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   大熊町長の議会答弁/大きな問題提起と捉えたい(6月15日付)

 大熊町の渡辺利綱町長が、東京電力福島第1原発事故で避難している町民の帰還について「場合によっては居住、帰還を諦めざるを得ない区域が発生する可能性があるかもしれない」と、一部区域の帰還断念の可能性に初めて言及した。6月町議会の一般質問で答弁した。

 現実路線にも踏み込まなければならない状況にあることを示したともいえる。大熊町に限らず帰還問題を抱える他の自治体に対しても、大きな問題提起になるものと受け止めたい。

 渡辺町長はこれまで「みんなで一緒に行動する」と、町民の結束を訴えてきたが、除染しても効果が薄い高線量地区の存在や、中間貯蔵施設の建設問題、事故が起きた原発の廃炉まで長期間に及ぶことなどが発言の背景にあるとみられる。

 同町や復興庁などが行った過去2回の住民意向調査では、4割を超える町民が「戻らない」と答えている。厳しい調査結果は同町以外でも出ているが、自分の古里に戻りたいと願う住民も大勢いることを忘れてはならない。

 帰還に拘束力はなく、判断はそれぞれの避難住民に委ねられる。渡辺町長は「行政はさじを投げず、判断の要素をなくさないようにしなければならない」とも語った。全くその通りであり、町民の意思を最大限に尊重し、今後もしっかりとした町政運営に努めてもらいたい。

 未曽有の原発事故であり、帰還を断念せざるを得ない区域が古里に生まれることに不安を抱えている避難住民もいるだろう。国や県はもっと丁寧に除染をはじめとする復興作業の進捗(しんちょく)状況を説明しながら、正しい情報を被災地に発信し、不安の軽減に努めるべきだ。何よりそうした区域を出さないための取り組みを強めなければならない。

 復興までの道のりは長い。避難住民は帰還まで厳しい生活が続くが、将来の希望や生きがいを失わないようにすることがより一層求められるだろう。

 そのためには、これまで以上に避難住民の声にしっかりと耳を傾けることが重要だ。それが行政としての役割であり、今最も何が必要かを十分に検討して、被災者支援に生かさなければならない。

 震災と原発事故から2年3カ月が経過し、被災地の首長から一部の区域に関してであっても帰還断念の可能性について言及されたことを、国や県は重い事実として受け止めるべきだ。

 国や県は、市町村と連携をさらに強めながら除染や帰還できる環境の整備を進め、最終的には避難住民が帰還するかどうかの判断を的確に下すことができるよう、復興へ向けた施策の確実な展開と継続を重ねて求めたい。

 
   
 

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