ドーク教授 「はい、いまもまったく変わっていません。一国の政治指導者が自国を守るために命を犠牲にした戦没者の霊に祈りを捧げることはごく自然です。外国の政府からあれこれ指示されるべき慣行ではありません」
──今回の来日は何が目的だったのでしょうか。
「秋田の国際教養大学で日本のナショナリズムの歴史について集中講義をするために招かれたのです。その冒頭の6月6日に安倍晋三首相を官邸に表敬訪問し、懇談しました」
――靖国問題についても、あなたの従来の見解を安倍首相に改めて伝えたということでしょうか。
「会談の内容は一応、外部には伝えないということになっています。しかし極めて友好的で意義のある訪問となったとだけは言えます」
アーリントン国立墓地には「奴隷制度」支持者も埋葬されている
――あなたが日本の首相はじめ政治指導者は靖国神社に頻繁に参拝すべきだと考える理由を改めて説明してください。
「死者を含めての他者の尊厳への精神的な敬意というのは、個人の権利や市民の自由の前提です。それらの権利や自由は民主主義社会の基礎でもあります。ことに自国を守るために命を犠牲にした戦没者への弔意の表明は、一般国民はもちろんのこと、その国の指導者層にとって特に重要です。日本国民にとって靖国に祀られた戦没者たちの霊の追悼は、祖国への誇り、祖国への敬意の表明でしょう。もし日本の首相が靖国参拝を止めてしまえば、日本社会は世俗化の一途をたどってしまうでしょう」
――日本の「世俗化」とはなんでしょうか。
「政治や社会から道義的な要素が消え、無責任が野放しになること、つまりは国民が背骨を喪失した状態のことです」
――しかし靖国神社にはA級戦犯が祀られているため、その参拝は戦犯の行為への賛同や美化になるという非難があります。
「靖国に祀られているのはA級戦犯の霊だけではありません。それに参拝をしたからといって、そこに祀られた人たちの生前の行動をすべて承認したり、賛美することを意味はしないでしょう。米国の戦没者慰霊施設であるアーリントン国立墓地には、南北戦争で奴隷制度を守るために闘った南軍の将兵たちが埋葬されています。この墓地には米国の歴代大統領が訪れ、弔意を表します。では、いまこの墓地を訪れる大統領が奴隷制度を支持するのか。アーリントンで慰霊するオバマ大統領は奴隷制度を肯定しているのか。決して、そんなことはないでしょう。靖国参拝に関しても同じことが言えるでしょう」
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