とんぼの本


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川瀬敏郎 一日一花

2012年12月
2012年12月31日(月)



蒸したてのまんじゅうはこの季節なによりのごちそう。茶礼では除夜釜を行ないますが、我が家の定番はこれです。
菓=虎屋饅頭/とらや(京都)
器=シリンダー 西村圭功作 現代

2012年12月30日(日)



蕎麦上用を巻いたもの。木枯の名が身にしみる年の瀬、つごもり。
菓=木枯/緑菴(京都)
器=古備前足付台鉢 桃山時代

2012年12月29日(土)



落雁の起源をたどればシルクロードからギリシャへ到るといいます。老舗落雁舗の新しくて古い味。
菓=軟楽甘/諸江屋(金沢)
器=羽田盆 室町時代

2012年12月28日(金)



さらりとした口どけ。名も美しい銘菓です。
菓=雪花糖/行松旭松堂(小松)
器=黒漆四方盆 赤木明登作 現代

2012年12月27日(木)



ふの焼でくるんだ「阿わ雪」。塩気が嬉しい。
菓=ゆきごろも/松琴堂(下関)
器=沢栗銀沙盆 村瀬治兵衛作 昭和時代

2012年12月26日(水)



束ねた柴にも雪の降りつむ頃。
菓=たばね/松屋(博多)
器=白檀塗皿 北大路魯山人作 昭和時代

2012年12月25日(火)



カリヨンとは鐘の楽器。十字架とともに。
菓=組鐘(カリヨン)/松華堂(半田)
器=八代クルス文俵形鉢 江戸時代初期

2012年12月24日(月)



老いも若きも、和も洋も、今夜ばかりはメリークリスマス!
菓=聖夜/末富(京都)
器=阿蘭陀色絵呉須赤絵写平鉢 18世紀

2012年12月23日(日)



天皇誕生日。古い茶会記からのとりあわせで、「お菓子」の来し方を思いました。
菓=赤飯、生砂糖/手製
器=浄法寺塗椿皿 昭和時代

2012年12月22日(土)



純白の美しいきんとん。なかは黄味餡です。
菓=雪餅/嘯月(京都)
器=織部好八角縁高 十一代中村宗哲作 昭和時代

2012年12月21日(金)



柚子をかたどった愛らしい干菓子。祥瑞の名品「蜜柑香合」に思いが到るのが茶の湯。
菓=つまみ、松葉/亀屋伊織(京都)
器=一閑張片木四方盆 明治時代

2012年12月20日(木)



ゆきやこんこん、あられやこんこん。こぼれるほどの雪景色。
菓=雪まろげ/塩芳軒(京都)
器=染付祥瑞写猪口 初代須田菁華作 明治時代

2012年12月19日(水)



利休の孫宗旦の命日。白小豆の餡と道明寺の菓子は宗旦の好みによるとされます。
菓=雲文/手製
器=孤篷庵形溜塗片木縁高 江戸時代 大徳寺孤篷庵伝来

2012年12月18日(火)



まさに淡雪の白。
菓=阿わ雪/松琴堂(下関)
器=色絵乾山写雪笹文鉢 永楽即全作 昭和時代

2012年12月17日(月)



胡桃の野趣に蜂蜜の甘み。信州の山家の贅沢。
菓=真味糖生、真味糖大島/開運堂(松本)
器=沢栗独楽文丸器 村瀬治兵衛作 現代

2012年12月16日(日)



黒糖の餡に霜がおります。冬のごちそう。
菓=大島/塩芳軒(京都)
器=白磁碗 黒田泰造作 現代

2012年12月15日(土)



枝葉よりも幹に松はあると思います。とくに冬は。
菓=松風/松屋常盤(京都)
器=伊万里白磁菊皿 江戸時代

2012年12月14日(金)



素朴さはつよさでもあります。
菓=五百石ゆべし/泰阜村(下伊那)
器=銹絵詩画扇形皿 尾形乾山作 江戸時代

2012年12月13日(木)



事始め。正月迎えの準備を始めます。暮の挨拶の日でもあり、好事をつめたふくろ(福盧)は京の歳暮の代名詞です。
菓=好事福盧/村上開新堂(京都)
器=輸出九谷赤絵雀文中皿 明治時代初期

2012年12月12日(水)



松の翠も雪の白さがあればこそ。
菓=雪輪、光琳松/亀屋伊織(京都)
器=唐物朱塗四方盆 明時代

2012年12月11日(火)



山茶花は椿の一種。冬を飾る色です。
菓=山茶花/緑菴(京都)
器=銹絵椿文重色紙形皿 尾形乾山作 江戸時代

2012年12月10日(月)



名が食感をあらわしています。
菓=しも柱/澤鹿文明堂(徳島)
器=黒漆爪紅輪花盆 十二代中村宗哲作 現代

2012年12月9日(日)



軽いあつもの(羹)。むっちりした白は、冬にふさわしい気がします。
菓=軽羹/明石屋(鹿児島)
器=古染付算木文四方鉢 明時代末

2012年12月8日(土)



雪輪の意匠は、もとはオランダの博物図譜からとのこと。
菓=雪輪/嘯月(京都)
器=雪華墨はじき雪文皿 十四代今泉今右衛門作 現代

2012年12月7日(金)



三大名菓のひとつ。口中ではらはらとくずれます。
菓=越の雪/大和屋(長岡)
器=銀鑢粉雪花菓子器 橋口宗栄作 昭和時代

2012年12月6日(木)



「見えない」ことも大事です。
菓=下紅葉/亀屋伊織(京都)
器=黒漆輪花盆 八代中村宗哲作 江戸時代

2012年12月5日(水)



木守の柿にも霜がおります。
菓=木守柿/三友堂(高松)
器=青漆爪紅山道小盆 現代

2012年12月4日(火)



冬の鈴鹿越えの厳しさを思わずにはいられません。
菓=関の戸/深川屋陸奥大掾(関町)
器=栗なぐり盆 江戸時代

2012年12月3日(月)



ふぞろいな姿は薄氷そのもの。初冬の名物です。
菓=薄氷/五郎丸屋(富山)
器=唐物黒漆輪花盆 元時代

2012年12月2日(日)



紅葉も名残り。京都ではこの時期がもっとも美しいのですが。
菓=宿り木、照葉/亀屋伊織(京都)
器=溜塗四方盆 飛来一閑作 現代

2012年12月1日(土)



諏訪名物の氷餅。その歯ごたえは、霜柱をふむ楽しさを思い出させてくれます。
菓=初霜/不二屋(下諏訪)
器=唐物彫漆屈輪文丸盆 明時代末

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)


1976年愛媛県生れ。神戸大学法学部卒業。少年期より裏千家茶道を学び、1997年に芳心会を設立。京都、東京で稽古場を主宰しつつ、雑誌の記事やテレビ番組、展覧会等の監修を手がける。2008年、日本博物館協会顕彰。2011年、JCDデザインアワード金賞。2011年、宇和島大賞。著書に『茶の湯デザイン』『千利休の功罪。』(ともに阪急コミュニケーションズ)、『利休入門』(新潮社とんぼの本)など。


とんぼの本は「美術」「歴史」「文学」「旅」をテーマとするヴィジュアルの入門書、案内書のシリーズです。創刊は1983年。シリーズ名は「視野を広く持ちたい」という思いから名づけたものです。
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