黒子のバスケ~ヒーロー~ (k-son)
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遂に、原作突入!!
主人公はあまり絡みません!
主人公はあまり絡みません!
春は曙
季節は巡り、春になる。
冬の終わりを待っていたように草木が咲いていく。
桜も急ぐように鮮やかに咲き誇り、そして散っていく。
新しき出会いに期待と不安を抱かせるように。
--私立誠凛高校
「前に進めーん!ラッセル車もってこい!」
出会いを期待しているのは新入生だけではない。
有望・無謀な新入部員を確保しようと、2・3年生も躍起になっている。
「バスケーバスケはいかがですか?」
「小金井、なんだその勧誘は?」
テキトーな勧誘文句を使っている小金井に伊月がつっこむ。
「水戸部も声出していこーぜ。」
水戸部は首で返事をして、黙々とチラシを配る。
「結局しゃべんないのか。」
「あんまりにも、ダンマリすぎるぞ。」
「もういーよ。伊月の駄洒落は・・・。」
いつもと変わらぬやりとり。そこに、
「あんたらバスケ部か?」
そこに、長身の男子がいた。
リコ side
「ひのふのっと、もーちょいほしいかなぁ。」
「10人いかなかったか。」
「まだまだこれからよ。」
バスケ部のブースで受付をしているリコと日向。
「そういや。英雄は?まだ顔出してねーだろ。」
「アイツならもう帰ったわよ。サッカー部に見つからないようにね。」
「あぁそーゆーこと。」
今日までの半年間、英雄は定期的に練習に参加していた。
ある日、誠凛サッカー部にバレて熱烈な勧誘を受け続けていたのは記憶に新しい。
「勧誘の方はどうかなー?がんばって有望そうなの連れてきてよねー。」
勧誘組に期待しながら、遠くをみつめるリコ。
「来ました。新入生ー。」
「えっ?」
「バスケ部はここか?」
「えっ、あっ、うん。」
そこにいたのは虎のような迫力をもった長身の男子と首根っこを掴まれた猫のようになっている小金井君だった。
(なに・・こいつ。)
「入りたいんだけど、バスケ部。」
と豪快にいすに座る長身の男子。
ちなみに、小金井君は荷物のようにテーブルに置かれていた。
「あ、歓迎。大歓迎。ちょっと待って。」
私は、我を取り戻しお茶を渡す。
「知ってると思うけど、ウチは去年できたばっかの新設校なの。上級生は2年だけだから、君見たいに体格良ければ直ぐに・・。」
「ああいーよ。そーゆーの。名前書いたら帰る。」
そう言い、入部届に男子は記入していく。
「志望動機は無し?」
「別にねーよ。」
男子は紙コップに入ったお茶を飲み干す。
「・・・どうせ日本のバスケなんてどこも一緒だろ。」
言いながら、紙コップを握りつぶしゴミ箱に投げ入れる。
こちらを一瞥した後、男子は去って行った。
「怖えぇ、あれで高1?!」
「なかなかの逸材だな。」
ビビる小金井君と、推し量ろうとする伊月君。
「火神大我。中学はアメリカ。本場仕込だな。」
「どっちにしろ只者じゃなさそうね。」
先程の男子について考える、2人。
「これ。集め忘れてる入部届。」
「あ、ゴメン。(・・・黒子テツヤ。あれっ?全く覚えてない。)」
なんとか思い出そうと入部届を眺めると、
「って!!帝光バスケ部出身?!」
「帝光って?あの有名の?!」
「そう!1年ってことは『キセキの世代』!。」
ありえないと思っていた名称を目にして驚愕する。
「ああー。そんな金の卵をなんでおぼえてないんだ私ー!」
私は、ショックで頭を抱えてしまう。
「さっきの奴はアメリカ帰りだし、今年の1年ヤバい!?」
期待のルーキーの加入に一同は歓喜していた。
side out
新入生にとって部活動初日。
「よーし!1年そろったな!」
テンション高めの小金井が言う。
「なあ、あのマネージャー可愛くね?」
「2年だろ。」
「もうチョイ色気が欲しいところだけど。」
浮かれた1年がひそひそと駄弁っていると、
---ゴンッ
「だぁほ。違うよ!」
背後から日向が殴り、後頭部を殴られた1年2人が頭を抱える。
リコが1歩前に進み
「男子バスケ部、カントクの相田リコです。よろしく!」
自己紹介をする。
「「「ええぇー?!」」」
驚く一年。
「あっちじゃねぇの?」
「あちらは顧問の武田センセ。」
年齢的にギリギリアウトの老教師が座っている。
「あれ?日向君、英雄は?」
「部室に来るなり走りにいったぞ。つーかあいつは一応1年か。忘れてたけど・・・。」
英雄は、とっくの昔に馴染み過ぎていた為、忘れられていた。
「まあいいわ。武田センセの紹介も終わったことだし、まずはお前達・・・。シャツを脱げ!」
数秒の間、誰もが押し黙った。そして、
「「「は?」」」
1年達の展開に追いつけない。
「「「えぇー!?なんでー!?」」」
そして、リコのドヤ顔。
結果。
半裸の男子が数人と、それをまじまじ見る女子という不思議空間が出来上がった。
(((なんだこれ?)))
