな場所を作ったのだろうか。
中に入ってしばらく進むと、菜々子の心の声が聞こえてきた。
「お母さん、どこ…?なんでいなくなっちゃったの…。
でも、寂しくないよ。お父さんがいるから。帰り、いっつも遅いけど、遊んでくれないけど…。
ごはんも作れないし、洗濯も下手だけど…。やさしくて、ときどき怖いけど…。
今はお兄ちゃんもいるから。菜々子、一人じゃない…。寂しくなんかない…」
いつもこうやって、寂しくないって自分に言い聞かせていたのか…。
上へとさらに昇っていくと、今度は男の声が聞こえてきた。
「僕は新世界の存在を知った。僕は人を救わねばならない。この子は渡さない。今度こそ、絶対に」
りせが探知したところによると、菜々子と一緒に男がいるらしい。まさか、生田目か?
「お、お兄ちゃん!」
菜々子の元へとたどり着いた。生田目は菜々子を後ろから羽交い絞めにしている。
「僕が救った奴らだ。この子も僕が救うんだ…」
生田目が逆上するようなことになれば菜々子が危ない。生田目を落ち着かせるために、話をすることにした。
意外にも生田目はこちらの質問に素直に答えた。
生田目の目的は日記に書いてあった通り、救うこと、らしい。
マヨナカテレビには救いを求めている人が映るので、救うために、テレビに入れる。
…狂ってる。
「こんな所まで追いかけてきやがって…。知ってるよ、お前ら、殺す気だな?
残念だったな。この子は俺が救うんだ」
生田目の態度がいきなり変わった。まずい、このままでは…。
「ここは素晴らしい世界だ。あっちは汚い、悪い奴らがたくさん居る。だから、俺が救うんだ。
俺は救世主…正義のヒーローだ!」
生田目にスキが出来た。今だ!陽介と完二が飛び出していって生田目を突き飛ばす。
生田目の手から開放された菜々子を抱きかかえた。息はあるがぐったりしている。
「その子を返せ…その子は俺が救う…」
生田目の様子がおかしい。と、生田目を中心に風が渦を巻いた。
周囲にいたシャドウが生田目の身体に吸い込まれて、同化した。
生田目の身体は大きく膨れて、異形の怪物になった。
無表情で不恰好な人形のような体の上に白い上っ張りを着て、背中には翼、頭上には輪っかが浮いている。
これが生田目がイメージする救世主像なのだろうか。そいつはクニノサギリと名乗った。
クニノサギリを倒すと、そいつは元の生田目の姿に戻った。
菜々子と生田目をテレビの外に連れて行く。生田目は警察に任せることにした。
菜々子は救急車で叔父さんと同じ病院に運ばれた。菜々子は意識不明の重体で、面会謝絶だという。
病院の廊下でみんなは悲しみに沈んでいた。おれは激しく後悔した。
こうなる前に、どうしてもっと早く気付かなかったのだろう。前兆のようなものがあったはずだ…。
クマは、菜々子はまだ幼いので、シャドウが生まれなかったから、重体になってしまったのだろうと言う。
とにかく、今は菜々子の回復を信じて待つしかない。
11月21日(月) 曇り
外に出てみると身を切るような寒さだ。昨晩の霧がまだ残っていて、太陽光が遮られているせいかも知れない。
天気予報は曇り…らしいが、この霧では空を見上げても、太陽の位置さえ分からない。
通学途中で陽介、雪子、千枝の三人と会う。
「これ、見てみ。生田目のことが載ってんの」
雪子が広げている新聞を覗き込む。見出しに、生田目が意識を取り戻した、とある。
生田目は、済まないことをした、怖かったなどと供述しているらしい。
しばらくみんなと話していると、足立さんがやってきた。
「今日から菜々子ちゃんの面会OKってさ」
放課後、みんなで菜々子のお見舞いに行くことになった。
そして、放課後。病院のベッドに寝ている菜々子の周りに、みんなと、車椅子に乗った叔父さんが集まった。
「菜々子、見ろ。みんな、お前のお見舞いに来てくれたぞ」
菜々子はゆっくり目を開いて、おれを見た。
「ん…お兄ちゃん…」
まだ話すのは辛そうだ。それでも菜々子は嬉しそうな顔をしている。
廊下に出て、医者の話を聞く。
「今のところ、状態は安定しています。ただ、見たことも無い症状なので、これからどうなるかは、何とも…」
意識は回復したが、まだ危険な状態らしい。
12月3日(土) 曇り
11月下旬に発生した霧は、今日まで一度も晴れなかった。そして今日はより霧が濃いような気がする。
最近、霧のせいで具合が悪くなったという人が増えている。学校でも欠席者が目立つようになってきた。
この霧には毒が含まれているとまことしやかに噂されている。ガスマスクを購入して着用している人もいる。
混乱に乗じて変な宗教まで流行りだす始末。
学校に向かう途中でみんなと会った。霧について話をする。
「先輩、メガネ、メガネ!」
完二が叫んだ。メガネをかけてみると…視界が開けた。
この霧は、テレビの中のものと同じなのだろうか。
放課後、特捜本部に集まった。と言っても、話し合うことも無いんだが。
生田目の取調べは進んでいる。あとは立件して、罪が確定するのを待つだけ。
だが、テレビに入れた、とかは証明が難しいし、本当に立件まで出来るんだろうか…。
考えてもしょうがない。うーん、ここのフードコート、屋外だからやっぱり寒い。
そうだ、寒いといえば、菜々子とコタツを買う約束をしていたことを思い出した。
「あ、じゃあ、今から見に行こうよ。戻ってきてコタツあったら、菜々子ちゃん、喜ぶよ!」
みんなで家電売り場へ行ってコタツを物色する。みんなは喜々としているのに、クマだけ浮かない顔をしている。
「クマはまだ、ここに居てもいいクマ?みんなは約束、果たしてくれたから、クマはもう、帰らないと…。
でも、菜々ちゃんが元気になるまで、帰りたくない…」
確かに、約束通りテレビの中の世界の平穏は取り戻せた。でも、おれも、みんなも、クマと別れる気なんて無い。
そのことをクマに伝える。
「クマ、感激!」
携帯が鳴り出す。足立さんからだ。
「もしもし。その、落ち着いて聞いてね?菜々子ちゃんの容態が急変したんだ。
すぐに病院に来て欲しいって先生が…」
みんなで病院に向かう。もう夜になっていた。
「今は、状況を見守るしかないんです」
医者の先生はそう言った。
今は廊下で待つしかない。待つ…何を?
