いじめ防止対策推進法:「息子が命がけで作った法律」 成立、重大事案に報告義務

毎日新聞 2013年06月21日 大阪夕刊

 与野党の議員立法によるいじめ防止対策推進法が、21日の参院本会議で可決、成立した。2011年の大津市の中2男子自殺など、深刻ないじめの状況を受けた措置。子供の生命や心身に深刻な被害が及ぶ重大事態について、学校は自治体の首長などに報告する責務を負い、自治体は必要に応じて調査機関を設置する。国と学校に基本方針の作成を義務付け、各学校には教職員や心理・福祉の専門家などによる組織を常設する。また、公平性を確保するため、いじめ防止のための組織や調査委員会には、専門家などの第三者を入れる。【福田隆】

 同法は、いじめについて、同じ学校に通うなど一定の人間関係がある児童生徒による、心理的または物理的な影響を与える行為(インターネット含む)で、対象となった児童生徒が苦痛を感じているもの、と定義。小中高校と高等専門学校を対象とし、いじめ防止と事態の調査・対応について、学校、自治体、国の責務を明記した。適切な早期対応につなげるため、警察や児童相談所、法務局など関係機関との連携推進も盛り込んだ。

 同法を巡っては、今年4月に民主など野党案が、5月に自民・公明の与党案がそれぞれ国会に提出され、一本化の協議が続いてきた。成立した法は与党案をベースとし、インターネットでのいじめへの具体的対処法など、野党案の内容が加えられた。

 また、いじめで自殺した子供の遺族らの要望も反映。この日に先立つ衆参両院の各委員会では、いじめ防止のために設置する各組織や重大事案発生後の調査委員会などに、専門知識や経験を持つ第三者を参加させて公平性・中立性を担保する運用方針が、付帯決議で確認された。

 下村博文文部科学相は21日、本会議に先立つ閣議後の記者会見で「各党に感謝したい。文科省としても速やかに基本方針を策定する」と述べた。

 ◇大津の父親「運用見守る」

 いじめ防止対策推進法の成立を受けて、大津市の中2男子自殺で息子を亡くした父親(47)が21日午前、文部科学省で記者会見した。父親は時折、声を詰まらせ、ハンカチで涙をぬぐいながら「息子が今、生きている子供たちのために命がけでつくった法律。『日本の学校はあの時から変わった』と実感できるまで法律の運用を見守りたい」と話した。

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