6月21日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル指数3日続伸、FOMCの政策シフトで
ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨に対して3日続伸となった。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が景気改善次第では緩和策を縮小するとの考えを示したことを背景にドル買いが進行、新興国市場の資産や商品相場が下落している。
ドルは対円で週間ベースでは2カ月ぶりの大幅高。エコノミスト調査によると、来週発表される米住宅価格指数や耐久財受注額は伸びが予想されている。
UBSのシニア為替ストラテジスト、ジェフリー・ユー氏は電話インタビューで、「基本的にはまだ、連邦公開市場委員会(FOMC)を受けてのドル高の流れだ」と指摘。「徐々に消化されている段階だ。それが安定した形で起こっているのは好ましい。市場が望むところは、リスク選好に伴うドル上昇だ」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で前日比0.6%高の1ドル=97円90銭。週間では3.8%高。ドルは対ユーロで0.7%高の1ユーロ=1.3122ドルと、6日以来の高値水準。円は対ユーロで0.1%高の1ユーロ=128円45銭。
主要6通貨に対するドルの動きを示すインターコンチネンタル取引所のドル指数は0.5%上げて82.318。同指数は19日に1%上昇した。同日はFOMCが債券購入ペースを月額850億ドルで維持し、「景気と労働市場の見通しに対する下振れリスクが(昨年)秋以降小さくなってきた」と指摘した。
米国債利回りドル建て新興市場債の指標であるJPモルガン・チェースのEMBIグローバル指数は今週4.3%下げ、2008年10月以来最悪のリターンとなった。商品24銘柄で構成するスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のGSCI指数はこの日1%安。前日は3.1%下げていた。米10年債利回りはこの日2.55%と、2011年8月以来の高水準となった。
ウェルズ・ファーゴの主任為替ストラテジスト、ニック・ベネンブローク氏(ニューヨーク在勤)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「今週の重要な点は、債券利回りが上昇しているという事実だ」と指摘。「こうした利回り水準は続きそうで、商品や新興国通貨の回復が非常にリスクにさらされている」と述べた。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、米商務省が25日発表する5月の製造業耐久財受注額 は前月比で3%増加する見通し。同日発表の全米20都市を対象にした4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数 は、前年同月比10.6%上昇が見込まれている。
「金融政策の差」ソシエテ・ジェネラルの外為戦略ディレクター、アルビン・タン氏は「年内はドルがほぼ全面的に上昇すると当社ではみている」と指摘。「FOMCは他の中央銀行に比べるとタカ派的になりつつあり、日本銀行は大規模な金融緩和を始めたばかりだ。金融政策の差がドルを押し上げるだろう」と述べた。
円は今週、対ユーロでは2.3%下げ、4月5日終了週以来の大幅安となった。
JPモルガン・チェースのグローバルFXボラティリティ指数 は11.42%。一時は11.51%と、前日につけた2012年6月以来の高水準と並んだ。過去1年の平均は8.66%。
原題:Dollar Index Gains for 3rd Day as Fed Policy Shift SpursDemand(抜粋)
◎米国株:反発、大幅安の反動で-なお強気相場との声も
米株式相場は反発。大幅安からの反動で買いが戻った。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が段階的な緩和策縮小を示唆したことで、S&P500種 株価指数は前日、2011年11月以降で最大の下げとなった。
S&P500種の業種別10指数では生活必需品や公益、ヘルスケア関連の指数の伸びが目立った。一方でテクノロジーや資源株の指数は下落した。大型株ではプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やコカ・コーラが高い。オラクルは大幅安。売上高が2四半期連続で市場予想を下回ったことが嫌気された。
