とんぼの本


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川瀬敏郎 一日一花

2012年09月
2012年9月30日(日)



今日は中秋の名月。月の女神への捧げものです。
菓=月読/愛信堂(京都)
器=白磁台鉢 黒田泰蔵作 現代

2012年9月29日(土)



泡雪のような口あたりに、月のはかなさを思うお菓子。
菓=月世界/月世界本舗(富山)
器=一閑張黒四方盆 宗全好 一閑作 江戸時代

2012年9月28日(金)



待宵。有職故実にもとづく色あいが美しい月見団子です。
菓=風流団喜/末富(京都)
器=根来塗高杯 室町時代

2012年9月27日(木)



カステラのもとといわれる南蛮菓子。平戸松浦家の御止め菓子でもありました。見事な月色。
菓=カスドース/蔦屋(平戸)
器=萩十字文割俵形鉢 江戸時代

2012年9月26日(水)



月は隈なきをのみ見るものではありません。
菓=月代/聚洸(京都)
器=古染付山水人物文木葉形向付 明時代末期

2012年9月25日(火)



半なまのおこしで餡を包んだもの。かすかに雁の焼印も。秋の侘び。
菓=雁宿おこし/松華堂(半田)
器=蒔絵秋草文手付丸盆 江戸時代後期

2012年9月24日(月)



ところは変れども変らぬ月の姿を思って。
菓=江出の月/志乃原(高岡)
器=砂張青海盆 初代魚住為楽作 昭和時代

2012年9月23日(日)



月の香りとは、なんともゆかしい銘ではないでしょうか。
菓=月香/笹屋友宗(岡山)
器=唐物黒漆輪花盆 明時代

2012年9月22日(土)



彼岸の中日。宮中でも供された菓子。「おはぎ」は萩乃餅の女房言葉ともいわれます。
菓=萩乃餅/川端道喜(京都)
器=根来塗台鉢 桃山時代

2012年9月21日(金)



千代見草も菊の異名。斬新な意匠ですが、とても古いお菓子です。
菓=千代見草/とらや(京都)
器=色替捻文高杯 樂弘入作 明治時代

2012年9月20日(木)



心ひかれるのは大輪の菊だけではありません。
菓=野辺の菊/吉はし(金沢)
器=朽木盆 江戸時代

2012年9月19日(水)



今日は彼岸の入り。まさり草とは菊の異名です。
菓=まさり草/聚洸(京都)
器=菊図詩画重色紙形銘々皿 尾形乾山作 江戸時代

2012年9月18日(火)



川越名産の薩摩芋を用いた郷土菓子。銘が素敵で、古くから茶人に愛されてきました。
菓=初雁焼/亀屋(川越)
器=朽木盆 江戸時代

2012年9月17日(月)



白い百合根は夜空をゆく雁。黒糖の香りと百合根のシャリっとした歯ざわりは初秋のごちそう。
菓=初雁/末富(京都)
器=初期伊万里吹墨兎文皿 江戸時代初期

2012年9月16日(日)



落雁とは、白地に散る黒胡麻を空飛ぶ雁に見立てた名とも。その由来とされる古いお菓子です。
菓=糸巻御所落雁/河内屋(富山)
器=唐物内朱漆四方盆 明時代末期

2012年9月15日(土)



さなづらとは山ぶどうのこと。そろそろ山中では秋の実りも。
菓=さなづら/榮太楼(秋田)
器=秀衡椀 室町時代

2012年9月14日(金)



葛も名残りになりましたが、まだこの口あたりが恋しい残暑の頃です。
菓=葛焼/三はし堂(日本橋)
器=朝鮮砂張祭器 李朝時代

2012年9月13日(木)



表千家では中興の祖、如心斎の天然忌が行なわれる日。大徳寺納豆入りの侘びたお菓子です。
菓=如心納豆/千歳屋(京都)
器=蒔絵淀水車文小食籠 初代長野横笛作 江戸時代

2012年9月12日(水)



モダンなかたちと銘、泡雪羹の軽さも心地よい。
菓=月旅行/鍵善良房(京都)
器=朝鮮砂張碗 高麗時代

2012年9月11日(火)



万戸衣(きぬ)を擣(う)つの声。こし餡を葛で巻いただけですが、それが見事にむつかしい。
菓=巻絹/松華堂(半田)
器=呉須青絵大鉢 前田家伝来 明時代末期

2012年9月10日(月)



雁来紅とは葉鶏頭のことです。雁が来る頃、まっさきに色づくことから。
菓=雁来紅/亀廣保(京都)
器=一閑張矢筈盆 飛来一閑作 大小二組ノ内 江戸時代

2012年9月9日(日)



重陽の節句といえば着せ綿のお菓子。菊に綿をのせた風情です。菊花の露でしめらせた綿で肌をぬぐうと美人になる、と昔の人は信じていました。
菓=着せ綿/聚洸(京都)
器=黒漆夜菊文銘々皿 近藤道恵作 江戸時代

2012年9月8日(土)



菊は不老長寿の上薬でした。
菓=菊寿糖/鍵善良房(京都)
器=脚付菓子器 仙叟好 駒澤利斎作 江戸時代

2012年9月7日(金)



今日は白露。ようやく露という語に思いがゆくようになりました。
菓=秋の露/松華堂(半田)
器=古九谷草花文大鉢 江戸時代初期

2012年9月6日(木)



露をふくんだ女郎花。七草のなかでも心ひかれる花です。
菓=女郎花/愛信堂(京都)
器=仁清写武蔵野図透鉢 二代須田菁華作 昭和時代

2012年9月5日(水)



月のお菓子もいろいろですが、この時期はまだ寒天が好まれます。
菓=水面の月/源水(京都)
器=赤楽鷺文鉢 樂宗入作 十代旦入所持 江戸時代

2012年9月4日(火)



餅菓子の食感も、やっと恋しいと感じる季節になりました。
菓=桔梗/塩野(赤坂)
器=草花文土器皿 尾形乾山作 江戸時代

2012年9月3日(月)



映るとも思わぬ月を映すとも思わぬ水に映して。
菓=水月/末富(京都)
器=初期伊万里写吹墨兎文皿 加藤清允作 現代

2012年9月2日(日)



孟秋は初秋の意。こなしや練切といった素材は、暑さがやわらぐと嬉しいもの。
菓=孟秋/塩野(赤坂)
器=古伊万里吸坂手鶴文輪花皿 江戸時代初期

2012年9月1日(土)



加賀名産の小坂蓮根を用いたもの。シャリッとした食感がみずみずしく、秋の訪れを思います。
菓=蓮根羹/森八(金沢)
器=蓮の葉

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)


1976年愛媛県生れ。神戸大学法学部卒業。少年期より裏千家茶道を学び、1997年に芳心会を設立。京都、東京で稽古場を主宰しつつ、雑誌の記事やテレビ番組、展覧会等の監修を手がける。2008年、日本博物館協会顕彰。2011年、JCDデザインアワード金賞。2011年、宇和島大賞。著書に『茶の湯デザイン』『千利休の功罪。』(ともに阪急コミュニケーションズ)、『利休入門』(新潮社とんぼの本)など。


とんぼの本は「美術」「歴史」「文学」「旅」をテーマとするヴィジュアルの入門書、案内書のシリーズです。創刊は1983年。シリーズ名は「視野を広く持ちたい」という思いから名づけたものです。
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