Wの“詐欺”悲劇か――。戦後最大級の消費者被害を生み出した「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)に、とうとう強制捜査のメスが入った。警視庁は18日、元代表取締役ら3人を逮捕した。今回の逮捕容疑は預託法違反。これを契機に全国の被害者約7万3000人、被害金額約4200億円を「だまし取った」ことによる詐欺での立件が本丸となる。全容解明への期待が高まる一方、安愚楽の被害者がさらに金をだまし取られるケースが相次いでいることが判明した。
警視庁捜査2課は18日、元代表取締役の三ケ尻久美子(69)、元取締役の増渕進(59)、大石勝也(74)の3容疑者を特定商品預託法違反(不実の告知)の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は、安愚楽牧場の経営破綻直前の2011年4~7月ごろ、オーナーと呼ばれる出資者約100人に対し、保有する牛の頭数が大幅に不足し約定通り割り当てる牛がいないのに、「牛はいる」と書かれたパンフレットや実在しない牛の耳番号を記載した契約書を送付するなどして勧誘した疑い。
11年8月の経営破綻から約2年を経てついに当局が動いた。和牛オーナー制度は、経営破綻の数年前から出資金を配当に充てる「自転車操業」に陥っていた疑いもあり、警視庁は詐欺容疑も視野に実態解明を進める。
同日、会見した被害対策弁護団の紀藤正樹弁護士らは今回の逮捕に納得してはいない。それもそのはず。「詐欺による起訴、再逮捕を強く期待したい」からだ。
預託法違反と詐欺には大きな違いがある。「牛がいないのに、いるかのように宣伝したこと」(紀藤氏)が前者。一方、その上でお金を払わせることを目的とした行為が後者に該当する。中には億単位の出資者もいるが、被害者は多額の金をゴミにしてしまった。詐欺容疑が適当であることは言うまでもない。弁護団としては「詐欺を固めるために、(預託法違反で)強制捜査に入ったという認識」を持っている。
政府に対しても、他の和牛商法業者が軒並み破綻していく中で、安愚楽の健全性をしっかり調査しなかったために余計な被害者を出してしまったことへの責任を追及していく方針だ。
さらに、安堵もしていられない事態が起こっている。「二次被害についても報道してもらいたい」と弁護団の副団長である鈴木喜久子弁護士は訴えた。安愚楽の被害者を狙い撃ちにして「あなたの被害金を取り返してあげる。つきましてはこんな投資話がございます」と近づいてきた詐欺グループに被害に遭う事態である。
「我々が開いた被害者への説明会の会場にまで来て『あなただけに話がある』と持ちかけてきた者までおりました。おそらく安愚楽からリストが漏れたのでは…」(鈴木氏)
こうなると泣きっ面に蜂どころではない。
「正確にはわかりませんが、数百件は二次被害が起きたそうです。中には1000万円単位の金を取られた方も」(同)
逮捕された3人の破産手続きで得られた金を含めてもなお、被害金額の4%しか資産回収が見込まれていない現実がある。「その情報が今日の逮捕で大々的に報道されますと、焦った方がまただまされることも。特に高齢の方に気をつけてもらいたい」
つまり「返ってくる金額はこれっぽっちかい!?」と嘆く人が、「被害金を取り戻せますよ」とありもしない詐欺話を持ちかけられ、引っかかってしまうのではないかという危惧だ。日本を震撼させた安愚楽の騒動はただでは終わりそうにない。
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