高松宮記念杯競輪
検車場レポート

■ 6月12日(前検日) ■ 6月13日(初 日) ■ 6月14日(二日目) ■ 6月15日(三日目)

浅井 康太 選手

金子 貴志 選手

藤木 裕 選手

中川誠一郎 選手

脇本 雄太 選手

 猛暑が続く岸和田競輪浪切バンク。大会は準決勝を迎える3日目に突入する。熱い戦いが、ますますヒートアップする。


 2日目のプレイバックは、メインの『龍虎賞』から。
 逃げたのは深谷知広。連日深谷の番手回りだった浅井康太が、ゴール前抜け出して連勝を飾った。「深谷君のお陰です。いつもは深谷君に離れてしまいそうな感覚があるけど、今開催はそれがない。自分の状態が良いんでしょう」。準決勝は、今節初めて自力での戦いとなるが「大丈夫。自分のレースをするだけ。普通に走りますよ」と意に介さずだった。
 深谷知広は5着。「強い村上(義弘)さんを叩き切るのに手間取ったのが…」と最後の粘りを欠いた。「セッティングは初日によりも良くなっていた。強い相手に逃げられて、自分にとっては重要なレースだった。良い頃に比べたら、ちょっと落ちてるかなと、現状の力も把握出来た」と分析。準決勝は、師匠の金子貴志と同乗。「今の自分のデキで、とにかく師匠とワンツー決める事だけを考えて走る。頑張ります」と思いの丈を語った。
 3着には好スピードで直線伸びた佐藤友和が入った。「伸びましたね。デキは引き続き良さそう。準決勝も頑張ります」。準決勝は単騎での戦いとなったが、初日の『青龍賞』でも単騎で1着。この男に限っては、不利ということにはならないか。


 準決勝行きを賭けた2次予選最初の6Rは、人気の中心に推された根田空史がまくって1着。ただ、赤板過ぎからは何度も苦境に陥り、不発に終わったかと思われたが、ゾンビのごとく復活。バンクの上を駆け抜けて別線を粉砕した。「余裕はなかったです。ダメだと思ったけど、2角過ぎから意外に伸びていった。とにかくあきらめないで良かった」。これでG1の準決勝は初。「師匠(中村浩士)が落車しちゃったんで、素直には喜べないけど…。それに、まくりの技術とか、まだまだ反省点もある」と冷静に自己分析。未体験のG1準決勝こそは、得意の積極策で勝負してくるか。
 吉田敏洋を叩いた飯野祐太が先制。飯野に乗った飯嶋則之が2着に入った。「飯野君が頑張ってくれた。自分はあんまり良くないかな。ちょっと調整ミスかも」。準決勝進出にも、首を傾げる場面が目についた。
 飯野祐太は完敗を認めた。「今の勢いでは、根田君の方に分があったということでしょう。根田君に先行されたらまくれないと思ったし、前々に踏むしかないと思ってた。展開は悪くなかったのにあれでは、完全に力負けですね」。共同通信社杯に続く連続ビッグ優参の夢は潰えた。それでも「今回から3場所前まで使っていたフレームに戻して、思い通りの反応が出来ている。悪くないですよ」。デキは上向いているだけに、負け戦回りでも注意が必要だ。


 7Rは中団からまくった金子貴志が快勝。「連日、周回中から風の強さを感じる」と言いながら無傷で準決勝進出を決めた。「思い通りの展開に持ち込めたのが一番。今日は体が軽かったし、(自分の)コンディションも日に日に上がっていますね」。大いに弾みを付ける連勝に、口元も緩んだ。準決勝は、弟子の深谷知広との師弟タッグが実現。「浅井(康太)君と一緒だと思っていたので意外でした。アイツ(深谷)は強過ぎるし、とにかく追走に集中するだけ。ギアも、周りのタイムが凄いし(4・33)そのままで」。


