とんぼの本


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川瀬敏郎 一日一花

2012年11月
2012年11月30日(金)



京にも霜が降りはじめるころ。
菓=京の土/亀末廣(京都)
器=鎌倉彫菓子盆 三橋了和作 大正時代

2012年11月29日(木)



村雨は無季ですが、菓子では晩秋から初冬の味わいです。
菓=梅花むらさめ/小山梅花堂(岸和田)
器=初期伊万里白磁陰刻草花文皿 江戸時代初期

2012年11月28日(水)



敷松葉に落葉、晩秋の美しい景色です。
菓=錦台、枯松葉/亀屋伊織(京都)
器=貼紅葉輪花雲錦文菓子盆 十二代飛来一閑作 明治時代

2012年11月27日(火)



うっすらと霜化粧した紅葉。冬はすぐそこです。
菓=落葉の霜/嘯月(京都)
器=古清水透七宝文壺形段重 江戸時代

2012年11月26日(月)



冬枯の前、山はひとときのにぎわいを見せます。
菓=錦繡/嘯月(京都)
器=古清水透七宝文壺形段重 江戸時代

2012年11月25日(日)



山の景色は久しからぬもの。
菓=秋の山/嘯月(京都)
器=古清水透七宝文壺形段重 江戸時代

2012年11月24日(土)



ちはやぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くぐるとは
菓=龍田川/二条駿河屋(京都)
器=色絵光琳文様雲錦文中皿 永楽得全作 明治時代

2012年11月23日(金)



餡だけでなく柿、栗も包まれています。新茶を詰めた茶壺とともに干柿と栗を持参するのが、古来からの茶師のならい。
菓=亥の子餅/鍵甚良房(京都)
器=赤織部輪花鷹羽文四方皿 江戸時代

2012年11月22日(木)



小雪。今年は正式な初亥の日と重なります。
菓=御玄猪餅/川端道喜(京都)
器=朱塗供物台 伝宇佐八幡宮旧蔵 江戸時代

2012年11月21日(水)



このたびは幣もとりあへず手向山紅葉の錦神のまにまに
菓=手向山/紫野源水(京都)
器=色絵乾山写雲錦文木瓜鉢 仁阿弥道八作 江戸時代

2012年11月20日(火)



散るは浮き散らぬは沈む紅葉の影は高尾の山川の水(松平不昧)。不昧公好みの菓子としてつとに名高く、俗にいう日本三銘菓のひとつ。
菓=古代山川/風流堂(松江)
器=蒔絵浦千鳥文高杯 木屑軒三好也二作 明治時代

2012年11月19日(月)



宗旦忌。裏千家では利休の孫、元伯宗旦を偲ぶ行事が行なわれます。手植えの銀杏にちなんだ餅菓子はこの日から。
菓=銀杏餅/緑菴(京都)
器=織部扇面誰ヶ袖片身替鉢 桃山時代

2012年11月18日(日)



春秋を飾る二人の姫。紅葉は龍田姫がもたらします。
菓=龍田姫/末富(京都)
器=吉田屋九谷額鉢 江戸時代

2012年11月17日(土)



開炉のごちそう。餅を焼くか焼かないか。私は焼きます。
菓=善哉/手製
器=秀衡椀 室町時代

2012年11月16日(金)



わずかな色の違いが風趣を添えます。
菓=山みち/嘯月(京都)
器=白磁四方台鉢 李朝時代

2012年11月15日(木)



七五三。金太郎飴、とも思いましたが。晴れやかな一日になりますよう。
菓=深山の錦/末富(京都)
器=色漆捻形高杯 象彦作 明治時代

2012年11月14日(水)



木守はとりのこされた柿の実のこと。長次郎の赤茶碗「木守」にも利休の逸話が残ります。
菓=木守/三友堂(高松)
器=狭貫堆朱屈輪文四方盆 玉楮象谷作 江戸時代

2012年11月13日(火)



ざんぐりとした白菊。真っ白な花など、本当は稀です。
菓=栗餅/二条駿河屋(京都)
器=絵唐津輪花向付 江戸時代

2012年11月12日(月)



奥山に紅葉踏みわけなく鹿の声きくときぞ秋はかなしき
菓=澤鹿/澤鹿文明堂(徳島)
器=鼠志野四方鉢 加藤唐九郎作 昭和時代

2012年11月11日(日)



光悦会の日。鷹ヶ峰を紅葉が彩ります。この時期に喜ばれる華やぎです。
菓=吹寄せ/亀屋伊織(京都)
器=籠地一閑張箕形菓子器 十四代飛来一閑作

2012年11月10日(土)



乙亥(きのとい)の日。旧暦では9月27日ですが、昨今では炉開きの頃。
菓=亥の子餅/川端道喜(京都)
器=彩漆萬歴文食籠 佐野長寛作 江戸時代

2012年11月9日(金)



黒糖羊羹の衣で栗を包んだお菓子。虫のよう、といって叱られたことが。
菓=山里/亀末廣(京都)
器=三島鉢 李朝時代

2012年11月8日(木)



八重葎しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり(恵慶法師)
菓=八重葎/末富(京都)
器=シリンダー 西村圭功作 現代

2012年11月7日(水)



立冬。柿は冬の訪れを知らせる果実でもあります。
菓=柿羊羹/つちや(大垣)
器=浄法寺塗桃絵皿 江戸時代初期

2012年11月6日(火)



竹皮が風趣を添えています。はずして盛るのは野暮でしょう。
菓=竹裡/亀末廣(京都)
器=志野足付四方向付 桃山時代

2012年11月5日(月)



薯蕷の白と、栗蒸羊羹の黒。これも秋の色目です。
菓=上り栗/松華堂(半田)
器=八代焼手鉢 江戸時代

2012年11月4日(日)



栗のお菓子のなかでも鹿の子が最も贅沢と思います。
菓=栗鹿の子/御倉屋(京都)
器=織部木葉形皿 桃山時代

2012年11月3日(土)



秋のきんとんといえばここです。
菓=栗きんとん/嘯月(京都)
器=溜塗独楽形銘々皿 西村圭功作 現代

2012年11月2日(金)



栗と餡を薯蕷皮で巻いたもの。山の豊かさを思います。
菓=山づと/末富(京都)
器=三島手雲鶴文鉢 青木木米作 江戸時代

2012年11月1日(木)



茶席はいよいよ炉開きの季節。昔から「織部」は開炉の贅沢です。
菓=織部薯蕷/御倉屋(京都)
器=織部四方平鉢 桃山時代

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)


1976年愛媛県生れ。神戸大学法学部卒業。少年期より裏千家茶道を学び、1997年に芳心会を設立。京都、東京で稽古場を主宰しつつ、雑誌の記事やテレビ番組、展覧会等の監修を手がける。2008年、日本博物館協会顕彰。2011年、JCDデザインアワード金賞。2011年、宇和島大賞。著書に『茶の湯デザイン』『千利休の功罪。』(ともに阪急コミュニケーションズ)、『利休入門』(新潮社とんぼの本)など。


とんぼの本は「美術」「歴史」「文学」「旅」をテーマとするヴィジュアルの入門書、案内書のシリーズです。創刊は1983年。シリーズ名は「視野を広く持ちたい」という思いから名づけたものです。
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