東日本大震災:福島第1原発事故 福島の子供、12人が甲状腺がん 疑い15人−−事故時に18歳以下
毎日新聞 2013年06月07日 大阪朝刊
東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の県民健康管理調査で、甲状腺の1次検査を終えた事故当時18歳以下の17万5499人のうち甲状腺がんで手術を受けた子どもは12人、疑いは15人になったことが5日に福島市で開かれた同調査の検討委員会で報告された。2月の報告では、がん確定は3人、疑いは7人だった。同調査を担当している福島県立医大は、チェルノブイリ原発事故によるがんが増えたのが、事故の4〜5年後以降だったなどとして「放射線の影響は考えられない」と説明している。
県は委員構成を大幅に変更し、これまで調査を主導した座長の山下俊一副学長ら県立医大教授4人が退任した。事前に委員の意見を調整する「秘密会」問題が発覚し、「被ばくの影響なし」という結論ありきではないかとの県民の不信が高まったことを受けた措置で、調査主体の県立医大関係者が退くことで調査を評価する検討委の客観性と中立性を確保する目的もある。新委員は、原発マネーを追及してきた清水修二・福島大教授や、同県浪江町と提携して被ばく調査をしている弘前大の床次(とこなみ)真司教授ら8人。
新委員も含め大半の委員は甲状腺がんと原発事故との関連性を改めて否定した一方、一部の委員からは、福島での発がん率を比較する別の調査が過去にないことから、「国は他の都道府県でも大規模な甲状腺検査をすべきだ」との指摘が上がった。【栗田慎一、蓬田正志、日野行介】