「おい、何とかならないのか!」
陽介がクマに詰め寄る。
「お前の住んでた世界のことだろ?何か、分かんねーのかよ」
「考えてる。考えてる、けど…」
クマは力無く肩を落とす。そこへ足立さんが通りかかった。生田目のことを聞いてみる。
「ああ、それなんだけど、一応言っておくと、この事件、立件が難しくなったんだ」
生田目は山野アナ殺しのときにしっかりしたアリバイがあった。だから、早々に容疑者から外された。
そしてやっぱり、テレビの件は立証が出来ないらしい。
菜々子の病室から看護師さんが飛び出してきた。
「菜々子ちゃんのご家族の方は?早く中へ!声をかけてあげてください」
待っていた…待ちたくもなかった時が、来た。病室の中に入って。菜々子の手を握ってやる。
「お兄ちゃん…」
―大丈夫だ。ここにいるよ。
遅れて叔父さんが看護師さんに付き添われながらやって来た。
「怖いよ…。お兄ちゃん…お父さん…」
菜々子の目が閉じ、握っている手から力が抜けるのを感じる。ベッドの横の心電図モニタがフラットを示す。
「…残念です。手は尽くしましたが、これといった原因も特定出来ず…」
先生は常套句を口にした。叔父さんはよろよろと病室を出て行った。
何だか夢でも見ているみたいで、実感がわかなった。叔父さんから少し遅れて、病室を出た。
「先輩!堂島さん、生田目の所に行ったかも、って。生田目の奴、この病院に入院しているみたい」
りせが言った。叔父さんの気持ちはよく分かる。
おれだって、大切な人を死に追いやった奴が生きていて、しかも近くに居ると分かったら、まず報復を考えるだろう。
だが、今のおれは怖いくらいに冷静だった。どんな場合でも報復なんてしたって、何にもならない。
完二が足立さんを締め上げて、生田目の病室の場所を吐かせた。
みんなで生田目の病室の前へ。運良く警護の人もいないので、中に入った。
後から聞いた話だが、このとき警護の人は叔父さんを病室に送り届けているところだったらしい。
かなり広い、高そうな病室だった。明かりのない暗い部屋の中、生田目は床にうずくまって震えていた。
「お前のせいで菜々子ちゃんは…!」
殺気立った陽介が生田目に言う。
「ぼ、僕は何も…」
生田目は首を横に振るばかりだ。
そのとき、雨も降ってないのに、マヨナカテレビが映った。テレビの中の霧が現実世界にも発生しているせいかも知れない。
テレビの中のもう一人の生田目が語りかける。
「救済は失敗した。お前らが邪魔したせいでな」
テレビの中で、生田目は自分のシャドウと向き合うことをしなかった。だから、今になって見えているのでは、と
直斗は推理した。もう一人の生田目はなおも語る。
「救済は失敗したが、どうせ、法律は俺を殺せない。あの子が死んで、俺を恨んでいるんだろ?
だったら、お前らが俺を殺せばいい。生きるも死ぬも、俺にとっては大差ない。
でも、お前らには出来ないよな、そんなこと?俺は救済を続けるぞ。それが俺の使命だからな」
これが生田目の本心なのだろうか。
テレビの映像は消えた。
「俺は、お前を許す気はねーぞ」
生田目に詰め寄る陽介。
「やめてくれ…!」
生田目は耳を塞いで苦しんでいるように見える。
「やめてくれ、だとよ。どうする?」
陽介はニヤリと笑った。
「このまま、ただここを出てくなんて、俺には出来ねえ。
…みんな、聞いてくれ。やるなら、今しかない。こんな機会、もう二度と巡って来ない。
このままじゃ、こいつは野放しになる。そしてまた、救済とやらを繰り返す。
そしたら、菜々子ちゃんや先輩みたいに、また無実の人が何人も死んでいくんだ!そんなの、俺には見過ごせねえ…」
みんなは言葉なく陽介の言うことを聞いている。
「…ただ、テレビに入れる、それだけだ。それだけで、全部終わる。
関わりたくない奴は出て行ってくれ。…無理に付き合うことはない」
陽介は、おれをじっと見た。
「俺は、こいつを許す気は無ぇ。けど、その前に、お前の意見が聞きたい。お前はどうする?」
―陽介の言うことはもっともだ。でも、何か引っかかる。
「何が言いたいんだよ」
―おれ達は生田目のことを誤解してるんじゃないか?
「くそ…いい加減にしやがれ。今度こそハッキリしてもらうぞ!やるのか、やらないのか、どっちだ!」
陽介は完全に我を忘れている。このままではまずい。
―落ち着け!冷静に考えろ!
「ねえ、深呼吸、しよう」
りせの呼びかけで、みんなは深呼吸した。みんな落ち着きを取り戻したようだ。
「思えば僕たちは、まだ生田目自身からはほとんど何も聞き取ってはいない。
菜々子ちゃんをひどい目に遭わせたのはこの男だ。でも他は、
さっきのマヨナカテレビを見て、そうじゃないかと感じただけです」
直斗が言った。そうだ。生田目本人から話してもらわなければ。だが、この怯えた様子では、今は無理だ。
「あきれるほど冷静なんだな、お前。だからリーダーってことになってんのか…」
陽介…。思いとどまってくれて、よかった。やっぱり、報復は良くない。
警護の人が戻ってきて、生田目の病室から追い出された。
帰りに菜々子の病室に寄ることにした。看護師さんがあわてた様子でおれに言う。
「菜々子ちゃんが息を吹き返したんです」
心電図モニタは心臓が動いていることを示し、ベッドの上の菜々子は確かに息をしている。
「心肺停止からの生還は、ごく稀ですが、ありえないことではありません」
死んだ人は生き返ることがあるから24時間経たないと火葬しちゃいけないとか法律で決まってるけど。
でも本当にこんなことが起きるなんて…。みんな泣いて喜んだ。
「あれ?クマはどうした?」
そういえば、生田目の病室にはクマは来なかった。先に帰ったのかな。
明日、特捜本部に集まることにして、みんなと別れた。
帰り道、雪が降ってきた。足を止めて、空を仰ぐ。
あのとき、みんなを引き止めたのは、本当に正しいことだったのだろうか…?
今は分からない。
12月4日(日) 曇り
玄関のチャイムの音で目を覚ます。陽介だった。
「クマがいないんだ!探したんだけど、どこにも…」
急いで仕度して特捜本部に行く。テレビの中も探しているらしい。
「霧がすごくて…。ごめん、力になれなくて」
りせの探知能力をもってしてもクマは見つからない。
「クマくんのことは気になりますが、今は事件のことを考え直してみましょう」
直斗の提案に従い、みんなはいつもの場所に座る。
生田目は近々、他の病院に搬送されるので、話を聞くなら急がなければならないらしい。
「考えたんだけど、やっぱスッキリしない。あいつの言う救済って、どういう意味なんだ?」
陽介の発言に、みんな考え込んでしまった。死による救済、か?死ぬことで救われる?