S&P500種 株価指数は前日比0.3%高の1592.43。この日は上げ下げを繰り返す展開だった。ダウ工業株30種 平均は41.08ドル(0.3%)上げて14799.40ドル。米証券取引所全体の売買高は約107億株と、11年10月以来の高水準。個別株と指数の先物およびオプションの清算日が重なる「クアドルプルウィッチング」に当たったことが背景にある。ウィッチングの日は、ボラティリティ(変動性)も通常より高まる傾向がある。
ビリニー・アソシエーツのラズロー・ビリニー社長は前日までの下落について、「予期せぬニュースに反応した正常な調整に過ぎない」とした上で、「強気相場は続いていると私はなお考えている」と続けた。
S&P500種は前日2.5%下落。米金融当局が刺激策の段階的縮小を示唆したことに反応し、世界的に株価が下落した。量的緩和の縮小懸念を背景に、S&P500種は5月21日に付けた高値から4.6%下落している。
資産購入の縮小見通しブルームバーグがエコノミスト54人を対象に実施した調査では、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入を毎月650億ドルに縮小すると予想した回答者が全体の44%となり、今月4-5日時点での調査(27%)から増加した。
米セントルイス連銀のブラード総裁はこの日、金融当局が債券購入の縮小を示唆したことについて「タイミングが不適切」だとの見解を示した。
量的緩和(QE)縮小計画を「示す前に、景気が強まりつつありインフレ率が目標水準に戻る道筋にあることを示す目に見えた兆候を待つのが、慎重なアプローチというものだろう」とのコメントを同総裁は出した。
S&P500種の下げに備えたオプションのコストを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX )は7.8%下落の18.90。前日は23%上昇し20.49と、終値ベースで昨年12月28日以来の高水準となっていた。
生活必需品や公益が高いこの日は生活必需品や公益、ヘルスケア関連の指数 が大きく上昇。P&Gは2.9%高の77.43ドル。ダウ平均で値上がり率トップとなった。コカ・コーラは1.6%高の39.76ドル。
一方でテクノロジー株は0.7%下落と、S&P500種の業種別10指数で最大の下げ。ヒューレット・パッカード(HP)は2.3%安の24.15ドル。
オラクルは9.3%安の30.14ドル。同社の発表によると、3-5月(第4四半期)決算では、一部項目を除いた1株利益は87セント、売上高は110億ドル(約1兆700億円)となった。ブルームバーグがまとめたデータによると、アナリストの予想平均は1株利益が87セント、売上高は111億ドルだった。
原題:U.S. Stocks Advance Following Biggest Drop Since November2011(抜粋)
◎米国債:10年債利回り、2年ぶり高水準-緩和策縮小の観測
米国債市場では10年債利回り が約2年ぶりに2.5%台に上昇した。米金融当局は経済成長が十分に加速し資産購入を終了できると予想していることから、投資家は米国債に売りを出した。
バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)は19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見で、年内にも量的緩和を縮小させ始め、2014年年央には終了する可能性があると述べた。これに反応し、今週は住宅ローンからコーポレートローンに至るまで、主な証券の利回りは大幅上昇 となった。
ソシエテ・ジェネラルのトレーダー、ショーン・マーフィー氏(ニューヨーク在勤)は「バーナンキ議長の発言で利回りのレンジが押し上げられた。まだ手じまい売りは続いている」と述べた上で、「しかし市場は今も相場を見極めようとしている段階だ。レンジはまだ確定していない。大体この水準でバリューはあるが、今のような手じまいが続くとこの先の方向には不透明感も強い」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.53%。一時は2.55%と、2011年8月8日以来の最高を付けた。週間ベースでは40bp上昇と、2003年3月以来で最大の上げだった。同年債(表面利率1.75%、2023年5月償還)価格はこの日、31/32下げて93 6/32。
30年債利回りは7bp上げて3.58%。一時は3.60%と、2011年9月以来の最高に上昇した場面もあった。週間では28bpと、2009年8月以来で最大の伸びだった。
