とんぼの本


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川瀬敏郎 一日一花

2013年01月
2013年1月31日(木)



黃という色は、それだけで贅沢でした。南蛮菓子の代名詞。福岡黒田藩のお留め菓子です。
菓=鶏卵素麺/松屋(博多)
器=染付阿蘭陀写角向付 尾形乾山作 江戸時代

2013年1月30日(水)



富士の高嶺に降る雪。山部赤人か後鳥羽院か。
菓=富士のこけもも/藤太郎(富士宮)
器=七宝雲鶴文端反鉢 錦雲軒稲葉作 昭和時代

2013年1月29日(火)



さくり、しっとりとした口あたり。黄金色の贅沢。
菓=黄味小判/松月堂喜三兵衛(小千谷)
器=高台寺蒔絵乱箱 桃山時代

2013年1月28日(月)



勾玉には女性美を思います。
菓=勾玉/吉はし(金沢)
器=高麗青磁雲鶴文鉢 高麗時代

2013年1月27日(日)



極寒の海で見る日の出は神々しいものです。
菓=日の出前/三英堂(松江)
器=溜塗食籠 十一代中村宗哲作 昭和時代

2013年1月26日(土)



雪の上にひとつこぼれた南天の実。
菓=笑顔雪餅/嘯月(京都)
器=黒漆七宝透文縁高 村瀬治兵衛作 現代

2013年1月25日(金)



前田家の紋「梅鉢」をかたどった銘菓で、北陸の迎春菓の代表。金沢の菓子の多くは前田家ゆかりのものです。
菓=福梅/柴舟小出(金沢)
器=梅鉢蒔絵桶 江戸時代 前田家伝来

2013年1月24日(木)



花をのみ待つらん人に山里の雪間の草の春を見せばや(藤原家隆)
菓=福寿草/吉はし(金沢)
器=天龍寺青磁端反鉢 明時代

2013年1月23日(水)



塩味のなかの甘さ。古風な格と親しみと。
菓=松葉昆布、霜ふり昆布/松前屋(京都)
器=根引松蒔絵八足高杯 土佐光孚画 長野横笛作 江戸時代

2013年1月22日(火)



「松に雪」はめでたさの意匠。厳しい風雪に耐えてこそ。
菓=松の雪/末富(京都)
器=天正菊桐蒔絵蓋縁高 慶入補作 江戸時代 湯浅七左衛門家伝来 

2013年1月21日(月)



羽をひろげて空を舞う鶴。さっくりとした生姜の風味も。
菓=舞鶴/森八(金沢)
器=瑞雲群梨地丸盆 河井漆仙作 明治時代

2013年1月20日(日)



大寒。まだまだ柚子の恋しい寒さ。
菓=柚子薯蕷/鍵甚良房(京都)
器=青呉須龍文鉢 須田菁華作 昭和時代 

2013年1月19日(土)



故郷伊予の菓子。やわらかな口あたりは吉祥の味わい。
菓=つるの子/西岡菓子舗(松山)
器=色絵呉須赤絵写鉢 永楽保全作 江戸時代

2013年1月18日(金)



七宝とはもとは仏道の七種の宝。七宝文様は輪のつらなりを愛でる繁栄のしるしです。
菓=花七宝/末富(京都)
器=七宝七宝文皿 明時代

2013年1月17日(木)



寒中、紅白の花が氷をまとう美しさ。
菓=花氷、松葉/とし田(両国)
器=彫漆橙文香盆 二十代堆朱楊成作 昭和時代

2013年1月16日(水)



宮中歌会始。今年の勅題は「立」。毎年の歌題は茶席の趣向にも取り上げられます。
菓=春の出で立ち/とらや(京都)
器=呉須赤絵福字皿 明時代 細川護立旧蔵

2013年1月15日(火)



小正月。正月気分も薄れる頃。
菓=干支絵馬煎餅/二条若狭屋(京都)
器=朱金盆 西村圭功作 現代

2013年1月14日(月)



成人の日。めでたい門出に。
菓=寿煎餅、松葉/落雁諸江屋(金沢)
器=大内桐蒔絵小蓋盆 描金堂米田孫六作 明治時代

2013年1月13日(日)



紅白のおだまきが何ともはんなりした佇まい。もっとも好きな祝儀菓子のひとつ。
菓=千代の糸/松華堂(半田)
器=七宝龍文兜鉢 明時代

2013年1月12日(土)



お雑煮のもっとも洗練された姿。もとは宮中の行事食「御菱葩」で、幕末に茶の菓子に。
菓=御菱葩/川端道喜(京都)
器=独楽塗盆 不見斎好 江戸時代

2013年1月11日(金)



根引松に千代のちぎりを結ぶ。初釜の干菓子。
菓=若松煎餅 千代結び/亀屋伊織(京都)
器=一閑張朱塗唐戸面食籠 明治時代

2013年1月10日(木)



白い皮は雪、餡の色は松。初釜の席でよくお眼にかかります。
菓=常盤上用/嘯月(京都)
器=一閑張朱塗唐戸面食籠 明治時代

2013年1月9日(水)



なかには金華糖の七福神や愛らしい土人形が。童心に返る初春。
菓=福徳煎餅/落雁諸江屋(金沢)
器=蒔絵遠山臺 江戸時代 横山家伝来

2013年1月8日(火)



縁起をかつぐなら昆布。その最上の生菓子。
菓=きうひ昆布/松前屋(京都)
器=唐物独楽盆 明時代 本願寺伝来

2013年1月7日(月)



わずかにくぼめば「笑くぼ」に。
菓=笑くぼ上用/嘯月(京都)
器=根来隅切四方盆 室町時代

2013年1月6日(日)



紅一点。古式ゆかしい笑顔です。
菓=笑顔上用/嘯月(京都)
器=春日高杯 江戸時代

2013年1月5日(土)



干支は日本人が愛する正月のモチーフ。
菓=干支煎餅/末富(京都)
器=東大寺二月堂練行衆盤写 江戸時代

2013年1月4日(金)



「長生殿裏春秋富」は和漢朗詠集の祝賀の一節。祝儀の干菓子の筆頭です。
菓=長生殿生〆/森八(金沢)
器=南天蒔絵硯蓋 吉右衛門作 江戸時代 前田家伝来 

2013年1月3日(木)



山椒をきかせた白味噌と。名の通り、茶席の菓子の古き姿。
菓=珠光餅/手製
器=朱塗皆具 不審文字/常叟筆 江戸時代 今日庵伝来

2013年1月2日(水)



初夢。茄子くらいには出会いたいもの。
菓=初なすび/大松屋本家(鶴岡)
器=黒漆輪花皿 近藤道恵作 金森宗和好み 江戸時代

2013年1月1日(火)



元旦。真白き姿は瑞穂の国の象徴です。
菓=鏡餅
器=春日卓 室町時代

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)


1976年愛媛県生れ。神戸大学法学部卒業。少年期より裏千家茶道を学び、1997年に芳心会を設立。京都、東京で稽古場を主宰しつつ、雑誌の記事やテレビ番組、展覧会等の監修を手がける。2008年、日本博物館協会顕彰。2011年、JCDデザインアワード金賞。2011年、宇和島大賞。著書に『茶の湯デザイン』『千利休の功罪。』(ともに阪急コミュニケーションズ)、『利休入門』(新潮社とんぼの本)など。


とんぼの本は「美術」「歴史」「文学」「旅」をテーマとするヴィジュアルの入門書、案内書のシリーズです。創刊は1983年。シリーズ名は「視野を広く持ちたい」という思いから名づけたものです。
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