「気になってたことがあるの。生田目は、私たちを見て、僕が救った奴らだ、って言ってた。
死を救済だと思ってるなら、生きてる私たちを見て、そんなこと言わないんじゃないかな」
確かに、雪子の言う通りだ。なら、本当に、救うつもりでテレビに入れていたのだろうか。
そうすると、最初の2件、山野アナと小西先輩の件は、本当に生田目がやったことなのか?
そうだ、脅迫状。生田目が犯人なら、脅迫状も生田目が書いたものだろう。
「コレイジョウ タスケルナ」
「コンドコソ ヤメナイト ダイジナヒトガ イレラレテ コロサレルヨ」
文面はこうだった。
生田目が犯人だとすると、「助けるな」、「入れられて殺されるよ」と書いてあるのは変だ。
やっぱり、生田目は脅迫状を書いてないんじゃないだろうか。
すると、山野アナと小西先輩を殺したのは、生田目じゃないのでは?
「やはり、もう一度生田目に会って、話を聞く必要がありますね」
直斗はそう言うが、どうやって生田目に会うんだ?警護も強化されてるだろうし。
「僕に考えがあります」
病院のロビーに不審物を置いて騒ぎを起こし、警護の人が出払ったスキを突いてみんなで生田目の病室に入った。
生田目は今日は落ち着いているようだ。
「僕らが知りたいのは真実です。話してください、全てを」
直斗の言葉に生田目はうなずき、話し始めた。
この町の実家に帰っていた生田目は、4月10日の夜、マヨナカテレビを見た。山野アナが映った。
山野アナは助けを求めているように見えた。思わず手を伸ばして画面に触れると、手が画面の中にもぐった。
…おれの時と似ている。
次の日、山野アナが遺体で見つかった。生田目は、マヨナカテレビには助けを求めている人が映るのでは、と思った。
4月12日、マヨナカテレビに小西先輩が映った。次の日、生田目は、小西先輩を呼び出して、気をつけるようにと警告した。
だが、その日の夜もマヨナカテレビに小西先輩が映った。おれがマヨナカテレビを初めて見た日だ。
翌日、小西先輩の遺体が発見される。警告しても無駄だと思った生田目は、自分でやるしかないと思った。
雪子を、完二を、りせを、直斗を、殺されるのを防ぐために、誘拐して、テレビに入れた。
そして、菜々子をテレビに入れた生田目は、自分もテレビの中に入った。
そのとき、生田目は初めて、自分がしてきたことに疑問を持った。
テレビの中に入ったが最後、自力で出ることは出来ないことに気付いたのだ。
菜々子を羽交い絞めにしたことや、おれ達と戦ったことはよく覚えていないらしく、
気がついたら病院のベッドの上だったという。
「向こうの世界を聖域だと信じ込んで、ヒーロー気取りだったんだよ。
僕は、映ったものをまるで疑わず、信じたいように信じてしまった。自分の頭で考えなかった。
だから、守れなかったんだね…。全て、僕の責任だ」
生田目は深く反省してるようだった。
これで、決まりだ。山野アナと小西先輩を殺したのは、別の誰かだ。
12月5日(月) 曇り
今日は創立記念日で学校が休みだ。みんなで「別の誰か」を探すことになった。
町の人に聞き込みをして、山野アナと小西先輩の件に関しての情報を集める。
だが、4月の事件のことを覚えてる人はほとんどいないかった。
夜、商店街の中華料理店にみんな集まった。一日中歩き回ったが、大した情報は得られなかった。
「この町のどこかに、犯人が…全ての条件を満たす人物が必ずいるはずです」
直斗が言う。山野アナと小西先輩と両方に接点があって、
しかも、脅迫状の内容から判断して、おれ達の行動を継続的に把握することが出来て、
脅迫状を出すために、叔父さんの家に怪しまれずに近付くことが出来る人物。
「ちょっと、考え直してきます」
直斗が席を立って外に出た。おれも外に出た。陽介も付いて来た。
あ…雪だ。どうりで冷えるはずだ。でも、考え事にはもってこいだ。
何か、見落としていることがあるはずだ。手がかりはきっと、すでにある。
犯人の条件をもう一度思い出してみる。叔父さんの家に怪しまれずに近付ける人はきっと、おれが知っている人だ。
さらに、山野アナと小西先輩と両方に接点がある、という条件を満たす人となると、ほとんどの人は条件から外れる。
まず特捜隊のメンバーは全員外れる。クマが怪しい気がするが動機も無いし4月の時点での犯行は不可能だ。
叔父さんも残ったが、おれ達の行動は全く把握できてなかったはずだから、これは無い。
最後に一人、残った。足立さんだ。足立さんとは、特捜本部で話し合ってるときとか、いろんな場面でおれ達と会っている。
盗み聞きでもすれば、おれ達の行動は把握できる。
…もちろん、それっぽい条件が揃っただけのことだ。確実な理由があるだけではない。だが、何かが引っかかる。
陽介と直斗に、足立さんが怪しい、と伝えた。
「確かに、警察関係者というのも、一つの考え方ですね」
「でも、あの絵に描いたようなヘタレ刑事だぜ?」
これ以上外にいると風邪をひいてしまいそうなので、店内に戻った。
みんなに、足立さんが怪しいと伝える。
「足立さん?だってあの人、山野アナの身辺警護を…」
雪子が言った。これで足立さんと山野アナの接点が確実なものになった。
また、足立さんは小西先輩を何度もしつこく事情聴取していたらしい。
刑事という立場を利用すれば、証拠隠滅も簡単だろう。
「すぐに確認しましょう」
直斗は稲羽署に電話をかけて、足立さんの居場所を聞き出した。
「足立刑事は生田目の搬送準備で病院にいるそうです」
「あれ?君たち、何でこんなとこに?」
みんなで病院に行くと、ロビーで足立さんに会った。
そこへ叔父さんがやってきて、生田目はどこだ、と喚いた。足立さんは叔父さんに駆け寄った。
「堂島さん、生田目はもう別の病院に搬送しましたよ。ほら、病室に戻って下さいよ」
だが叔父さんは動こうとしない。
「確かめたいことがあるんです。足立さんに」
直斗が進み出て言う。後ろには叔父さん、前にはおれ達のキツい視線に挟まれて、足立さんはたじろいだ。
―脅迫状を書いたのは、足立さんですか?
