都議選 せいぜい1議席の維新橋下が企むウルトラC
【政治・経済】
自民 複数区で取りこぼし 維新 わずか1議席
今週末23日に投開票の東京都議選。自民圧勝の予測が先行しているが、ここへきて安倍政権の支持率が下がり始め、流れが変わってきたという見方もある。少々盛り上がりに欠けるとはいえ、都議選は参院選の行方を占う“大一番”であることに変わりはない。自民は本当に圧勝するのか。橋下代表の「慰安婦発言」でメタメタの維新の会は議席を獲得できるのか。最終情勢と今後の政局を分析する。
<全勝?>
都議会議員の定数は127議席。都政に詳しいジャーナリストの鈴木哲夫氏は、各党の獲得議席をこう予想する。
「自民57、公明23、民主24、共産が大幅に増やして15、候補者をしぼったみんなが善戦して3、維新は1、あとは生活者ネットが4議席取るのではないか」
民主は公示前43議席。ほぼ半減だが、当初はヒトケタともいわれていた。維新の急降下で複数区は何とか1人が当選できそうだ。
59人を擁立した自民党は「全員当選」という予測もあったが、そう甘くない。千代田、中央など7つの1人区は安泰で、残りの複数区も1人は取れるが、2人目からは微妙なところがある。落ちるのが2~5人くらい出るかもしれない。
<注目選挙区>
そこで激戦の選挙区だ。自民が落とす可能性があるのは世田谷、大田、練馬、港、目黒、墨田の6選挙区だ。
「自民は複数区の世田谷区(定数8)、大田区(定数8)、練馬区(定数6)に3人を擁立していますが、これはかなり強気の選挙戦略です」(鈴木哲夫氏=前出)
なかでも安倍の支持率が下がってきて、世田谷、練馬の3人目は苦戦だ。「定数2~3」に2人立てている選挙区もある。港区(定数2)、墨田区(定数3)、目黒区(定数3)だ。こちらも厳しい。
「定数3の目黒、墨田は自公民で決まりつつある。自民の2人目は厳しい。公明が負けると、自公の協力関係にもヒビが入ります」(自民党都連関係者)
自民は53~55議席の可能性もある。
<大逆風>
橋下徹共同代表の「慰安婦発言」で大逆風の日本維新の会。怨嗟の声に抗しきれず、橋下は20日、「戦況を苦しくしてしまった点は申し訳ない」という謝罪メールを党国会議員団や都議選、参院選の候補者らに送るハメになった。
「南多摩(定数2)の石川良一氏は元稲城市長で知名度も組織力もある。維新が勝てそうなのは、この1議席だけ。うまくいって2議席がやっとでしょう」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
告示前の維新は、他党からの鞍替えによって都議会で3議席を有していた。松井幹事長は20日、こう明言している。
「現状維持だけでは、勝ったとは絶対言えないでしょうし、下回れば敗退だ」「その責任が誰にあるという声が党内で出てくれば、彼(橋下)も僕もそのポジションに固執することはない」
目下の情勢では橋下辞任は不可避だ。
<国政への影響>
とはいえ、永田町では「橋下を共同代表から降ろせるわけがない」という見方が大半だ。
「都議選と参院選は連動している。参院選まで二枚看板は外せない。責任論なんて出てきませんよ」(維新幹部)
前出の鈴木哲夫氏も、「都政なのだから、むしろ東京の石原共同代表の責任論になる」と言う。
「橋下共同代表が自ら辞めるとしたら、都議選後か参院選後に旧太陽の党と分裂する布石でしょう。他党の議員も巻き込んで、『新生維新の会』を立ち上げることになるのではないか。野党再編、あるいは保守再編に向かうと思います」(山田厚俊氏=前出)
維新分裂だけが見どころか。