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福島第一原発でストロンチウム
東京電力・福島第一原子力発電所で、2号機の海側にある観測用の井戸で採取した地下水から、放射性物質のストロンチウムとトリチウムが国の海への排出基準を上回る高い濃度で検出されました。
東京電力は、海に漏れ出していないかなどを詳しく調べることにしています。
東京電力によりますと、5月から6月にかけて福島第一原発2号機のタービン建屋の海側にある観測用の井戸で採取した地下水から、放射性物質のストロンチウムとトリチウムが検出されました。
濃度はいずれも最大でストロンチウムが1cc当たり1ベクレルで、国の海への排出基準の30倍余り。
トリチウムが1cc当たり500ベクレルで、基準の8倍余りだということです。
東京電力によりますと、近くの海の放射性物質の濃度に大きな変化はないということですが、この井戸の水が海に漏れ出していないか詳しく調べることにしています。
今回、放射性物質が見つかった井戸は観測を強化するため、去年11月に掘られたもので、去年12月に行われた調査では、濃度はいずれも基準以下の値だったということです。
原因について、東京電力は事故直後のおととし4月、2号機の海側で高濃度の汚染水が地面を通して海に漏れ出しており、そのときにしみ込んだ水に混ざった放射性物質が地下水とともに移動して、今回観測された可能性があるとしています。
一方、タービン建屋の地下には事故の影響で高い濃度の汚染水がたまっていますが、地下水のほうが水位が高いため、この汚染水が井戸に流れ込んだとはみていないということです。
東京電力は、近くの護岸を改良するなど井戸の水が海に漏れないよう対策を取るとともに、観測用の井戸を増やして、監視を強化することにしています。
06月19日 11時25分