 8Rは藤木裕が1着。今大会初めて近畿勢が勝った。北津留翼後位に一旦は収まるが、追い上げた平原康多を張りながら番手まくり。「状態はちょっとよくわからないですね」と言いながらも、これ以上ない結果に「1着を求めるレースをして、その通りになった。後ろの状況とかはよくわからなかったけど、勝てて良かったです。準決勝も結果を出して、決勝につなげたい」。初日の早駆けから一転、今度は結果追求の走りで人気に応えた。
 初日の『青龍賞』で落車のアクシデントに泣いた平原康多だが、藤木後位に入って2着。準決勝進出を決めた。「レース前はいろいろ考えていたけど、全然違う展開になってしまいました。落車したし、状態は良くないですよ。でも何とか気持ちで凌いだ。準決勝も気持ち入れていくだけ」。
 神山雄一郎が平原に続いた。「平原君は落車後なのにね。巧く組み立ててくれた。自分は落車を避けるのに必死だったし、何とか続けて良かったですよ」。


 9Rは、8番手に置かれた中川誠一郎が猛スピードでまくった。名マーカーの小倉竜二が踏み出しで、更に直線でも口が空いてしまうほどの世界クラスのダッシュで魅せた。2Rの鈴木謙太郎と同じく、上がりタイムはバンクレコードタイの10秒6だった。「落ち着いて走れました。タイムも出ていたし、自分向きのコンディションだったのも良かった。自分の場合は、一発はまるかなんで。今日は巧くはまってくれましたね」。
 小倉竜二は、中川の強さに脱帽。何とか3着での準決勝進出に苦笑い。「落車を避けたのもあったけど、完全に自分の力不足。それにしても中川君は凄いね。加速が凄いから、踏み出しで遅れてしまうともうダメ。恥ずかしい」。
 逃げた水谷好宏に乗った稲垣裕之が、ゴール前で小倉を交わして2着。「水谷君が頑張ってくれたお陰。中川君は止められるスピードじゃなかったですね。自分もデキは良いですよ」。準決勝は、村上義弘との連係に。「自分が前で。頑張ります」。短い言葉に闘志を込めた。


 10Rは強力な北日本勢に対し、九州勢が二段駆けで応戦。菅原晃の全開スパートで、荒井崇博が番手発進。3番手の合志正臣が1着をもぎ取った。荒井3着に「良かった」とひと安心。「晃があれだけ頑張ってくれた。あの仕掛け方なら、(番手まくりに)迷いはなかった。晃の気持ちに報いれて嬉しいね」。ラインの結束力を見せつける結果に、興奮気味にまくし立てた。
 新田祐大は、7番手からまくり上げるも2着まで。それでも、十二分に強さを見せつける格好となった。「キツかったです。結果的に後ろに迷惑を掛ける形になって申し訳ない。でも状態は引き続き悪くないです」。準決勝も「相手が誰でも、自分の力を出すことに集中する」と難関突破へ、ポイントを挙げた。


 初日の『白虎賞』では全く出番なしだった脇本雄太だが、今度は本領発揮。逃げ切って11Rを制した。「逃げて(上がり)11秒2なら悪くないね。とにかくバンクの熱気にやられそうだけど、準決勝も頑張ります」。1日遅れでワッキースマイルを見せた。
 地元の稲川翔は脇本マークで2着。「差せなかったけど、状態は悪くない。今日はとにかく番手を死守するつもりだったので、結果には満足。勝負は準決勝です」と気合を入れ直した。


 負け戦では、初日大敗喫した機動型が懸命の巻き返しを披露した。
 「岸和田バンクは鬼門です」と公言する鈴木謙太郎(2R)は、今節の初日も9着。しかし7番手から、バンクレコードに並ぶ10秒6のタイムで目の覚めるようなまくりを決めた。「今節は新車ですが、シューズのサンを5ミリほど前にして、つま先に力が入る感じにした」。セッティング調整が功を奏した様子。3日目以降に光が射す一撃には間違いないだろうが、当の本人は「岸和田は好きじゃありません」と笑いながら答えてくれた。

 田中晴基(3R)はロングまくりで2着。ラインでの上位独占を決めた。「風があってキツかった。カマせるタイミングもあったけど、ちょっと見てしまった。でも良かったです」。初日は今をときめく新田祐大に完敗。相手が悪かっただけと思えば、引き続き3日目以降の反撃にも警戒したい。

 原田研太朗(4R)が、2走目で嬉しいG1初勝利。だが、相手に警戒されたとはいえ、まくりでの結果に喜びは半減。「自分でレースを作れていないのでね。自分の悪い癖が出て、打鍾で(後方まで)下げてしまった。消極的でしたね」と内容の悪さを自ら指摘。それでも「結果的にラインで決まったのは良かった。残り2日も頑張る」と手綱を締めた。




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