海の家:「クラブ化」阻止 県が開設を認めない指針 /神奈川
毎日新聞 2013年06月21日 地方版
夏本番を前に、県内の海水浴場では海の家の建設が急ピッチで進む。大音量で音楽を流して若者がダンスに興じる「クラブ化」が昨夏、湘南の一部ビーチで問題になったことを受け、県はクラブ形態の海の家開設を認めないことなどを盛り込んだガイドラインを初めて作り、県内22の海水浴場に示した。ただ、海水浴場によって受け止めに温度差がある。県のクラブ化締め出し策は功を奏するか。
藤沢市の片瀬海岸西浜海水浴場では昨夏、「重低音がうるさい」との苦情が近隣住民から絶えなかった。藤沢署によると、酔った水着姿の男女が踊って騒ぎ、けんかなどでの110番出動がひと夏で500件を超えた。
市はクラブ化しそうな海の家の自粛を市内三つの海水浴場組合に要望。西浜の江の島海水浴場協同組合は、海の家で音楽を流すことを禁じた。新井進専務理事は「事態がエスカレートして条例で規制されて困るのは海の家の経営者。自主規制を徹底する」と語る。
この対応を受けて県砂防海岸課は5月、クラブ風の海の家を開いていた業者が近隣海水浴場に流れることを懸念して、(1)クラブ形態の海の家は認めない(2)騒音対策をきちんとする−−など12項目のガイドラインを県内の海水浴場に示し、自主規制を求めた。
しかし、「音楽のない海の家なんて」というのが大半の海水浴場の考え。県内のトップを切って28日に海開きする逗子海岸は、恒例のキマグレンのライブハウス「音霊(おとだま)」を夏中オープンする。
鎌倉市の海水浴場は従来より遅い7月9日に海開き。松石健宏・市海水浴場連合会代表は「大人のリゾートを目指し、波音が聞こえる中でのジャズやハワイアンのライブを企画している」と話す。
逗子、鎌倉とも「新しい海の家開設希望者は厳しくチェックした」と強調する。増田元秀・県海水浴場組合連合会副会長は「規制だけすればいいのだろうか。エネルギーが有り余る若者の健全な発散方法について考えていきたい」と話した。【永尾洋史】