[月刊チャージャー]

まずは疑って係!
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【調査】まずは疑って係!/やってる人に聞いてみました 「セックスボランティア」って必要なのか?
 
神奈川県川崎市『特定非営利活動法人ノアール』の活動とは
『特定非営利活動法人ノアール』代表の熊篠慶彦さん
『特定非営利活動法人ノアール』代表の熊篠慶彦さん
公式サイト ・ユーチューブチャンネル
神奈川県川崎市の『特定非営利活動法人ノアール』は、障害者の性の悩みを解決するために設立された。代表者の熊篠慶彦さんは、脳性まひによる障害がある。19歳のころ、自分自身が受けた出張風俗でのサービス体験がきっかけで障害者が利用しやすい風俗店やラブホテルの情報サイトなどを運営し始めたのが、現在の活動の原点だ。河合香織さんの著書『セックスボランティア』にも、当時の活動などが紹介されている。

障害者や高齢者の性の問題が『タブーになっている』とよく言われますが、現実にはタブーにすらなっていないんです。介護の仕事を目指す人たちと話していても、障害者のセックスという問題を提示すると『えっ?』という感じでフリーズしてしまう。障害者や高齢者にも性的な欲求があって、それを解消するための困難があるということに対する問題意識さえないのが実情なんですよ」(熊篠さん)

熊篠さん自身の活動はアグレッシブだ。自分でコツコツと制作している公式サイトのほか、ミクシィやユーチューブなどネット上のサービスを利用して、障害者と性の問題が「存在している」ことを世の中にアピールするための情報発信を続けている。車椅子に乗ったツキノワグマが勃起しているキャラクターは、リリー・フランキーさんが描いたもの。障害者による障害者のためのNPO活動という先入観をもって『ノアール』のサイトを訪れると、あまりにもカジュアルで性に関する本音満載の情報に驚かされる。

いかにキレイごとを並べても、障害者が社会のマイノリティであるのは事実。熊篠さんは「たとえば新聞の障害者向け求人情報には、応募の資格に『公共交通機関で通勤できる人』となっているものがほとんど」と指摘する。ラッシュアワーに車椅子で電車に乗るのは難しいので、この応募資格には「社会的な体裁を取り繕うために障害者を採用するけど、設備を改修するコストなどがかからない聴覚障害者がいい」という企業の本音が隠されているともいえる。

病院などの『現場』で障害者の性の問題を口にしても顔をしかめられるだけというのが現状です。また、障害者の性の問題にとって、最大の敵は障害者自身の家族だったり医療や福祉の専門職だったりもする」(熊篠さん)。周囲の理解があまりに乏しく、性の悩みを抱える当事者の多くは、その悩みを口に出すことさえできないのが現状なのだ。

本来、性の問題には障害者も健常者もない。とはいえ、求人情報の応募資格が象徴するように、障害者のQOLを満たすためには「健常者と同じものさし」(熊篠さん)を使うのは無理がある。何よりもまず、障害者にも性欲があり、性の問題が存在していることを、自らの身体を張って主張して世の中を啓発しようとしているのが熊篠さんのやり方なのだ。
次のページは、「性的介助のルール作りへの取り組み」
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