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企業二重ローン問題 再生機構の支援、200件到達

 東日本大震災で被災した企業の二重ローン問題に取り組む「東日本大震災事業者再生支援機構」(仙台市)の活動ペースが徐々に上がっている。発足1年余りで、支援決定の累計が200件(5月末時点)に到達した。出足が鈍いとの指摘もあったが、ようやく金融機関との歯車もかみ合いだした。2014年度中に目標の1050件を目指す。

 支援機構は、震災前からの債権を金融機関から買い取った上で、債務免除や金利低減を実施。企業の資金調達を容易にすることで事業再建を後押しする。財政支援にとどまらず、直接出資するケースもある。
 県別の支援案件は表の通り。岩手、宮城の両県が8割を占めるが、被災3県では福島の低調ぶりが際立つ。支援機関は「東京電力福島第1原発事故の影響で、事業再開の見通しがついていない」と説明する。
 これまでの買い取り債権の元本総額は335億円で、債務免除総額は106億円。出資は4件(出資額40億円)だった。
 12年3月に業務を始めた支援機関は、当初半年の支援件数は40件弱にとどまった。昨年11月以降、宮古、大船渡、八戸の各市に出張所を配置するなど、組織の浸透に力を注いできた。7月には福島県内にも出張所を開設し、支援案件の掘り起こしに努める方針だ。
 被災地では、復旧費の借り入れが必要な事業者は少なくない。従来の債務との二重負担を恐れて再開をためらうケースもあるとみられ、経済復興の足かせにもなっている。
 200件目の支援案件となった「田中菓子舗」(宮古市)の田中和七代表は「債権を買い取ってもらい、ようやく前向きになれた」と振り返る。
 支援機関は今後、地元商工会議所や行政と連携を深めるほか、金融機関との折衝に備えて増員も図る考え。現在、167件が最終調整段階に入っているといい、荒波辰也専務は「200件はただの通過点。9月までに300件を目指したい」と話している。


2013年06月22日土曜日


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