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    ラプラスの魔(PCE/ヒューマン)

ストーリー

 時は1920年代、アメリカはマサチューセッツ州の小さな街ニューカムに、人も住まない荒れ果てた古い館があった。館では奇怪な出来事が次々に起き、人はいつしかその館を「幽霊屋敷」と呼ぶようになった。

 そしてある日、館の謎を究明すべく、数名の者がこの街を訪れた。

1、ゲームの概要

 このゲームは、オカルト色が強いキャラクター視点で行われる3DRPGです。プレイヤーは幽霊屋敷の謎を解明すべく訪れた探求者となり、この幽霊屋敷の謎を解く事が目的です。

 プレイヤーが最初にやる事は「キャラクターの作成」です。ゲームを始めると、キャラクター作成画面になり、自分の分身となるキャラクターを作る事になります。キャラクターは、名前、性別、誕生日を決めた後、ボーナスポイントをステータスに振り分け、職業を決定します。

 職業は、体力が高く、武器の扱いや尋問の能力に優れている「探偵」、写真撮影が可能で、探索能力にに優れ、武器もそこそこ扱える「ジャーナリスト」、機械による精神攻撃が得意で、手当て能力もある「科学者」、霊能力による精神攻撃、精神治療を得意とする「霊能者」、捜索と精神治療が得意で、武器、機械の扱いや傷の手当ても出来る「ディレッタント」の5つで、職業で習得できるスキルが違う上、スキルレベルの上限も変わってくるので、良く考えて作成しましょう。

 キャラクターを作成したら、ホテルで4人パーティを編成します。キャラクターはホテルでいつでも作成できます。またホテルでは、ジャーナリストが撮影した敵の写真を買い取る換金所でもあります。このゲーム敵を倒してもお金を得る事が出来ません。ここで写真を売る事でしか、このゲームはお金を得る事は出来ないのです。

 冒険の舞台は、幽霊屋敷ですが、探求者達が冒険の準備をするのはニューカムと言う田舎街。ここにはホテルだけでなく、いろいろな道具を売ってくれる「武器と道具の店」、バッドステータスを直してくれる「病院」、探求者のレベルに応じてスキルを上げてくれる「訓練所」、情報収集に役立つ「酒場」等いろいろな施設があります。

 ダンジョン内ではこういう施設は勿論ありませんので、ここでの準備は非常に重要になってきます。

 2、ゲームの魅力

 普通の3DRPGにオカルト色をつけた今作品・・・そのオカルト色が一番出ているのはやはり戦闘でしょう。ダンジョン内には、勿論探求者を襲うモンスター達が多数います。大抵のモンスター達は、普通の物理攻撃で倒せますが、中には、体が半透明で物理攻撃を全く受け付けない幽霊もいるのです。幽霊には、科学者の機械、霊能力者やディレッタントの精神攻撃で対抗するしかありません。つまり敵によって戦う方法を変えていけないんですよね。

 またこのゲーム、さっきも書きましたが、敵を倒してもお金は得られません。ジャーナリストが敵の写真を撮り、それをホテルの支配人に売る事によって始めて得る事が出来るのです。

 しかしどんな敵の写真でも高く買い取ってくれるわけではなく、オカルト色が強い写真のみ高く買ってくれます。フィルムもただではないので、どの敵がオカルト的かちゃんと見極めて撮影していかないとフィルムが無駄になるので注意が必要なんですよね・・・・。

 モンスターにはモンスター、幽霊には幽霊の対抗法で望まないと戦闘には勝てない、限りあるフィルムを有効に使い、金になりそうな幽霊の写真を撮ってお金にする・・これはオカルト色が強いこのゲームならではの面白さだと僕は思います。

 勿論3DダンジョンRPG特有の「ダンジョン探索・謎解き」の面白さも満載です。まあ暗号解読やパスワード入力と言ったものはありませんが、ダンジョン内は結構入り組んでいる上、物陰に道が隠されていたり、隠し扉なんかもあります。

 キーアイテムも机やたんす、ごみ捨て場なんかに隠されているので、常に注意深くダンジョンを見て怪しい所で、探索コマンドをフルに活用していかないとこれらの隠された物が見つからないんですよね。その探索コマンド、「調べる」、「取る」、「動かす」、「罠を外す」等ADV並にいろいろあり、これらを使っての探索はかなり奥の深い物になっていると思います。

 冒険の舞台となるダンジョンは最初はさっきも書いた幽霊屋敷ですが、後に異次元のラプラス城に移ります。このラプラス城、異次元にある為か、城の内部に何故かジャングルがあったり、川があったりするんですよ。でもいつも同じような壁をしたダンジョン内を歩き回っているので、こういうエリアに出ると新鮮さを覚えるんですよね。

 おまけに川なんかを渡る為にまたいろいろと考えていかなくてはいけないので、冒険の幅が広がり、よりゲームを面白くしているので、僕はこういうのに好感が持てました。

 キャラクターにはスキルと言う物があると冒頭でも言いましたが、このスキルもいろいろな種類があり、普通のRPGでは見れないものもあるんですよ。

 「剣」や「銃」を使いこなす一般的なスキルも勿論ありますが、科学者が幽霊退治をする為に必要な機械を使いこなすスキル「機械」、ジャーナリストが幽霊の写真を取るために必要なスキル「写真」、探偵がダンジョン内にいる人達と円滑に話すために必要な「尋問」等バラエティに富んでいます。勿論これらのスキルは、「幽霊を倒す」、「幽霊の写真を撮ってお金を稼ぐ」、「ダンジョン内の重要な情報を聞き出し謎を解く」為に絶対に必要なものなので、必ず習得させなくてはいけないのでサブスキルとは言え軽視出来ません。