「脅迫状?よく覚えてないけど…」
「おい、覚えてないだ?俺は鑑識と組んで調べるようにって、お前に渡しただろ…忘れたのか」
ごまかそうとした足立さんに叔父さんは言った。
「最初に殺された二人は、実は生田目の仕業じゃないと、はっきり分かったんです。
別の誰かが殺したんだ。足立さん…知りませんか?」
直斗の言葉に、足立さんは動揺している。
「な、何を言ってるのか、意味がよく…」
「テメェが殺したんじゃないかって言ってんだよ!」
完二が怒鳴ったが、足立さんはなおも、とぼけようとする。
「バカ言っちゃいけないよ。そんなの、生田目が全部入れたに決まってるだろ!」
え?今、何て?
「全部…入れた?入れたって、何の話だ?お前、手口について何か知ってるのか?
まさか、この前のテレビがどうとかって、あの話…」
叔父さんは疑問を口にする。
「そうか、今、分かりました。足立さん、過去のあなたの言動の何かが、ずっと引っかかっていたんです」
追い討ちをかけるように、直斗が言う。
「…堂島さんの事故現場で、僕が生田目の日記を読んだときのこと、覚えてますか?
未遂で助かって、警察でも把握してなかった3件目以降の被害者の名前を読み上げたとき、
足立さん、あなたはこう言ったんだ。すごい、そりゃ決まりだね、って。
何が決まりなんですか?答えてください、足立刑事!」
「し、知らないよ!」
足立は走り去った。
足立を追って、たどり着いた先は空き病室だった。
だが、その中には誰もいなかった。この部屋には大きなテレビが置いてある。
たぶん、テレビの中に入った、と思う。
叔父さんがやってきて、おれ達に言う。
「頼む、足立を見つけてくれ。このままって訳にはいかない」
―分かってます。
また、いつも通りにやろう。
12月6日(火) 曇り
放課後、みんなでテレビの中に入る。足立を探すため、りせが探知を始める。
「…ダメ。何も見えない。こんなときにクマがいてくれたら…」
その場にへたり込むりせ。今日はこれ以上は無理そうなので、特捜本部に引き上げる。
クマのヤツ、ほんと、どこへ行ったんだろう…。重い空気が流れる。
視線を感じて顔を上げると、物陰からこっちを見ている熊の着ぐるみが…!?何の前触れもなく、クマが現れた。
クマは、放浪しているうちに忘れていた自分の正体を思い出したという。
クマは、自分の正体はシャドウであることをみんなに語った。
「こんなボクだけど、また、一緒に頑張らせて欲しいクマ」
―もちろんだ。正体が何であろうと、関係ない。
「お前がいないと、締まらねーんだよ。賑やかし、っつーか…」
陽介が言う。みんなに笑顔が戻った。
12月7日(水) 曇り
気を取り直してもう一度、テレビの中で足立を探す。
クマがやたらと張り切って、ついに足立がいる方角を突き止めた。
確か、そっちは、初めてテレビに入ったときに行った所だ。あの山野アナの部屋とおぼしき場所に行く。
そこに足立は待っていた。
―山野真由美を殺したのか?
「ああ、あれは、事故だよ。あの女、キーキー騒ぎやがって…」
足立は悪びれる様子も無く、言った。
ある夜、足立は天城屋旅館のロビーに山野アナを呼び出して、乱暴しようとした。
山野アナの背後には大きなテレビがあった。二人はもみ合いになり、山野アナはテレビの中へ入ってしまった。
足立はそのとき、自分の能力に気付いたという。
―小西先輩を殺したのも、やっぱり、お前か?
「ちょっと話を聞いただけだよ。で、ちょっと優しくしてやろうと思ったら、ガキのくせに、あいつ…」
おれが稲羽署に連れて行かれたときに入れられた部屋に、小西先輩は連れてこられた。
そこで足立はいかがわしいことをしようとしたが、小西先輩に抵抗された。怒った足立は小西先輩をテレビの中に入れた。
あれは小さなテレビだったが、細身の小西先輩は難なく入ってしまった…。
「テレビの中が危険だって知らなかったし、殺す気なんて無かったんだ。僕、なんか悪いこと、してる?」
こいつ…!
―生田目をたきつけたのも、お前なのか?
「生田目のヤツは、小西早紀の死体が上がった後、夜中に警察に電話してきてさ…」
生田目は、マヨナカテレビに雪子が映ったので、雪子を助けるようにと警察に電話した。
その電話を受けたのが足立だった。足立は生田目に、助けたいなら自分でやれ、
どこか見つからない場所にかくまったらどうか、と助言した。
「僕はちょーっと背中を押してあげただけ。生田目は、まんまと勘違いしちゃって…。
お前らが救えば救うほど、誘拐を繰り返す。お互い善意なのに、イタチごっこがもう止まらない…」
足立はさもおかしそうに笑う。
久保美津雄をテレビの中に入れたのも足立だ。
久保は早々に自首してきたが、よくあるイタズラだと思われて相手にされず、足立の元へ通された。
久保は諸岡殺しのみならず、最初の2件の殺人も自分がやったと言い張っていた。
「まずいと思った。罪を被りたがるやつがいるなんて、想像してなかった」
犯人が見つかれば、生田目が救済を止めてしまう。そうなっては面白くないので、久保をテレビに入れた。
脅迫状を送ってきたのは、おれ達の気持ちを煽るためだった。
「まるで遊びじゃねえかよ…。んな事で、人を…小西先輩を…。テメェ…許さねえ…!」
怒りに震える陽介に足立は平然と答える。
「許すとか許さないとか、どうでもいいよ。感じてないの?…霧が出て、あっちの世界はもうダメだって。
この町は、今年の暮れ近く、霧の中に消える。僕はこっちの世界に居るから、僕を捕まえようってんなら、来ればいい」
足立の姿は消えた。部屋の壁に穴が開いて、奥に行く道が出来ていた。この先に、足立はいる。
12月某日
現実世界の霧は日増しに濃くなっていく。
今年の暮れ近く、というのが具体的に何日かは分からないが、
その日までに足立を捕まえなければ、この町に破滅が訪れてしまう。
テレビの中に入って、足立を追う。山野アナの部屋の奥には、迷路のような複雑に入り組んだ舗道が広がっていた。
どことなく禍々しい雰囲気が漂っている。
そこの最奥で、足立と会った。足立は長々と語った。
要約すると、ちょっとした失敗でこんな田舎に飛ばされた足立は何もかもつまらなくなった、
だから現実世界に破滅をもたらすことにした、と、まあこんな感じ。
もちろん、おれ達は足立の主張などに耳を貸すつもりは無い。
足立はペルソナ能力を発現させて、襲い掛かってきたので、倒す。
あのペルソナは、イザナギに似てた気がする。
「くそ…なんだよ、つまんねぇ」
悪態をついて、足立は倒れた。と思ったら、また立ち上がった。
「こちら側も、向こう側も、共に程なく、二度とは晴れぬ霧に閉ざされる。人に望まれた、穏やかななりし世界だ。
平らかに一つとなった世界に、私が降りるのだ」
こいつ、もう足立じゃない。
―お前は、誰だ!
