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山元の男たち、自炊に意欲 「生きるため意識変わった」

栄養士の指導を受けながら、カツオのみそマヨネーズ焼きの調理に取り組む八塚さん(右)

 宮城県山元町が主催する男性向けの料理教室を、東日本大震災の被災者が多く受講している。登録する20人のうち半数の10人ほどが自宅や家族を失い、自活の必要性を痛感したという。参加者は健康でおいしい味をマスターしようと、意欲的に調理に取り組む。

 教室は4月に開講し、町保健センターを会場に来年3月までの10回にわたり、減塩、少油のヘルシーなメニューを学ぶ。3回目となった18日は、カツオのみそマヨネーズ焼き、野菜炒めなどを調理。参加者はエプロンとバンダナに身を包み、レシピを参考に野菜を刻んだりカツオを蒸し焼きにしたりした。
 キャベツを包丁で太めの千切りに刻んでいた八塚久夫さん(74)は、震災の津波で妻=当時(65)=を亡くして1人暮らしになり、自炊を始めたという。「どうしても自己流になってしまい、野菜も使い切れずに腐らせてしまう。料理の基礎的な手順を教わりたくて参加した」と明かす。
 震災を機に食への意識が変わったという参加者も多い。宍戸正昭さん(72)は笠野地区にあった自宅が全壊し、町内の仮設住宅に妻と暮らす。「もし妻に何かがあったら、自分で食事を作らなければいけない。生きるか死ぬかの体験を経て、その危機感にあらためて気付いた」と話す。
 参加者は自活の必要性を感じながらも、これまで料理を学ぶ場を見つけあぐねていた。町は震災後、仮設住宅集会所を巡回して被災者対象の料理教室を開いているが、参加者の大部分は女性だという。家族6人で仮設に暮らす横野尚之さん(41)は「やはり女性の輪の中には入りづらい。男だけの和気あいあいな雰囲気で料理できて楽しい」と喜ぶ。
 町は同センターまで足を運ぶのが難しい被災者のために、27日から町南部の中山熊野堂仮設住宅でも全5回の男性料理教室を開く。教室を企画した栄養士で町保健福祉課の佐藤睦美さんは「震災後は町内に高齢世帯が増える傾向にある。元気なうちに自分自身で体調管理を行う意識付けが必要だ」と話す。


2013年06月22日土曜日


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