安倍政権下では靖国参拝や従軍慰安婦などの「歴史的」な問題が、単に中国と韓国との間だけでなく、米国との間でも微妙な波紋を広げるようになった。
特に日本の政治指導者たちによる靖国神社参拝は、2006年頃の小泉純一郎首相時代とは異なり、米国でも批判的な反応を生むようになった。米国のマスコミや学者たちの間で、日本の閣僚の靖国参拝を「戦争の美化」や「軍国主義の復活」という言葉と結びつける反応が増えてきたのだ。
その種の批判はオバマ政権の内部にさえあるという。ちなみに前ブッシュ政権は日本の首相らの靖国参拝を否定的に捉えるという傾向をまったく見せなかった。
「外国の政府からあれこれ指示されるべき慣行ではない」
さて、そんな背景の中で、6月上旬に訪日した日本近代史研究の専門学者ケビン・ドーク氏が安倍晋三首相とも会い、改めて日本の政治指導者による靖国神社参拝を奨励した。
靖国参拝は日本を守るために戦って、命を捨てた戦死者たちの霊への敬虔な追悼であり、首相など政治指導者はもっと頻繁に参拝をして、弔意を表すべきだというのである。米国の識者の間にもこうした靖国参拝奨励の意見があることを改めて銘記しておくべきだろう。
ドーク氏は現在53歳、米国東部の由緒ある名門ジョージタウン大学の教授である。所属は東アジア言語文化学部で、この学部の学部長を務めたこともある。専門は日本近代史で、中でも日本のナショナリズムやキリスト教信仰の歴史を特に集中的に研究してきた。日本には高校生の頃に1年間留学し、以来、数年ごとに東大、東海大、立教大などで研究や指導を重ねてきた。彼は敬虔なカトリック信徒でもある。
私はドーク教授には2005年頃にワシントンで知己を得たが、今回は私自身が日本への一時帰国中、たまたま来日した同教授に東京で会う機会を得た。そこで東京でのインタビューで、日本の政治指導者らの靖国神社参拝に対する彼の見解を改めて尋ねてみた。以下にその一問一答の内容を紹介する。
――あなたは2006年頃に当時の小泉純一郎首相の靖国神社参拝が中国から激しく非難されたとき、日本の政治指導者の靖国参拝にはなんの不当な点はなく、もっと頻繁に参拝すべきだという意見を述べましたが、その考えはいまも変わっていませんか。
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