とんぼの本


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川瀬敏郎 一日一花

2012年07月
2012年7月31日(火)



口に含めばほのかにペパーミントが香ります。染付の器とあわせると、涼感そのもの。
菓=婦くみづ/亀末廣
器=古染付城閣人物図平皿 明時代末

2012年7月30日(月)



豆の味がしっかり感じられるつぶ餡。上質です。
菓=大福/菊寿堂義信
器=楡蓋皿 赤木明登作 現代

2012年7月29日(日)



こくのある餡とさっくりしたふのやきのとりあわせ。こうしたお菓子で薄茶を飲むのはよいものです。
菓=茶三昧/亀末廣
器=沢栗刷毛目雑木盆 村瀬治兵衛作 現代

2012年7月28日(土)



はまぐりの殻を用いた、富山県高岡のお菓子。北陸のひなびた海に思いが誘われます。
菓=磯ちどり/志乃原
器=手付籠 池田瓢阿作 昭和時代

2012年7月27日(金)



土用の日。暑気払いに手強い餡を。
菓=高麗餅/菊寿堂義信
器=李朝白磁台鉢 李朝時代

2012年7月26日(木)



大徳寺納豆を葛で包んで蒸しあげています。夏の侘びというべきもの。
菓=杣づと/亀末廣
器=李朝白磁台鉢 李朝時代

2012年7月25日(水)



大阪では天神祭の日。大阪の名店の名物です。
菓=葛ふくさ/菊寿堂義信
器=義山霰切子皿 明治時代

2012年7月24日(火)



稚児は神と人のあいだの存在。祇園祭の後祭、その久世駒形稚児を思って。
菓=稚児の袖/末富
器=仁清写祇園神紋絵盃 永楽即全作 昭和時代

2012年7月23日(月)



私の郷里宇和島では和霊大祭の日。故郷の南蛮菓子です。
菓=唐饅頭/木下正月堂
器=唐物七宝手鉢 明時代末

2012年7月22日(日)



器をさきに決めて、お菓子はあとから、ということもままあります。
菓=青瓢/愛信堂
器=夕顔蒔絵手箱 江戸時代初期

2012年7月21日(土)



いわずと知れた祇園名物。器次第で茶事にも。
菓=葛きり/鍵善良房
器=義山千筋蓋物(春海バカラ) 明治時代

2012年7月20日(金)



水辺の景色。もっと単純化した葦鷺もあります。
菓=葦、鷺/亀廣保
器=唐物真塗四方盆 明時代

2012年7月19日(木)



道喜さんでは季節により色と焼印を変えています。女官の薄い唐衣を思います。
菓=薄衣/川端道喜
器=天龍寺青磁端反鉢 南宋時代

2012年7月18日(水)



禅問答のような銘は、餡にわずかにこぼれる白を見立てたもの。濃厚な甘さもかえって酷暑にふさわしい。
菓=夏の霜/亀末廣
器=沢栗片木皿 村瀬治兵衛作 現代

2012年7月17日(火)



いよいよ山鉾巡行の日。提灯をかたどった葛のお菓子とバカラの器のとりあわせ、この華やかさが好きです。
菓=稚児提灯/末富
器=義山捻子切子鉢(春海バカラ) 明治時代

2012年7月16日(月)



この日だけ作られる、役行者にちなんだお菓子。味噌餡が包まれています。
菓=行者餅/柏屋光貞
器=根来塗角切盆 室町時代

2012年7月15日(日)



調布ともいう焼いた生地は、夏に喜ばれます。
菓=吉兆あゆ/大極殿本舗
器=渦蒔絵山道盆 堅地屋清兵衛作 江戸時代

2012年7月14日(土)



菊水鉾の茶席で用いるもの。利休の師、紹鴎屋敷の菊水の井戸に由来します。
菓=したたり/亀廣永
器=古染付菊印花皿 明時代末

2012年7月13日(金)



葛の羊羹。蒸してあるため、むちむちした食感に。
菓=葛羊羹/緑菴
器=古染付祥瑞手平皿 明時代末

2012年7月12日(木)



組立てた鉾を試し曳きする日。京都の7月は、どうしたって祇園祭です。
菓=祭笠、引網/末富
器=ピューター盆

2012年7月11日(水)



青竹が涼しそう。江戸時代から続く演出です。
菓=甘露竹/鍵善良房
器=備前四方皿 桃山時代

2012年7月10日(火)



祇園祭の鉾建ての日。鉾の裾巻をかたどっています。
菓=祇園会/緑菴
器=仁清写色絵長刀鉾絵皿 昭和時代

2012年7月9日(月)



菓子盆の上の景色を愛でる、そんなお菓子の典型。
菓=瀧煎餅、青楓/亀屋伊織
器=南鐐青海盆 金谷五郎三郎作 明治時代

2012年7月8日(日)



淡い紅白の糸巻。七夕のお菓子です。
菓=糸巻/末富
器=沢栗乱挽盆 村瀬治兵衛作 現代

2012年7月7日(土)



織姫と彦星。眼目は餅団子の間合いです。
菓=天の川/川端道喜
器=芙蓉絵重色紙皿 尾形乾山作 江戸時代中期

2012年7月6日(金)



七夕にちなんだ銘(たまおりひめ)を持つ、糸の神様のお菓子。五色の味はそれぞれ違います。
菓=珠玉織姫/松屋藤兵衛
器=黒四方鉢 赤木明登作 現代

2012年7月5日(木)



旧暦6月1日が氷室開き。氷が欲しくなる季節です。
菓=京氷室/柏屋光貞
器=唐銅竹水彫青海盆  九代中川浄益作 明治時代

2012年7月4日(水)



五色の和三盆。銘が見事です。松華堂さんは愛知県半田の名店。
菓=星の雫/松華堂
器=唐物真塗四方盆 明時代

2012年7月3日(火)



三重県桑名のお菓子。乳白色の葛と緑の餡。食感の違いを楽しんでください。
菓=浮草/花乃舎
器=江戸型吹硝子菊鉢 江戸時代後期

2012年7月2日(月)



昨日が祇園祭の吉符入(初日)でした。木瓜と巴は八坂神社の神紋です。
菓=団扇、波/亀屋伊織
器=唐物砂張青海盆 明時代

2012年7月1日(日)



豆大福です。この豊かさこそが「お菓子」といつも思います。
菓=豆餅/出町ふたば
器=根来塗懸盤 室町時代

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)

茶人 木村宗慎(きむら そうしん)


1976年愛媛県生れ。神戸大学法学部卒業。少年期より裏千家茶道を学び、1997年に芳心会を設立。京都、東京で稽古場を主宰しつつ、雑誌の記事やテレビ番組、展覧会等の監修を手がける。2008年、日本博物館協会顕彰。2011年、JCDデザインアワード金賞。2011年、宇和島大賞。著書に『茶の湯デザイン』『千利休の功罪。』(ともに阪急コミュニケーションズ)、『利休入門』(新潮社とんぼの本)など。


とんぼの本は「美術」「歴史」「文学」「旅」をテーマとするヴィジュアルの入門書、案内書のシリーズです。創刊は1983年。シリーズ名は「視野を広く持ちたい」という思いから名づけたものです。
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