球界を揺るがす統一球隠ぺい問題は、日本野球機構(NPB)の加藤良三コミッショナー(71)が考えている以上に深刻だ。最高責任者さえ知らない(?)間にボールの反発係数を変更できることが分かったことで、球界屈指の長距離砲、トニ・ブランコ内野手(32)擁するDeNAが「また知らない間に変えられるのでは?」と懸念しているのだ。62試合で23本塁打は年間53発ペースだが、リーグ戦再開で量産態勢に入って“あの数字”に近づいたら…。あってはならないことだが、疑ってかかるのも無理はない。
統一球が極秘裏に“飛ぶボール”に変更されていた問題で、DeNAナインは他球団の選手たちと同様に「裏切られた気分ですよ」と不信感を抱いていた。それでも15日に球団から説明を受けたことで落ち着きを取り戻したが、そんな矢先に新たな問題が浮上した。「ブランコが55号に近づいてきたら、またボールが飛ばないように変わるんじゃないか?」(コーチの一人)という疑念だ。
一連の騒動では、加藤コミッショナーが記者会見で発した「知らなかった」という発言がクローズアップされがちだが、一番の問題は一部の人間の意向で「飛ぶボール」「飛ばないボール」を勝手に変更できることが明らかになった点だ。仮に加藤コミッショナーなり下田事務局長が引責辞任したところで、ファンに抱かせてしまった疑念が晴れるわけではない。DeNA関係者が不審に思っているのも同じ理屈からだ。
今季のブランコは4月に15本塁打を放つなど、既に23本塁打をマークしている。交流戦に入って以降は厳しい内角攻めや勝負を避けられるケースも目立ってペースダウンしているが、それでも年間53本塁打ペース。4月には1試合3発や5戦6発を記録したように本塁打の固め打ちができるタイプだけに、リーグ戦が再開されれば量産態勢に入る可能性は高い。
そうなると浮上するのが「55号問題」だ。日本球界では1964年に王貞治(巨人)が記録した55本のシーズン最多本塁打記録が“神格化”されており、2001年のローズ(近鉄)、02年のカブレラ(西武)はタイ記録止まり。85年に54本塁打したバース(阪神)も含め、その記録に近づいた打者は例外なく四球攻めで退けられてきた。
いずれも相手チームによる意図的なものだったが、DeNAが懸念しているのは使用球の変更で同じような“妨害工作”を受けるのではないか、というもの。
高田繁GMは「一度、(ボール変更を)黙ってやってこんな大ごとになっているんだから、もう一回なんてあるワケないだろ」と楽観視しているが、ナインや関係者たちは気が気でないようだ。
唯一の救いはブランコ自身が「自分のパワーならボールは関係ない」とまったく動揺を見せていないこと。ただ、仮に実力で55号を超えられなかったとしても“惜しい本塁打数”だった場合には「こっそりボールを変えたんじゃないか」との疑念は付きまとう。今回の問題は、だからこそ「不祥事」なのである。
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