「キミ、ちょっと瞬発力弱いね。反復横飛び50回/20secぐらいでしょ?バスケやるならもうチョイ欲しいかな?」
「キミは、体硬い。」
「キミは・・・。」
次々に言い当てるリコ。
「マジ・・・?合ってる。」
「体見ただけで?なんで?」
驚愕に染まる1年生。
「あいつの父親はスポーツトレーナーなんだよ。データを取ってトレーニングメニューを作る。毎日その仕事場で、肉体をデータを見続けてる内についた特技。体格を見れば身体能力が全て数値で見れる。まぁ、カントクたる所以はそれだけじゃないけどな。」
1年の疑問の声を聞いた、日向がそれに答える。
すると、リコの足が止まっていた。
「なんだよ?」
(なにこれ・・!?全ての数値がズバ抜けてる。こんなの高1男子の数値じゃない。しかも、伸び白が見えないなんて・・。これは・・・天賦の才!!」
あまりの才能の原石を前に言葉を失うリコ。
「もどりました~。ってもう始まってない?!」
部活前にランニングに行っていた英雄が、この不思議空間にやって来る。
「英雄おせーぞ!どこまで行ってたんだ?!」
「すんません!とゆーかなんすかこの状況?!傍からみたら完全アウトですよ?リコ姉もそんなんしてたら嫁の貰い手失うよ~。」
英雄は、他の1年が思っていたことを全てぶちまけた。
「うっさいわよ!!」
やっとこっちに戻ってきたリコが反応する。
「で、えっと。」
「全員みたっしょ。火神でラスト。」
「えっ?そう・・?あ、黒子君てこの中にいる?」
「あの帝光中の?来てねーのか?」
1年を見渡しても、それらしき人物はいない。
(帝光中にいたんなら、見りゃ直ぐにわかると思ったのに・・・。)
「今日は来てないみたいね。」
今日のところは諦めて練習を始めようとすると、
「あのすいません。黒子は僕です。」
突如、リコの目の前に現れた少年。
「きぃゃぁぁぁー!!。」
「うぉ!何?!あれ?!いつからいたの?!」
「最初からいましたけど。」
(目の前にいて気づかなかった?!てゆーか影薄!!)
「え?じゃあこいつがキセキの世代?まさかレギュラーじゃあ・・?」
「まさかぁ。それはねーだろ。ねえ黒子君?」
「・・・?いえ、試合には出てましたけど・・・。」
「だよなー。・・・ん?」
「えっ?」
「「「ええぇー!」」」
めまぐるしい展開にそこにいる全員が驚愕する。
唯一、英雄は爆笑していた。
「ちょっ!シャツ脱いで?!」
「あ。はい。」
リコはすぐさま身体能力を確認する。
(えっ?!)
困惑し言葉を失う。
「あれはどーゆーこと?彼は何者なの?」
部活が終わり下校中にバスの中で黒子のことを考える。
(能力値が低すぎる・・!全ての能力が平均以下。しかもすでにほぼ限界値なんて・・・。とても強豪校でレギュラーを取れる資質じゃない。一体?!)