「私は、アメノサギリ。霧を統べし者。人の意に喚び起こされし者」
つまり、こいつが霧を生み出していたのだ。アメノサギリは語る。
「最早、すべては時の問題。お前たちは、大衆の意思を煽り、熱狂させる、良い役者であった。
…が、それも終わりだ。
私は人を望みの前途へと導く者。人自らが、虚構と現(うつつ)との区別を否とした。
心の平らかを望めど、現実では叶わぬゆえだ。そう、人自らが、破滅を望んだのだ。
我が望みは人の望み。それゆえ私は、こちらの世界を膨張させると決めた。
ここは、人の心の内にもとよりある、無意識の海に生まれた虚ろの森」
テレビの中の世界は、人々の心の中の世界、らしい。
「そのお前たちの力は、元をたどれば私がこの定めを招く先駆けとして授けたもの。
虚ろの森を渡る力を会得せし者に、私はそれを授けた。だからお前たちは、この世界に触れ、良き働きを成した」
これはたぶんペルソナ能力のことを言っているんだと思う。
「人はありのままを見るのではない。見たいものを、見たいように見る。
私はその後押しをしたに過ぎない。人々の見たいという心が集う世界。それが各々の望む通りに映る窓。
人々は自ら進んで現実から離れ、より虚構を欲するようになる」
マヨナカテレビに映るものは、人々が見たいと思ったものだ。だから、メディアで注目された人が映る。
あの夜、生田目の病室で見たマヨナカテレビに映っていたのは、生田目の本心などではなかった。
おれ達が生田目を犯人だと決め付けていたから、あんな風に映ったのだ。
「そう、虚構を欲すれば欲するほど、人はますます現実を求めなくなる。
そして、森はどこまでも拡がっていく。それがこの世界の膨張だ」
人々は虚構を欲し、現実を否定した。だから、こいつは現実を霧に沈めて破滅させようとした。
つまり、人々が破滅するのは自らが招いたこと。自業自得なんだ…。
足立の身体を乗っ取ったアメノサギリは、周囲のシャドウを取り込んで巨大化した。
それは棘がたくさん生えた巨大な球体になった。一つだけ付いている目がおれ達を睨む。
「私に逆らうことはすなわち、人世(ひとよ)の望みに逆らうこと。
さあ、全てを、甘き霧の中(うち)に…」
こいつを倒せば、霧は晴れて、破滅は免れる。
苦しい戦いになったが、倒すことができた。
「なるほど、強い力だ。力は心が生み出すもの…。いいだろう、お前たちが帰る場所の霧を晴らそう」
アメノサギリは何だか満足げに見える。
「我が望みは人の望み。人が望む限り、私はいつでも現れよう。私はいつでもすぐ側に居る…」
巨大な球体は消え、足立の姿に戻った。
「何だよ、これで終わりか…?」
足立にはまだ意識があるらしい。
「別にいいよ。君らは君らで、考えたとおりに生きればいい。僕はもうダメそうだ。ここでシャドウに食われてやるさ」
それはダメだ。生きて罪を償うよう、足立さんを説得する。
「そうか…そうだな」
足立さんを連れてテレビの外へ出る。
ジュネスからの帰り道。見上げると、青空が広がっている。
「私たち、今度こそ、ちゃんとできたんだ…」
―うん。おれ達の、勝ちだ。
決戦は終わった。元凶は退き、町を覆っていた霧は晴れた。
12月25日(日) 晴れ
いつものフードコートにみんなで集まった。他愛ない話で盛り上がっていると、携帯電話が鳴った。叔父さんからだ。
「おう、俺だ。実はな、菜々子が一時帰宅出来そうなんだ。俺の身体も、あとは通院で済みそうだしな。
今日は菜々子と一緒に帰ろうと思う」
みんなに叔父さんと菜々子が帰ってくることを伝えた。
「菜々子ちゃんのために、みんなでクリスマスパーティーしよ!」
「じゃあ、ケーキがいるね」
女子たちはケーキを作る気らしい。
「ちょ、待て、お前ら。ケーキは敷居が高いだろ」
それは誤用だ、陽介。ハードルが高いというのが正しいんじゃないか。
夜、叔父さんの家。菜々子は新しいコタツに喜んでいる。
結局女子たちはケーキを作ることになった。オムライスの悪夢が脳裏をよぎったが、
出来上がったケーキはおいしかった。
「お前たちには礼を言わなければならんな」
足立は素直に罪を認めていると、叔父さんは言う。
「前に言ってた、テレビがどうのとかいう話が本当なら、足立の供述と繋がるんだが…。
まあ、信じちゃいないがな」
結局信じないのか…。叔父さんらしいけど。
「菜々子もこうやって元気になってくれた。世の中ってのは、説明出来ない、不思議なこともあるもんだ」
ああ。おれも、そう思う。
そして、時は流れて…。
この町に、再び巡ってきた春。
3月20日(月) 晴れ
明日は都会へ帰る日だ。みんなとお別れの挨拶を済ませる。
最後にもう一度だけ、と思って、フードコートに行っていつもの席に座る。
こうしていると、いろいろなことを思い出す。
「あっ、来てたんだ。思い出の場所だもんね、特捜本部」
一人、また一人と特捜隊のメンバーがやってきて、結局全員が集まってしまった。
「長かったのか、短かったのか。でも、もう、こんな風に集まることもないんだね」
なんだかしんみりしてしまう。
「犯人捕まって、霧は晴れたけど、気になること、何気に解決してないよな。
向こう側も、いまだに霧まみれだし、さ」
確かに…。陽介の言葉に、みんなはうなずいた。
「確か、アメノ…なんとかって怪物、言ってたよね。自分が力を授けた、って」
虚ろの森を渡る力を会得せし者に、私はそれを授けた、と言っていた。
「要するに、ペルソナ能力を得た者に、テレビに入る力を授けた、ということでしょう」
「あれ…そういえばキミ、何も無いうちから、もういきなりテレビに入れたよね?ってことは、キミだけ微妙に例外?」
千枝の発言にハッとする。そうだ。おれは初めてマヨナカテレビを見たとき、テレビに入りそうになった。
ペルソナを得たのはその数日後だ。
「ってか、足立と生田目は?あの二人も、ペルソナよりも、テレビに入れる方が先だよね?」
おれだけ例外…?そして、足立と生田目も…。
そういえば今朝、足立からの手紙を受け取っていた。どうやら拘置所から出しているらしい。読んでみる。
「実は一つ気になっていることがある。そもそものことの発端、マヨナカテレビについてだ。
よく考えたら、この町に来てすぐに、誰かから教えられた気がする。生田目も、誰かから教えられたらしい。
でも、それが誰だったか、思い出せないんだ」
要約するとそんな内容だった。足立と生田目にマヨナカテレビのことを教えた奴、
そいつが何か知っているに違いない。そういえば、この町に来てすぐ、おれの身にも何かが起こった気がする。
みんなで手分けして調べることになった。
この町に来たときのことを思い返してみる。
駅に降りて、叔父さんと菜々子が迎えに来てくれて、叔父さんの車に乗った。
途中でガソリンスタンドに寄って、馴れ馴れしい店員と話した…。
雨が降り出してきた。あの店員は雨の日にはいつもいる。
一人でガソリンスタンドに向かう。やはり店員は立っていた。男とも女ともつかない、中性的な面立ち。
彼(彼女?)を目の前にして、全てを思い出した。
あのとき、彼と握手をして、手が触れた瞬間、衝撃が走った(コントローラーが震えました)。
その後気分が悪くなって、夜に変な夢を見た。
強い目眩を感じ、しゃがみこんでしまう。彼は不敵な笑みを浮かべた。
―おれに何をした?