 またこのゲームは「精神治療」や「手当て」と言ったスキルを身につけていないと、精神治療や傷の手当てに必要なアイテムを使えないので、アイテムを使うと言う観点からも、スキルの習得は重要になってきます。戦闘面のスキルだけでなく、いろいろなサブスキルを身につけないとダンジョンは制覇出来ません、その為スキル習得もかなり奥が深く味わい深いものになっていると思います。斬新な戦闘方法、手強いダンジョン、多彩なスキル・・・面白い要素をうまくまとめた3DRPGだと思いますよ。

3、ゲームの欠点

 3Dダンジョン物のRPGには、ストーリー性に優れているRPGはあまりありません。いうまでも無い事かもしれませんが、このラプラスの魔も例外ではなく、ダンジョン内の重要人物達とそれなりのやりとりはありますが、ドラマ性の強いイベントは皆無と言っていいくらいありません。

 オープニングビジュアルに登場する「草壁 健一郎」と言う探求者の仲間になる重要人物も、仲間になる時はそれなりに面白いドラマがあるのですが、仲間になったらそれっきり物語上には出てきません・・・・。オープニングに出てくるのに味気ないですよね・・・・。僕がこのゲームのイベントでドラマ性があり「うーん」と唸ったのは、最後のラプラス皇帝とその娘カサンドラ姫とのやり取りだけですので、そういうドラマを求める人はやらない方がいいと思います。

4、総評

 パソコンからPCEに移植された今作・・・オカルトが大好きな僕は、PCE雑誌でこれに見て惚れこみましてね、勿論発売日に買いました。しかしこの当時の僕はRPG下手で、このゲーム最後までいけず売ってしまったんです。

 クリアしたのはつい最近で、これをレトロゲーショップで見つけましてね、ようやくリベンジを果たす事が出来たのです。あの当時の僕は、よくこのゲームの魅力が見えていなかったんですね。奥が深いゲームは、いい所が見えにくい物が多いですが、これもその1つだと思います。

 このゲームのシステムで、一番面白いと思ったのは、勿論「幽霊の写真を撮ってお金にする」と言うところでした。こういう方法でお金を稼ぐゲームっていままでありませんでしたからね、いいカメラをジャーナリストに買い与えて、心霊写真を撮りまくり、ホテルで売る事にかなりはまってしまいました。

 しかし下らないツッコミで申し訳ないのですが、このホテルの支配人、なんで心霊写真を買い取ってくれるんですかね。しかも写真の中には、ラプラス城で出会った悪魔の写真まであるのに、眉一つ動かさず、希少価値があると言う事で買い取ってくれます・・・・まあ多分オカルトマニアかなんかだと思いますが、怖い幽霊や悪魔が写っている写真見ても動揺しない神経は凄いと思いましたね(笑)。

 PCEのCDRPGは、ビジュアルシーンがあるのが常識ですが、このゲームの場合オープニングとエンディングにしかそのビジュアルシーンはありません(声優による肉声はそこかしこにありますが)。そのビジュアルも、普通のPCERPGとアニメチックな物とは違い、かなり濃い感じの物なので最初見た時はビックリしました。

 しかしその濃さがオカルト色の強いこのゲームに良く合っていたので、見ているうちにそのビジュアルに引き込まれていきましたね。エンディングのビジュアルは、幽霊屋敷を後にする健一郎の姿を描いただけなのですが、その哀愁漂う健一郎の姿と、味のあるナレーションがうまくマッチしていて、見ていてジーンときましたね。この濃いビジュアルには、賛否両論あると思いますが、僕はオカルト色と男の哀愁をうまく出しているので大好きです。

 このゲームで一番辛かったのは、ラスボスの間へ行く道ですね。ここではあのソロモン王が封印した魔神達と戦っていく事になるのですが、なんと72人もいるんですよ。まあ1人1人の力は大した事がないので、倒すのはそんなに苦労はしませんが、さすがにこれだけの数が揃うと大変でして、全部倒すのに1時間位かかったと思います。1度倒せばもう出てこないので、全部倒したら、面倒でしょうが町に戻ってセーブし、体力を回復してラスボスの間に乗り込むようにしましょう。ラスボスは、結構手強いですからね、万全の態勢で臨まないといけません。

 ラプラス皇帝役、そしてさっき書いたナレーションは仮面ライダーの死神博士役でお馴染みの「天本英世さん」がやっていますが、この人の演技いい味出していますね。3のところで書いたこのゲーム唯一の見せ場である、ラプラス皇帝とその娘カサンドラ姫とのドラマは天本さんの演技があって初めて完成されたものだと思いますね。天本さんの起用は大成功だと思います。

 オカルト色が強いと言ってもそんなにグロテスクな描写はなく、むしろ渋さが光るゲームだと思います。そこが魅力なんですよね。このゲームこれからも大事にしていきたいです。