第51話 クトゥルフの世界にようこそ! −ラプラスの魔− |
今回はクトゥルフ神話の世界観をもとに作り出した、ホラーRPG「ラプラスの魔」です、
今までのRPGには無かったボード版RPGを意識したこの作品は、
アドベンチャー+ロールプレイという新たな広がりを見せた作品でした。
それでは、狂気渦巻くクトゥルフの世界へどうぞ..
☆クトゥルフ神話とは..
クトゥルフ神話とは1920年代のアメリカでH.Pラブクラフトという怪奇作家を中心に書かれた
数々の恐怖小説の中から作られた神話体系で、神性をもち、時空さえも超越した怪物や、古の昔に地球を統べていた支配者たちが
残した数々の軌跡と、それに人類がその英知に触れる事による恐怖を描いたホラー小説です(かなり省略してますが..)、
このゲームでも1920年代のアメリカ大陸東部の町ニューカム(クトゥルフ神話の舞台となっているアーカムのもじり)
に建つ幽霊屋敷を舞台にしています、暗闇の中、稲光によって映し出される館の姿が、ゲームの雰囲気をよりいっそう盛り上げてくれましたね!
☆ここが違うぞ、探索システム
このゲーム最大の特徴は、今までのRPGになかったアドベンチャーの要素を加えた事だろう、
ゲームの目的も敵を倒してどうこうと言うのではなく、館を調査し事件の謎を解決するのが目的で、
プレイヤーのコマンドにも調べるや動かす、取るなど探索に欠かす事のできないコマンドが用意されており、
それらをしつこいまでに使わないと決して先に進む事はできない、モンスターとの戦闘においても、
戦うだけでなく、話す、交渉、尋問、降伏など今までとひと味違った作りになっていた、
まあ、このおかげで普通のRPGより格段に難しくなったのは言うまでもないが..(笑)
☆ラプラスの魔の恐怖!(アイテム編)
このゲームの恐怖の一つとして、探索の途中でアイテムが壊れる事があるのだ、
「なんだ、そんなこと良くある話じゃないか!」と思うかもしれないが、実際に遊んでいるとまさに恐怖としか言いようがない、
カメラが壊れて写真が撮れなくなったり、コンパスが壊れたりするのはまだまし、
問題は戦闘中に武器(サーベルや銃器等)が壊れる事、こうなるともう悲惨としか言いようがない、
ただでさえ敵が強いのに攻撃がほとんど当たらなくなる、こうなってはほぼ全滅の可能性も出てくる、
しかもアイテムが壊れるのは耐久度ではなく確率なので、下手をすると館に入った最初の戦闘で壊れるなんて事も..(涙)、
ほかにも機械のバッテリーは以外に早く無くなるし、暗闇を探索するためのライトも長持ちしません、
とにかくいつ壊れるともわからないアイテムに、よく恐怖したものです!(笑)
☆館を出るのも命がけ!
まず最初に訪れる幽霊屋敷、ウェザートップ館、この最初の館から既にハイレベルな難易度が待っている、
館に入ると同時に入口の扉は閉まり、開ける事ができなくなる、これを開けるには
3階にある鐘を鳴らさなければならないのだが、当然の事ながその情報を知らないと館をうろつき回る事になるし、
敵がやたらと強いから、低レベルの探索者だとスケルトンやゾンビに出会うだけで、
死体の一つや二つできて当たり前の難しさ、そうこのゲームの一番最初の目標は、
全員生きたまま街に帰還する事にほかならないのだ、たったこれだけの事ですら難しい、そういうゲームなのである(笑)
☆○○G手に入れた?、そんなのはありません!
RPGにおけるお金稼ぎと言えば、敵を倒して手に入れるのが普通、
しかし常識を考えるとそんなモンスターがお金を持ってうろうろしているのはおかしい!、って事で、
このゲームでは敵を倒しても手にはいるのは経験のみ、では金はどうやって稼ぐのかというと、モンスターの写真を撮影し、
それを売る事によって収入を得るのだ、これがまた大変で、ただでさえ戦闘中は辛いのにその中で撮影をしなければならない、
さらにフィルムは一度に5枚しかセットできず、一度に持てる枚数もパーティ全員で20枚が限界、
もちろんランダムでカメラも壊れるというサービス付き(笑)、そしてさんざん苦労して撮影した写真を売ると、
ピンボケで買い取り金額が半額になって、うがーって感じでしたね!(笑)、
とりあえず館から生きて帰れるようになったら、こんどは安定してお金を手に入れる事が次の目標でしょう!
☆まさに恐怖のラプラス城!
館の地下室より五芒星の魔法陣を使いワープしてきた先、そこは中世ヨーロッパの雰囲気が漂うラプラス城、
はっきり言ってここは罠、謎、敵とも凶悪、ここに比べればウェザートップ館なんて子供だましのようなもの、
下手に踏み込むと死が待っていたり、いきなりキャラクターが消滅するデストラップ!、
出現してくる敵もファンタジーRPG等で見かけるような、トロールとかヴァンパイア、ヒドラにデーモンまで出現する、
もうすでに現実離れした世界です(笑)、でもこんなファンタジーの世界で銃器や機械を使って敵と戦い、写真を撮影してそれを売る
って考えると、なかなか面白いかもしれませんね、実際は生き残るのにいっぱいいっぱいでそんな余裕はないけど..(笑)
☆謎の難しさ!(迷宮編)
ラプラス城に来て嫌と言うほど思い知らされるのがマッピングの難しさ、予告も無しに別の場所に飛ばされるワープ空間、
一方通行の扉に終わりが来ない無限回廊、全く道の見えないジャングルにまっすぐ進めない霧の水域、
もう既に城の中じゃ無いです!!、そして極めつけはマッパー泣かせのゲームマスターの迷路、
ここは10×10の空間になっていて、その総てを1回だけ通過してスタートからゴールまで行くというもの、
もちろん途中には壁があり、ただ単に通過していくだけではダメな作りになっている、
「なんだ、ただの一筆書きみたいなものか!」と思っている人、そんなにこのゲームは甘くない!!、
何故なら壁のうちいくつかはランダムで出現するのだ、つまりその場所に壁があるかどうかは
行ってみないとわからないのである!、とりあえずコンパスで場所を確認しつつ、確実に出現する壁をチェック、
その後、ランダムで出現する壁に関しては運任せで何度も挑むしか方法は無いと思う..たぶん(爆)
☆敵は怪物だけじゃない!
