MERS集団感染発生 国内でも対策を6月22日 4時21分
中東からヨーロッパにかけて新種のコロナウイルスの感染が広がっている問題で、病院を訪れた人が院内で相次いで感染する集団感染が起きていたことが報告されました。
専門家は「ウイルスはヒトに感染しやすくなっている。国内でも感染対策を急ぐ必要がある」と話しています。
「MERSコロナウイルス」は、2003年に中国などで猛威を振るった新型肺炎「SARS」を引き起こしたコロナウイルスの仲間で、中東やヨーロッパでこれまでに64人が感染、38人が死亡しています。
このうち、患者が集中しているサウジアラビアでカナダのトロント大学などのチームが感染経路を調べたところ、23人の患者のうち21人は人工透析や持病の治療などのため訪れた病院内で感染するなど、ヒトからヒトへの感染だったことが分かりました。
中には、1人の患者が7人に感染を広げた集団感染のケースもあり、ウイルスは比較的短期間に患者から患者に広まっていました。
これについて、国立感染症研究所の松山州徳室長は「この数か月で感染者が急速に増えている状況を見ると、ウイルスはヒトからヒトへと感染しやすくなっている。国内に入ってくる可能性もあるので、詳しく情報を分析し医療現場などでの感染対策に生かすことが重要だ」と話しています。
感染の最新状況は
新種のウイルス「MERSコロナウイルス」について、WHO=世界保健機関は17日までにサウジアラビアで新たに4人が死亡し、さらに2歳の男の子を含む3人の感染が確認されたと発表しました。
これにより去年の9月以降、世界で64人がこのウイルスに感染し、このうち38人が死亡しました。
これまでに感染が確認されたのは▽サウジアラビア▽ヨルダン▽カタール▽アラブ首長国連邦の中東の国々に加えて、旅行などで中東から帰国したり、治療のために搬送されたりして▽フランス▽ドイツ▽イタリア▽イギリスのヨーロッパの国々、さらには▽北アフリカのチュニジアにまで広がり、あわせて9か国となっています。
WHOは世界各国の保健当局に対し、急性の呼吸器疾患への監視を続けることや、中東を訪れたあとこうした症状がある場合には検査を行うことを求めています。
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