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平成18年6月5日紹介分

  • 紹介者(井戸本司書)からひと言
    『検定お伊勢さん 公式テキストブック』
    平成18年の11月に伊勢商工会議所が伊勢についての検定試験、「検定お伊勢さん」を実施します。この本は、その公式テキストブックとして発行されました
    内容は「神宮編」「歴史と文化編」「ものづくりとくらし編」の3部構成。古代から現在までの伊勢の歴史についてはもちろん、伊勢のことば(伊勢弁)、伊勢の民話など幅広く伊勢のことがわかる本です。
    伊勢の人間にはなじみの深い神宮、「お伊勢さん」。でも、思っている以上に知らないことはたくさんあると思います。むしろ、近いからこそ気付かない、知らないこともあるのではないでしょうか。本の中で知らないことに出会うたびに、伊勢への愛着が増していくと思います。

    『夢みる科学』
    著者の佐治晴夫先生は鈴鹿短期大学の学長をされています(2006年6月現在)。この本は、宮城大学教授をされていた、平成13年4月から平成14年12月までの間、読売新聞に毎週日曜日に連載されていたエッセイ「夢みる科学」90回分に、三重県に来てから書き下ろした5回を加え、単行本化したものです。
    日常のちょっとした話題から、いつの間にか宇宙や物理の話に繋がり、生き方についても考えさせられたり…広がりを持った内容です。読んだ後に思わず星空を見上げたくなる、そんな本です。

    今回のテーマは「三重を旅する」です。

    私自身、自転車で県内を走り回ったり、山に登ったりしています。自分の足で歩くと土地の匂いや風の流れ、人の営みを感じ、車ではなかなか気付けない地域の魅力に気付き、三重県に対する愛着がより沸いてきました。
    他の方にもそういった体験をしてほしくて、「外に出て、走ったり、歩いてみたくなる本」を紹介させてもらいました。

    『大人の遠足 山善会が行く』
    山行(山登り・ハイキング)の本です。
    伊勢市の月兎舎が発行しているローカル雑誌「NAGI(凪)」の創刊号から連載されていた記事に、高野山と大山を加えた22の山を紹介しており、県内の山は14。標高269mの的山(まとやま)から日本一の富士山(3776m)まで様々な山に登っています。
    著者は「山善会」のみなさん。全員が昭和32年(1957年)生まれで、3歳からのつきあいだそうです。
    山登りの本というと、コースマップがあって、所要時間がどれだけで、など実際にその山に登るためのガイドになっているものが多いです。が、この本は登るための情報がゼロとは言いませんが、ほとんどありません。タイトルの「大人の遠足」が示すとおり、少年に戻って山で遊ぶ、というところを大事にしています。
    悪天候やアクシデントも楽しむような文章を読んでいると、微笑みが浮かんでくるのを止めることができません。山行記で笑みが浮かぶというのは、珍しいです。それとともに、こういった仲間がいることがとてもうらやましく思えてきます。
    近所の小さな山でも、子どもたちは遊び方を自分たちで考えて遊びますよね。そうやって近場を「遊び場」に変えていこう、そんな志が感じられます。この本が最後に紹介する山が標高269mの「的山」になっているのは、そういった思いもこめられているのではないか、と感じてしまいます。

    『三重の峠 自転車でめぐる峠の魅力』
    自転車で巡った三重県内の峠38箇所を紹介した本です。
    三重県の峠の「過去の姿」と「現在の姿」のふたつを組み合わせて紹介することで、過去から現在を通じた峠の姿が浮かび上がってきます。
    本の中では、昔峠を通った人々、今も峠を通る人々について、時には厳しく、時には優しい眼を向けています。そのまなざしに作者の郷土への大いなる愛着を感じます。
    「意外に知らない自分の故郷の姿」を知るには、自転車は非常に気軽な道具です。峠を登る、というと敷居が高く感じるかもしれませんが、この本を読んでみて、実際に自転車で周囲を走ってみてください。自分の知らなかった風景、自分の知らなかった人々の営みをすぐそこで発見できるかもしれません。
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