「力に目覚めるきっかけを与えただけです」
―何故、おれにそんなことを?
「君が外から来たからです。外から来るということは、それだけでこの世界を刺激しますからね」
足立も、生田目も、去年の春にこの町に来たから、彼に選ばれたのだ。
「中でも君は、こうしてわざわざやって来た。一体、何のためです?」
―真実を知るためだ!
「真実にたどり着いて、それが何になります?愚かな者ゆえの欲深き定めですかね」
彼の姿が変わる。ガソリンスタンドの制服から、白い着物へと。
「私はイザナミ。霧を統べたるアメノサギリは、私が産み落とせし影の一つ。
フフ…あの場所で、待っていますよ」
イザナミは突然消えた。
イザナミを放置する限り、町はいつか必ず、霧に沈む…。この町に完全な平和を取り戻さなければならない。
みんなを呼び集めてテレビの中に入った。
霧が特に濃くなっている場所に、黄泉比良坂(よもつひらさか)はあった。
初めてこの町に来た日に見た夢と同じ景色が広がっていた。あのときの声はイザナミのものだった。
長い長い道を進んでようやくイザナミの元にたどり着いた。
イザナミは語る。
「絶望、虚無、そして希望…。外界より来(きた)る者たちから、私が選んだ3人の因子。
その中でも君は、最大の素養を見せました。
一人は事物を正しく見る目を持たず、力に目覚めることすら叶わなかった」
生田目はペルソナ能力に目覚めなかったらしい。
「一人は真実以外の物に身を委ね、目覚めた力を禍津(まがつ)へと堕とした」
これは足立のことだ。
「なのに君は、ここまで来てなお、真実を求めて戦えるというのか…。
愚かな。どのみち真実など知ったとて、人は幸せにはならない。
ならば、真実など元より何も無い世界に還すのが人のため。あるのはただ、深い霧だけ。
永遠に続く、静寂という平穏。全ては人自身が選び、望んだこと。私はそれに従うまでだ」
好き勝手言いやがる…。
イザナミは人の願いを見極めるために、マヨナカテレビの仕組みを作った。
そしてマヨナカテレビの噂を広める発端を作った。
外の世界から来たおれ達3人を握手で歓迎し、力に目覚めるきっかけを与えた。
そうして舞台と役者を用意した後は、ただ傍観していた。
マヨナカテレビと人々の好奇心の相乗効果で、事態は悪い方向へ進んでしまった。
一連の事件の本当の真相は、ただ、それだけ。
「全ては君たちのため。君たち人間が望んだ世界を創るためだ。
言ったはずだ。君たちの望みは霧に包まれた世界だと」
―確かに、人間の大半はお前の思う通りかも知れない。
―でも、おれ達はそんな風に生きるつもりは無い。おれ達はこれからも、真実を探していく。
―未来は、おれ達が決める!
「真実を知ることが全てじゃないんだ。なのに君たちは役者の分を超え、深く分け入り過ぎた。
来るがいい、業深き人の子よ!」
イザナミは伊邪那美大神となって襲い掛かってきた。
いくらダメージを与えてもイザナミは倒れる気配が無い。人は神には勝てないのだろうか。
イザナミは「幾千の呪言」という技でみんなを次々と倒していく。
授業で教わったことがある。それは古事記に出てくる、絶対的な死をもたらす呪いの言葉だ。
”あなたの国の人間を、一日に千人殺します。”
絶対的な死に抗うことなど出来ず、おれは倒れた。
おれの耳にみんなの励ます声が聞こえてきた。真の絆を結んだ(コミュランクがMAXになった)人たちの声が。
叔父さん、特捜隊のみんな、クラスメイト、同じ部活の仲間、バイト先で会った人たち、そして、菜々子。
みんなとの絆の力がひとつに集まり、「世界」になった。
心の中のペルソナ「イザナギ」は「伊邪那岐大神」に転生した。
おれは立ち上がった。この目で真実を見る。メガネを投げ捨てる。
そして右手に力を込める。思えば、イザナミ、お前と握手したのもこの右手だし、
テレビに触って力に気付いたのも、そしてカードが現れてペルソナ能力に目覚めたのも、この右手がきっかけだ。
だが、おれはお前がくれたきっかけ以上のものを手に入れた。かけがえない仲間との絆、そしてこの「世界」を。
あのときと同じように、右手に現れたカードを使い、伊邪那岐大神を喚ぶ。
絶対的な死に打ち克つ言葉、「幾万の真言」を、イザナミにぶつける。
”それならば私は、一日に千五百の産屋を建てよう。”
「人の子よ、見事なり」
イザナミの体は崩れ、消えて無くなった。
テレビの中の世界…人々の心の世界から霧が晴れ、真の姿を現した。
そこは花が咲き乱れ、美しい湖や草原が広がる世界だった。
なんだか懐かしいような、誰の心の中にもある原風景とでも言うべき場所。これが、おれ達が勝ち取った世界だ。
「クマ、思い出した。ずーっとずーっと昔、この世界はこういう場所だったんだ…」
3月21日(火) 晴れ
八十稲羽駅前にみんなが見送りに来てくれた。
二度と会えなくなるわけではないので明るい雰囲気だ。とりあえずゴールデンウィークに会うことを約束した。
クマは向こうの世界に帰るという。
「あそこがクマの世界だって、胸を張って言えるから」
予想通り泣き出した菜々子を慰める。
「お前の部屋はそのままにしとくから、いつでも戻って来いよ」
叔父さんはそう言ってくれた。
おれを乗せた電車は走っていく。
どんなに遠く離れていても、絆は消えはしない。
キミも、みんなも、一人じゃない。
ボクたちは、同じ世界で繋がっている。そう信じてるから。
Fin
※補足
エンディングは5種類あります。
12月3日、病院で菜々子死亡の後、生田目をどうするか、でまず分岐。
生田目をテレビに入れる(陽介の考えに賛同する)→菜々子死亡のままエンディング。
生田目を放置する(陽介の説得に失敗する)→菜々子復活でエンディング。
生田目のことを誤解していると気付く(陽介の説得に成功)→菜々子が復活し次のステップへ
12月5日、犯人を推理する場面で分岐。
推理を3回間違える→エンディングへ
犯人を正しく推理する→次のステップへ
3月20日に…
