取材の現場から 「マイナンバー」に絡む思惑 IIJ社長人事は監視のため?

個別 取材の現場から 連載


決算ラッシュの中、ニュースを聞いていると「ゴキブリの黒字」と何度も耳にする。もちろん「5期ぶりの黒字」なのだが――。

5期ぶりが続出している原因は、ちょうど5期前にリーマン・ショックが起きたからだ。この影響で多くの日本企業も赤字に転落し、その後、震災や異常な円高にも遭遇。赤字からの脱却に5年もかかってしまったわけだ。

象徴的なのがマツダ(7261)だろう。同社は海外現地化が遅れ、国内生産比率は6―7割と高水準。円高の影響をモロに受けて赤字となったが、徹底したコスト削減などで黒字体質を目指し、ここへきての円安シフトで5期ぶりの黒字を達成。トヨタ(7203)も同様で、連結赤字こそ1期で止めたが、単体は赤字が続き、今回5期ぶりに単独黒字に転換した。

「5期ぶり=ゴキブリ」という表現を調べてみると、新聞報道ではほとんど確認できないが、1996年4月(30日)の本紙のインタビュー記事に載っていた。2010年10月にキヤノン(7751)の子会社になったJASDAQ上場のトッキの社長が、自社の黒字転換に触れ、「今ではゴキブリ(5期ぶりに経常黒字の予定)という冗談まで社内に出るようになりました」と語っている。

そのほかの「ゴキブリ」を探してみると、三浦印刷(7920)が4月25日、5期ぶりの最終黒字見通しを公表。翌日、東証2部で値上がり率トップとなった。

ゴキブリも上げ材料になるようだ。今後、5期ぶりを見込む銘柄を探すと、東京製鐵(5423)は4月19日の決算発表で、14年3月期に5期ぶりとなる単独黒字見通しを発表。歌舞伎座(9661)は、劇場の建て替えで3年間収入が大幅に落ちたが、歌舞伎座はめでたく完成。短信では今後について「予測が困難」としているが、今期は5期ぶりの最終黒字になるとみられている。地味なところでは、9月決算の扶桑電通(7505)も、5期ぶりの黒字を見込んでいる。

5期ぶりの中にも、ネガティブなものはある。ジーエス・ユアサコーポレーション(6674)は、当期利益で5期ぶりの減益を見込む。電池事業で伸びてきた同社も、昨年9月のエコカー補助金終了に加え、ボーイング787のトラブルの影響も受けたことから失速気味。

ちなみに、「2ちゃんねる」などのネット掲示板でソニー(6758)は「ゴキブリ」という蔑称(べっしょう)で呼ばれている。プレステの信者を侮蔑(ぶべつ)する表現なのだそうだが、そのソニーの決算も5期ぶりの最終黒字だった。

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