市場は新たな現実に適応中三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス氏は、「市場は新たな現実に適応しようと調整している」と述べ、「投資家は債券ファンドの中に隠れていたが、その債券ファンドも米金融当局から離れつつある。調整は予想よりも若干深くなるかも知れない」と続けた。
CRTキャピタル・グループの国債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏によれば、10年債利回りがテクニカルな節目である2.52%を上回って取引を終了した場合、その後さらに2.75%まで上昇する可能性がある。同氏はフィボナッチ数列に基づく分析ではそれが2011年7月1日につけた高水準の61.8%の戻しに当たると説明した。
リンジェン氏は「2.5%というのは心理的に重要な節目であり、2.52%というのはテクニカル分析において重要な節目だ」と述べ、「その水準を維持できたら市場にとって建設的であり、この新たな2.3-2.5%という新しい利回りレンジで値固めすることになるだろう。もしそのレンジを抜けたら、2.75%まで上昇する可能性もある」と続けた。
タームプレミアムコロンビア・マネジメント・インベストメント・アドバイザーズによると、10年債のタームプレミアム (期間に伴う上乗せ利回り)は0.27%と、2011年7月以来の高水準に上昇。タームプレミアムは今週に入って2011年10月以来で初めてプラスとなった。
ブルームバーグがエコノミスト54人を対象に実施した調査によると、44%が9月のFOMCで現行の月850億ドルの債券購入を200億ドル減らし650億ドルにすると予想している。今月4-5日に実施した同様の調査では、9月に債券購入の減額がスタートするとの予想は27%にとどまっていた。
FF金利見通しFF金利先物動向によると、政策金利が2014年12月までに少なくとも0.25ポイント引き上げられる確率は54%と、5月初めの14%から上昇した。
トレーダーのインフレ見通しの指標となる10年債と同年限TIPSの利回り差(ブレークイーブンレート )は1.94ポイントと、2012年1月以来で最小だった。
米国債のボラティリティ(変動性)の指標とされるメリル・オプション・ボラティリティ・エスティメート(MOVE )指数は前日に103.73と、2011年11月以来の高水準となった。年初からの平均値は1日当たり62となっている。
原題:U.S. 10-Year Yield Climbs to Two-Year High Amid StimulusConcern(抜粋)
◎NY金:反発、前日の大幅安で買い-週間では7%下落
ニューヨーク金先物相場は押し目買いで反発した。前日は2010年以来の安値に下げていた。週間ベースでは4月以来の大幅安を記録。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が今週、緩和策の縮小に言及したことが背景にある。
金は前日6.4%下落していた。同議長は19日、景気が当局の予想通りに回復を続ければ、年内に債券購入の規模を縮小し始め、2014年半ばに終了させる可能性があると語った。
スタンダード・バンクの商品ストラテジスト、マーク・グラウンド氏は電話インタビューで、「現物需要は常にあり、ここ最近の値動きを踏まえれば、現物買いがやや強く入る可能性がある」と指摘。「近い将来に以前の水準へ戻るとは思わない。流動性がもはやこれまでのように供給されることはないとの見方に金市場は慣れつつある」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8月限は前日比0.5%高の1オンス=1292ドルで終了。週間では6.9%下落。
原題:Gold Rebounds in New York After Slumping to Cheapest Since2010(抜粋)
◎NY原油:3日続落、緩和縮小観測や中国懸念でドルが上昇
ニューヨーク原油先物相場は3日続落。2週間ぶりの安値を付けた。ドルの上昇を嫌気して売りが優勢になった。米連邦公開市場委員会(FOMC )が9月に月間の債券購入額を減らすとの見通しや、中国の流動性逼迫(ひっぱく)で同国の経済成長が抑制されるとの懸念がドル高につながった。
原油相場は週間ベースで3週間ぶりに下げた。ドル指数は2週間ぶりの高水準に達した。ブルームバーグが19-20日に実施したエコノミスト調査によると、FOMCが9月の会合で緩和縮小に動くとの回答は約44%となった。4-5日実施の調査では27%にとどまっていた。前日には中国の1日物レポ金利が過去最高を記録し、中国人民銀行(中央銀行)が流動性を供給せざるを得なくなるとの思惑が高まった。
エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「ドル上昇は明らかに原油相場を圧迫している。FOMCが支援を減らしているため原油は下げている。中国の状況や同国の銀行システムが混乱する可能性への懸念は強い」と指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日比1.45ドル(1.52%)安の1バレル=93.69ドルで終了。終値としては4日以来の安値となった。
原題:Crude Falls to Two-Week Low as Dollar Climbs on FedExpectation(抜粋)
◎欧州株:4日続落-ギリシャ政局不安が再燃欧州株式相場 は下落。ギリシャ民主左派の連立政権離脱が嫌気された。また米金融緩和策の今後を警戒する動きも影響した。ストックス欧州600指数は4日続落し、週間ベースでは13カ月で最大の下げとなった。
ギリシャ・ナショナル銀行が大幅安。ギリシャの株式相場は昨年10月以降で最大の下げとなった。ドイツのSAPも安い。同業の米オラクルが示した四半期利益見通しが、アナリスト予想の下限だったことに反応した。グループ・ユーロトンネルも安い。証券会社による投資判断引き下げが嫌気された。
ストックス欧州600 指数は前日比1.2%安の280.4で終了。週間では3.7%下落し、これで5週続落となった。
メリテン・インベストメント・マネジメント(デュッセルドルフ)の欧州株アセットマネジャー、トビアス・ブリッチュ氏は「ギリシャ民主左派の連立政権離脱は不透明感の改善にはプラスとならない」とし、「ギリシャが昨年のように問題となることはないだろう。新たに選挙となれば、それは問題は拡大し得る。また米当局が量的緩和を縮小した場合の影響への懸念は、今後も続く見通しだ」と加えた。
この日の西欧市場では、取引が行われた16カ国中14カ国で主要株価指数が下落した。
原題:Europe Stocks Drop for Fourth Day Amid Greek GovernmentDispute(抜粋)
◎欧州債:ドイツ債続落、緩和縮小を懸念-ギリシャ債が大幅下落
欧州債市場ではドイツ国債が続落。週間ベースでは5カ月で最大の下落となった。世界の主要中央銀行が刺激策を縮小するとの懸念の高まりを背景に、国債の需要が後退した。
ドイツ10年債 利回りは2012年4月以来の高水準となった。ユーロ圏各国の国債も今週は軒並み下げた。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が債券購入を2014年半ばまでに停止する可能性を示唆したことが手掛かり。ギリシャ10年債利回りは11%台に乗せ、2カ月弱で最高となった。同国の連立政権に参加する民主左派が政権離脱を表明した。
コメルツ銀行の金利ストラテジスト、ミヒャエル・ライスター氏(ロンドン在勤)は「ドイツ債だけでなく、世界的に各国国債への売り圧力が続いている」とし、「緩和政策の解除懸念が引き続き債券相場に重しであることを、このパターンは示唆しているようだ」と語った。
ロンドン時間午後4時42分現在、ドイツ10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し1.73%。一時は1.74%と、昨年4月26日以来の最高に達した。前週末比 では22bp上昇と、1月4日終了週以来の大幅な上げとなった。同国債(表面利率1.5%、2023年5月償還)価格はこの日、0.61下げ97.90。
ギリシャ10年債は3日続落し、利回りは63bp上昇の11.29%。一時は11.64%まで上げ、4月29日以来の高水準を付けた。
英国債相場は続落。10年債利回りは1年3カ月ぶりの高さとなった。週間ベースでは2009年1月以来の大幅上昇。
ロンドン時間午後4時34分現在、同利回りは12bp上昇し2.42%。これは昨年3月21日以来の高水準。前週末比では36bp上昇。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格はこの日、0.965下げて94.54。
原題:German Bonds Decline as Debt Slump Deepens; Greek YieldsSurge(抜粋)Gilt Yield Rises to 15-Month High on Fed Concern; Pound Falls(抜粋)
更新日時: 2013/06/22 07:23 JST