001便 航空会社の上級会員って何?
●陸マイラーから修行僧へ
日々の生活でクレジットカードやポイント制度を活用し、航空会社のマイレ
ージを貯めている方も多いのではないか。貯めればそれを特典航空券に変えて
家族旅行などをお得に楽しむことができるのが魅力だ。
飛行機に乗らずして、マイルを貯める人を「陸マイラー」や「おかマイラー」と呼ぶ。
私自身も、長年「陸マイラー」の端くれとして、日々の生活費はできるだけ
クレジットカードを使い、ネットショッピングする際もポイントが多くもらえ
るサイトを経由して買い物するなどしてポイントを貯め、マイルに交換してき
た。しかしながら特典航空券に開放される座席数は多くなく、行きたい日程で
特典航空券の予約が取れないのが悩みでもあった。
ある日、私は全日空(ANA)の上級会員である友人と海外旅行に出かけた。
彼女の上級会員カードがあるだけで、同行者である私までもが待ち時間は専
用のラウンジで軽食とアルコールを飲みながら過ごせ、到着空港では預けて
いた手荷物が優先的に出てくるなど普段の旅行とは違うワンランク上のサー
ビスに感銘を受けた。
その友人も以前別の上級会員の友人と旅をして、上級会員になるため
に「マイル修行」を決心したという。上級会員になるには買い物でポイントを
集めてマイルに変えているのではダメで、1年間に既定の距離か回数分
を実際に飛行機に乗らなくてはいけない。どこかへ行くのが目的ではなく、
ただひたすら必要なマイルを稼ぐために何度も飛行機に乗り続ける。それに
は経済的にも、肉体的にも苦痛も伴うため僧侶の修行にたとえられ「マイル
修行」とか「修行」という俗語まで誕生した。マイル修行をする男性は「修行
僧」、女性は「修行尼」と呼ぶ。
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中部国際空港国際線のJALサクララウンジ。ビジネス、ファーストクラスの乗客と、提携航空会社の上級会員のみ利用可能。
出発前のひとときを飛行機を見ながら、アルコール類を楽しむことができる。
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成田空港第1ターミナルにあるANAラウンジ。ここにはシャワーもあり、さっぱりしてから搭乗できるのはうれしい。
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●上級会員のメリットとデメリット
そのような「修行」までして上級会員になるメリットははたしてあるのだろうか
?結論から言ってしまえば、年に1、2回だけ飛行機に乗るだけならばお得感
は少ないかもしれない。特に安く目的地にさえつけばよいという考えの人には
向かない。
ただ、修行の過程を楽しむ人も多くおり、毎年修行をする人もいるぐらいだ。
鉄道ファンで言うこところの「乗り鉄(鉄道に乗ることが好きな人)」の飛行機版
のような形で楽しむ修行僧もいる。鉄道はどれだけ乗っても何ももらえないが、
飛行機にたくさん乗れば上級会員になれるのも魅力のひとつのようだ。
一方、社用でヨーロッパを年に数回往復するような場合、足りないマイル数
分だけ自腹で週末に修行して上級会員になる人もいる。デメリットとしては、
やはりお金と時間、綿密なプランニングが必要なことだろう。また、無駄に飛行
機に乗るために家族や職場の理解が得にくいと悩む修行僧も存在するようだ。
上級会員になると、エコノミーチケットでもビジネス客用のチェックインカ
ウンターで受け付けてもらえる、ラウンジが使えるなどの他、数々のサービス
を受けることができる。たとえば日本航空の場合サファイア会員になれば、専
用予約デスク、予約時の優先キャンセル待ち、マイルボーナス、優先搭乗、到
着空港での荷物の優先引き渡し、受託荷物の無料許容量の優待などが利用でき
る(詳細はhttp://www.jal.co.jp/jalmile/flyon/sapphire.html)。特に社用
族に人気なのはキャンセル待ちの優先で、当日飛行機が欠航になった場合でも
次の飛行機でのキャンセル待ちが一般より優先される。雪や台風で欠航が出や
すい、北海道や沖縄便の利用者にはこのメリットのだけのために修行する人
もいる。また、特典航空券の枠も一般会員とは違うので予約がとりやすいのは
陸マイラーにはうれしい。
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ファーストクラス、ビジネスクラス、上級会員が預け入れ手荷物につけてもらえるプライオリティタグ。
到着空港で、預け入れ手荷物を素早く手にすることができるため、到着後の時間を有効に利用できる。 |
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2013/01/20
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