迷宮内にいるのは怪物だけではない、ゲーム中に全滅したり、途中で死亡した仲間をそのまま置き去りにしたりすると、
そいつらが幽霊となって現れてくるのだ、こればっかりは初めてあった時にはびっくりしましたね、
元々仲間だっただけに、話しかけてみると、いきなり問答無用で襲ってくる!、やはり死亡した仲間は置き去りにせず、
ちゃんと死体置き場で回収してあげましょう、そうして連れ帰って再び生き返らせてあげておけば、
これ以上、死亡したもと仲間に悩まされる事は無いでしょう!(笑)
☆地獄の扉がいま開く!
さて、ラプラス城で総ての探索を終えたら、いよいよ地獄門を抜けて地下2階へ向かう事になる、
ここはまさに地獄と呼ぶにふさわしい場所、ライトもコンパスも使えないし発見も解除もできない罠が
多数存在する、凶悪なモンスターも多数存在し話し合いは一切不可!、テレポーターや消滅のトラップ
(キャラクター1人が消える)まで存在する、でもこれらの難所も、この先に紹介する内容に比べれば、
まだまだ可愛いものだったりする..
☆名状しがたきもの(笑)
地下2階の奥にある尊名門この扉の向こうに最後の敵が待っているのだが、この扉を開けるのが
このゲームの最大の難所となる、まず扉には「ここに入りたる者、我の名を告げよ!」と書かれている、
そんなヒントも無しに名前が解るわけがない、これはこの扉の手前にある25体の怪しい像がキーとなる、
この像を調べると“白き魔王バロン・(悪魔の名前)”というグレーターデーモンが登場、戦闘となる、
実はこのデーモンを降伏、尋問することにより、扉を開けるキーワードを1つ教えてくれる、
そう勝つ事すら容易でない相手を倒すのでは無く降伏させるのだ!、これを1度も街に戻ることなく、
何度か繰り返す事によりキーワードを知る事ができる、しかし正しいキーワードを入力しただけで開くほど
このゲームは甘くない!(って言うか、もうこれくらいで勘弁して)、扉を開けるにはもう一つ
「城にて霊界を通らざる者、奥の扉に入ることできず」の言葉が示すとおり、
霊界に一度行った事があるメンバーが必要となる、この謎のおかげで、結構苦労させられました、
やっぱり仲間は大切にしないと..(笑)
☆あの人はいま..(爆)
皆さん、無事ゲームをクリアできましたか?、もしかしたら誰か忘れてませんか?、
それはラプラス候?、魔術師モルディブ?、それともベネディクト・ウェザートップ?、
そう、この人達はいったいどうなったんでしょうね、敵の凶悪さと謎の難しさに思わず存在を忘れて
しまいがちですが、それぞれしっかりと決着をつける事ができます!、まずはラプラス候、
こいつは城5階からにげたあと、地下2階のグレーターデーモンの一体に混ざってます、
白き魔王バロン・バールと言う名のデーモンを倒すとミッション経験値が貰えます、
次に魔術師モルディブ、こいつは城1階でルビーの鍵をくれる魔術師、
実はこいつが魔術師モルディブです、そのまま倒すとわかりませんが、
こちらが降参すると名前を名乗ってくれます、そして最後にウェザートップ館の館主、
ベネディクト・ウェザートップ、こいつは城3階の南東あたりにこっそりと隠れています、
ここには4階から降りてたどり着くんだけど、4階の闘技場エリアでの激戦と、
5階への上り階段のためついつい忘れてしまいまうんですよね(笑)、序盤で散々苦労させてくれた館の館主だけに、
絶対に逃がさないようにしましょう!
☆あとがき
たぶんいままで遊んだRPGの中で、一番難しいと言っても間違いないゲームかもしれない、
人知を超えた凶悪な敵、ほとんど理不尽に近い難しい謎、ネズミや蜘蛛にさえ殺されるひ弱な探索者(笑)、
少なくともドラクエ世代のゲーマーが遊ぶには、あまりにも難しいゲームでしょう!
しかし、それだけ難しいゲームにもかかわらず、何故にここまでのめり込んでしまうのか、
それは絶えず死と隣り合わせでいる緊張感、まだ見ぬ世界への恐怖、そして謎を乗り越えた時の達成感、
そういったものがプレイヤーの意識を刺激して、止められなくなるのでしょう、
ようは怖い話は苦手なのに、ついつい聞いてしまう、そう言った気持ちなのかもしれませんね!
なかなかに素晴らしいこのゲーム、もし何処かで遊べる機会があったなら、
ぜひこの恐怖を体験してみる事をお勧めします、ただ僕はもう勘弁して欲しいですけどね..(笑)
−DATA−
開発:ハミングバード<Humming Bird Soft>
登場:1987年
種類:RPG
機種:PC-98,88,FM-77,その他
値段:7,800円
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