「ねぇー。どう思う?」
一緒に帰宅している、英雄に話しかける。
「何が?!俺だけバスに並走させてる性格の悪さについてか?」
英雄がこちらを睨むようにリコを見ている。
「しょうがないじゃない。今日もアンタだけ体力有り余ってるようだし。」
少し開けた窓から話を続ける。
「さっさすがにこれは・・・、どうかっと、おもうんですが!て、ゆーかそのイイ顔をやめて下さらない?」
「で。1年のことなんだけど。」
「スルーですか・・・。火神と黒子だっけ?」
「火神君はともかく黒子君ね。」
赤信号でバスが止まり、英雄は息を整える。
「ああ・・。はぁはぁ。たしかに・・・、身体能力は並かそれ以下なんだろうけど。すーはー。何かしらの理由はあると思うよ。」
信号が青に切り替わる。
「はい、走った走った♪理由・・ね。」
「あーもう!勘で言えば、’持ってる奴’だろう、ねー!」
「ふーん。そうね。あ、そろそろリストの錘増量するつもりだから、それとも雨がっぱにする?」
「うわ~ん!おねーちゃんがいじめるよ~!」
この奇行に他の乗客は慣れていた。
次の日。
天気は雨。
「ロードワーク削った分、時間が余るな。どーする?カントク。」
「(1年の実力も見たかったし)ちょーどいいかもね。皆ー!ミニゲームをやるわよー!内容は1年対2年!」
急遽練習メニューを変更する。
「え?先輩とイキナリ?!」
「覚えてるか?入部説明で言ってた去年の成績・・・。去年1年だけで決勝リーグに行ってるって・・!」
「まじで?!」
「普通じゃねぇぞそれ!」
現レギュラーの実力を想像し、臆する1年。
「ビビるとこじゃねー。相手は弱いより強いほうがいいに決まってんだろ!・・・行くぞ!!」
それを得点板の横で見つめる英雄。
「って!なんで~?!いやいや、俺は見る側じゃなくて、見られる側でしょ?!」
「英雄うるさい!」
「この空気みたいな扱い何なの?!よくよく考えてたら、自己紹介すらしてないし!」
「あんたの実力は、もう分かってるからぶっちゃけ興味ないの!」
「この言い草!だんだん気持ち良くなってる自分が怖いわ~。」
「それにあんたのスタイルは、ある程度知っておいた方がいいでしょ?」
「さいですか・・・。うん、俊さんと2人でたくましく生きていこう・・・。」
『ッピ』
試合開始。
開始早々、火神の豪快なダンクが火を噴く。
--ガツン
「うお!」
(想像以上だわ。あんな荒削りのセンス任せのプレーでこの破壊力。)
「とんでもねーな!(即戦力どころかマジ化けモンだ)」
火神のセンスに感嘆をあげるリコと日向。
その後も火神の得点が続く。
「1年にここまで押されるとはな・・・。」
「つか、火神だけでやってるよ。」
得点を数えながら見ていた英雄は、
「ヒュ~!ナイッシュ~。そのまま先輩達倒しちゃえ♪」
1人でも楽しそうだった。
それに比べ活躍している火神はひどく苛立っていた。
(神経逆撫でされてしょうがねぇ!なんなんだ?!あのユルイのは?つか誰だよ?!!それよりも!)
黒子に視線を当てるとあっさりスティールされていた。
急いで自陣にもどる1年。
(意味深な事言ってた割りに、口だけの雑魚かよ!そーゆー奴が一番イラつくんだよ!)
そして、水戸部のシュートをブロックする。
しかし、2年もそう簡単に譲らない。
火神に対してマーク3人、オフボール時でも2人を付けゲームから排除しようとする。
攻め手を欠いた1年は、あっという間に点を取られて10点以上の差がつく。
「やっぱり、つえぇー。」
「勝てるわけなかったし。」
「もういいよ・・。」
弱音を吐き出す1年の3人。
「もういいって、なんだそりゃ!おい!!」
掴みかかる火神。
「落ち着いてください。」
突然現れ、火神に膝カックンを仕掛ける黒子。
「テメ!」
「おいなんかモメテんぞ?」
「おい?黒子って試合出てたか?」
(審判の私も途中から忘れてた・・・・・・あれ?マジでいつからだっけ???)