やり残したことはない→エンディングへ
やり残したことに気づきイザナミを倒す→エンディングへ
種類によってメッセージが変化しますが3月21日に主人公が帰るというのは変わりません。
↑は当然イザナミを倒すエンディングです。
攻略本にも書いてありましたが、自分が納得するエンディングが本当の真実です。
といっても生田目を殺したり推理を間違えるエンディングは実質バッドエンドです。
てかやっぱりイザナミを倒さないとダメでしょう。そんなに強くなかったし。
※補足2
ペルソナ3&4をまったくやったことない人へ。
コミュとはコミュニティの略で、これがいわゆる「絆の力」です。
タロットカードの番号0~20に相応する21種類のコミュが存在します。(3フェスは22種類)
たとえばペルソナ4では番号1の「魔術師」コミュは陽介コミュです。
陽介と友達になったときに「魔術師」コミュは発生します。
コミュを発生させた後は、放課後や休日などの自由時間に
陽介と一緒に遊んだり悩みを聞いてあげたりするイベントを発生させ、
陽介と仲良くなっていくと、「魔術師」コミュランクが上がっていきます。
ランク10でMAXとなり、コミュの対象者との真の絆を得たことになります。
ランクに応じてペルソナを生み出すときにボーナスがついたりして、間接的に主人公の力となります。
1年間(といっても実質9ヶ月ほど)という限られた期間の中で
どれだけ多くのコミュを発生させ、そしてランクを上げられるかが勝負の決め手です。
コミュの対象が女子の場合恋人になるという展開もあります。(ちなみに恋人は複数作れます)
RPGとは言いながら、この部分だけはもう育成型シミュレーションと言っても過言ではありません。
3でも4でも、コミュランクがMAXになった人たちの絆の力をひとつに合わせて新たな力を得るイベントがあります。
3では「宇宙(ユニバース)」、4では「世界」の力を得ます。両方とも、タロットカードの番号21を意味します。
ペルソナ3フェスではアイギスのコミュである「永劫(アイオン)」コミュが追加されてますが、これはタロットカードの番号20です。
(「宇宙」や「永劫」はトート・タロットという、一般のタロットカードとは解釈が違うものからの引用です。
20は「審判」、21は「世界」の方がどう考えても一般的。)
最後に。
主人公がイザナギ役なら、真のイザナミ役はやっぱり菜々子ちゃんでしょう
黄泉から連れ戻すイベントもあるし。
んで増えていった仲間はイザナギの娘や息子の神々たち。…と考えるとマジ神話みたいで楽しい。
最後には国ではなく「世界」を産んでしまうし。
おまけ
バレを含む主要人物の補足とコミュを紹介。
主人公…
前作とうってかわって両親とも健在だしおまけに兄弟がいてもおかしくない雰囲気。
実は出生の秘密が…なんてことも無く、どこまでも等身大なところが好感持てます。
強いて言えば料理ができるところがちょっと珍しい特長か。
それゆえかどうかは知らんが、堂島家においてはお兄ちゃんを通り越してお母さんの役割も果たしていたように思う。
ペルソナ能力は「ワイルド」(アルカナは0「愚者」)。
他の仲間と違って彼だけは全てのアルカナ(ペルソナも、コミュも)を手にすることが出来、
それはやがて XXI「世界」へ至る。
花村陽介…
コミュイベントを見て初めて小西先輩のことが本当に好きだったんだと気付きました。
もっと軽い気持ちだと思ってたよ
ちなみに選択肢をうまく選ぶと陽介が小西先輩のことを想って泣くイベントが発生。
そのとき主人公は陽介を抱きしめてなぐさめることが出来ます。
男子を抱きしめられるのはこの場面だけ!うーん痒い。
コミュ:I「魔術師」
主人公より半年早く、都会からこの町に引っ越してきた陽介。
陽介は都会への未練を断ち切れず、この町は何も無いつまらない場所だと思っていた。
同じく都会からやってきた主人公もそんな風に考えていると陽介は思っていたが、主人公は違っていた。
そんな主人公にどこか嫉妬していた陽介はある日、川原に主人公を呼び出して、俺を殴ってくれ、と言う。
二人は殴り合って友情を確かめた。大事なものは遠いところにあるんじゃない、自分の周りにあるものだ。
家族も、仲間も、親友である主人公も。陽介は誓う。ウザいなんて思わず、自分をごまかさずに、力いっぱい生きると。
どんな一日も、大切な一日。小西先輩が生きられなかった一日だから。
里中千枝…
何気なく言ったことが的を射ていて推理が進展する、といった展開が5回ぐらいあった。
コミュ:VII「戦車」
特訓するから付き合ってと言われる主人公。川原で特訓する日々が続いたある日、
千枝の中学時代の同級生の男子、剛史と出会う。剛史が言うには、千枝は昔からガキ大将として相当ならしていたらしい。
剛史は千枝に、何のために強くなろうとしているのか、と問いかけるが千枝は何も考えていなかった。
ある日、特訓の帰りに商店街に寄ると、剛史が不良グループにカツアゲされている場面に出くわす。
千枝は後先考えずに飛び出して不良たちを追い払ったが、剛史からは感謝されるどころか文句を言われる始末。
自分が思う正義を人に押し付けていただけだったと悟った千枝は、主人公や雪子を守るために強くなると決意を新たにした。
天城雪子…
ただのおとなしい子かと思ったらどっこい、変な拍子でスイッチが入ると笑い出して止まらなくなるという特性の持ち主。
そのスイッチは下らない駄洒落などで簡単に入ってしまう。
コミュ:II「女教皇」
高校を卒業したらこの町を出て行くので、旅館は継がないつもりだと言い出した雪子。
ある日、旅番組の取材があるというのでいそいそと帰ろうとする雪子の前に、悪徳TVプロデューサーが現れた。
旅番組の取材というのは嘘で、ワイドショーで天城屋旅館を面白おかしく報道するつもりだとプロデューサーは言う。
雪子はスポンサーに抗議すると言ってプロデューサーを追い払った。
数日後、雪子は主人公に言う。やっぱり旅館を継ぎたい、旅館は自分の大切な場所だと気付いたから。
