いじめ防止対策推進法が成立6月21日 11時54分
全国でいじめを巡る問題が相次いだことを受けて、児童・生徒がけがをするなど重大な被害が起きた場合には、学校が調査を行い事実関係を保護者らに伝えることを義務づけた「いじめ防止対策推進法」が、21日の参議院本会議で可決され、成立しました。
この法律は、おととし、大津市で中学2年生の男子生徒が自殺するなど全国でいじめを巡る問題が相次いだことを受けて、与野党6党が共同で提出したもので、21日の参議院本会議で賛成多数で可決され、成立しました。
法律は、いじめについて「心理的または物理的な影響を与える行為によって、心身の苦痛を感じているもの」と定義したうえで、インターネットの悪質な書き込みを含めいじめの禁止を明記しています。
そのうえで、いじめが起きた場合には、学校がカウンセラーの協力を得ながらいじめを受けた児童・生徒を継続的に支援することや、いじめを受けた児童・生徒が安心して教育を受けられるよう、いじめを行った側の児童・生徒は別の教室で授業を受けさせることを盛り込んでいます。
さらに、児童・生徒がけがをしたり長期間欠席することを余儀なくされたりするなど重大な被害が起きた場合には、学校が調査を行い事実関係を保護者らに伝えることを義務づけています。
いじめ防止法成立で大津の生徒の父親会見
21日の参議院本会議で「いじめ防止対策推進法」が成立したことを受けて、大津市で、いじめを受け、自殺した男子生徒の父親が記者会見し「いじめで命を落とす子どもが1人もいなくなるよう、徹底してこの法律を生かして欲しい」と訴えました。
この中で、父親は「法律ができたからといって、すぐにいじめが解決されるわけではなく、法律をもとに、教育委員会や学校の教員が現場で効果的な対策を行うことが必要だ。教員がいじめを発見しなければ法律の効果は発揮されない。アンテナを張り巡らせるとともに情報を保護者にも提供する体制を取ってもらいたい」と述べました。
そのうえで、父親は、今回成立した法律について、「息子が、いま生きている子どもたちを助けるために、命がけでつくった法律だと思っている」と涙ながらに語り、「現場では、いまだにいじめが起き、命を絶つ子どもやかけがえのない子どもを亡くし、学校や教育委員会の不誠実な対応に苦しんでいる遺族がいる。きょうを境にいじめで命を落とす子どもが1人もいなくなるよう、徹底してこの法律を生かして欲しい」と訴えました。
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