騒ぎは収まり、試合は続く。
「すいません。適当にパスもらえますか?」
遂に動き出す黒子。
味方PGからきたボールをワンタッチでゴール下近くに走っていた味方Fにパスをする。
味方Fは戸惑いながらもシュートを決める。
戸惑っているのは味方だけではない。
「入っ?!えぇ?今、どうやってパス通った?」
(何この違和感?!もしかして、コートで何かとんでもないことが起こってる?!)
2年生チームとリコも事態が把握できていない。
英雄はというと、
「黒子く~んナイスパス!!(なるほどねぇ)」
しっかり視ていた。
そこからゲームが一変する。
1年チームが次々と得点を重ねる。
「どうなってんだ?気が付くとパスが通っていて、シュートが決まってる?!」
(存在感の無さを利用して、パスの中継役に?!しかも、ボールに触ってる時間が極端に短い!!)
『ミスディレクション』・・・手品などに使われる、人の意識を誘導するテクニック
(ミスディレクションによって自分への意識を、ボールや他の選手に誘導している。つまり---
彼は試合中、自分以外を見るようにしむけている?!)
(元帝光中のレギュラーで、パス特化した見えない選手・・。噂は知っていたけど実在するなんて・・・。キセキの世代、幻の6人目!)
どんどん点差が縮められ、遂に1点差。
2年が丁寧にパスを回そうとした時、
「しまっ!!」
またしても突然現れた黒子にパスカットされる。
そこからの黒子のワンマン速攻。
誰もが逆転勝利を予感した。
「あ。」
黒子のレイアップがリングに跳ね返る。
「っは?」
呆然としていた中、後ろを走っていた火神がリバウンドを掴み直接ダンクを叩き込む。
「勝ったー!」
学校近くの大通り。
黒子と火神が成り行きで、話しながら帰っている。
「僕はキミを日本一にします。」
「はっ!いうねぇ。」
2人は決意を胸にしていた。
・・・その横をバスが通り、遅れて上下雨がっぱで着込んだ、明らかに通気性0の服装をした男が走ってきた。
「本当にカッパが用意されてるなんて~!しっかり錘も増量されてるし、というか着替えてたら置いていく普通?!しかも着替えもってかれてるし!!」
雰囲気をぶち壊した。
「あらっ。黒子君に火神君じゃないですか~。2人そろってお帰りってか?仲よさ気で。」
「誰だお前??!!」
強く警戒・拒絶する火神。
「あぁそっか。俺、同じバスケ部の補照英雄です。よろしく!」
「あぁ今日、得点係りされていた。」
平常で挨拶する黒子。
「あっ!お前、ユルい天パ男。」
続いて気づいた火神。
「あ~覚えてくれてありがと!なんやかんやで挨拶できなかったからね。ちなみに俺も1年だから。」
「何?!じゃあ何で、今日出なかったんだ?」
詰め寄る火神。
「いや~いろいろあんのよ。カントクに興味無いって言われたし。」
「はあ?意味分かんねぇ。お前相当できるだろ?ちゃんと相手しろ!」
「どうどう。落ち着いて、毎日一緒なんだから、直ぐ機会が来るって。」
「そうですよ。火神君落ち着いてください。補照君、僕もキミとバスケがしたかった。」
「そうかい?ありがと。ああそう、俺苗字で呼ばれるの好きじゃないから名前で呼んで?英雄でよろしく。どーせ3年間は一緒なんだから気にしないで。」
「っち。先帰るわ。また明日な、黒子に英雄。」
そう言いながら帰っていく火神。
「そうだ!俺もリコ姉を追わねばならぬ。しからば御免!!」
雨がっぱの怪しい男も走り去っていく。
「あ、お疲れ様です。」
背を向ける英雄に挨拶する黒子。
「ってゆーか。なんで、周りの奴すらアレ見て平然としてるんだよ!!」
明らかな奇行を前にして平然としている周りの人々に、我慢しきれずつっこむ火神。
「・・・・そうか。あの人が・・・」
黒子は火神と歩きながら物思いに耽っていた。