ただ敷かれたレールに沿って進むのが嫌だった、でも今回は自分の意思で旅館を継ぐと決めたから、と。
巽完二…
初めて直斗に会ったときに一目ぼれをしてしまうが本人は無理に否定しようとしてる。
だが直斗が女の子だとわかってホモ疑惑は晴れました。良かったね。
コミュ:IV「皇帝」
ある日、完二は編みぐるみを失くして困っている男の子に出会った。必死で探しても見つからなかったので、
完二は男の子に新しい編みぐるみを作ってやった。男の子に感謝され、完二は自分の趣味に自信を持った。
死別した完二の父は、完二に「男なら強くなれ」と言い遺した。
完二は不良になって人を寄せ付けないことで強くなったと思い込んでいたが、それは間違いだった。
もう周りを気にして自分の趣味を恥ずかしいと思ったりしないと完二は言う。
本当の強さとは、どんなときでも自分を貫いていけるということだ。
久慈川りせ…
主人公を見るなり好き好きビームを飛ばしてくる。戦闘中にも主人公をカッコいいとか言って褒めてくれる。
不思議と悪い気はしない。むしろ気分いい(個人的に)。
コミュ:VI「恋愛」
休業したりせの穴を埋めるように、りせの事務所の後輩である「かなみん」こと「真下かなみ」の人気は急上昇。
そんな「かなみん」に対し嫉妬しているりせ。ある日、りせは嫉妬している原因に気付く。
りせは作られたキャラである「りせちー」が嫌で逃げ出したが、そんな「りせちー」ですらも自分自身なのだ。
本当の自分などどこにもいない。どんな自分も全てが「自分」。だから、りせは逃げるのを止めた。
春になったら芸能界に復帰し、がんばってみようと思う、と、りせは晴れやかな笑顔で言った。
白鐘直斗…
女だということは攻略本にも載ってない最重要機密なのだ。ちなみに選択肢をうまく選ぶと恋人にもなれます。
コミュ:X「運命」
「怪盗X」なる謎の人物から、直斗の元へ挑戦状が送られてくる。
主人公と直斗は二人で「怪盗X」が出す謎を解いていく。それはまるで子供向け探偵小説のノリだった。
謎を解いていくうちに、子供の頃の純粋に探偵に憧れていた気持ちを思い出していく直斗。
実は「怪盗X」とは直斗の祖父だった。最近何か思いつめている直斗のために仕組んだことだったのだ。
困っている人を助けたいから自分は探偵になったのだということを、直斗は改めて心に刻む。
性別がどうとかいう問題は些細なことだ。自分は自分でしかないのだから。
クマ…
主人公を「センセイ」と呼んで敬っている。なに気に死語使いだし、
着ぐるみのデザインもレトロ感漂ってるので相当古くに生まれたであろうと想像できる。
コミュ:XVII「星」(メインストーリーと連動)
一匹のシャドウに、ある日「自我」が生まれた。「自我」は人間に好かれようと願ったので、
自称ぷりちーなクマの着ぐるみの姿を手に入れ、「クマ」と名乗り、自分がシャドウであることを忘れた。
主人公たちと出会ったクマは自分という存在について悩むようになる。
主人公たちがピンチに陥ったときにクマは「人格」を得、ペルソナ能力に目覚めた。
存在意義を探し続けるクマはついに「存在」という名の肉体を手に入れ、人間となり、現実世界に降り立った。
クマは発生順こそ特殊だが、主人公たちと同様、人間であることに変わりは無いのだった。
堂島遼太郎…
堂島も菜々子も料理ができない。だから夕食はおかずを買ってくるらしい。
朝はトーストで菜々子が目玉焼きを作るんだってさ。
主人公が帰った後の堂島家はどうなるんだろうとちょっと心配になる。
コミュ:V「法王」
夜、堂島が暇そうにしているときに、主人公は堂島と話をしてみることにした。
堂島と菜々子の間には微妙な距離感があるのは何故かと主人公が問うと、菜々子をどう扱ったらいいのか分からないとの答え。
仕事が忙しいのを口実に、菜々子のことは亡き妻の「千里」に任せっきりだったという。
もう一歩踏み出せば菜々子と解り合えるはずなのに、臆病な堂島はそれが出来ないでいる。
千里のように大切な人をもう一度失うことを考えると怖いと堂島は言う。
主人公の協力により、堂島は逃げるのを止め、菜々子と向かい合うことを決心した。
主人公はその日から堂島と菜々子の本当の家族になった。
堂島菜々子…
5月にフラグが立って(コミュが発生して)以降は主人公のことをお兄ちゃんと呼ぶようになる。
このゲームの真(裏?)ヒロイン。誰を恋人にするかは人それぞれだけど、妹は不動の存在だからね。
コミュランクがMAXになっていると3月20日にお兄ちゃんと結婚するなどと定番台詞をのたまう。
コミュ:VIII「正義」
テレビで、少年が本当の家族に会いに行くというドキュメンタリー番組をやっていた。
それを見た菜々子は主人公に、本当の家族とは何かと尋ねる。
この番組では血の繋がりのことを指しているが、主人公は菜々子に、本当の家族とは大好きな人のことだと教える。
菜々子は堂島も主人公も本当の家族だと言って喜んだ。
ある日菜々子は、母親を亡くして寂しいのは自分だけではない、堂島も同様に寂しがっていたのだと気付いた。
菜々子と堂島の距離が縮まった。
おまけ2
ペルソナ「伊邪那岐大神」。アルカナは「世界」。
イザナミを倒したクリアデータで2周目を始めると伊邪那岐大神が合体で作れるようになる。
シリーズ初(たぶん)空前絶後の12身合体により生み出される。
レシピは
イザナギ
ザントマン
ナタタイシ
ギリメカラ
ノルン
オオクニヌシ
オルトロス
カルティケーヤ
ミトラ
ツィツィミトル
クー・フーリン
レギオン
以上12身。
ちなみに1文字目を縦読みすると…
出落ちかよ!?しかもノルンとか地味に用意するの大変なんだぞ
ノズチとかでもいいじゃんorz
ザントマンもなんで急に出てきたんだろうと思ったらこのためだけにいるっぽい。
作ってみたけど覚える技も微妙に使い辛いし
期待しすぎは禁物である。
イザナミとのラストバトルでは超かっくいーのになー