番外編 情熱
俺は3人の息子を授かり、子どもの頃より厳しく育てた。
上の2人はできが良く、あまり手がかからない。
特に長男のフイに至っては、
スキルに[千里眼]を持つ天才だ。
ライは気づいてないが、
ダンジョンに行くときはいつでもフイの千里眼に見守られている。
フイはいい兄になったなぁ。
2人の成長は凄まじく、気づけばもう私が引退したときのランクCにいる。
お金も結構貯まっているはずだが、それでも怠けることも驕り高ぶることもない。
2人の成長は俺の生きがいだ。
問題は三男だ。
親の俺が言うのも可哀想だが、才能がない。
スキル[怪我の治りが早い]には、あの優しい母さんでさえ笑った。
面倒見のいいフイも、三男には興味を示さない。
しかも三男は臆病過ぎる。
実戦を怖がり、いつも素振りばかりしている。
14歳になったサイに俺は荒治療を施すことにした。
ダンジョンに行かせ、一人にさせたのだ。
一人になって危機に遭遇したとき、サイの中で何かが変わるのではないかと期待した。
結果、サイは変わった。
ライの呼びかけで部屋に行くと、
そこには剣を美しく操るサイがいたのだ。
当然、あんな美しい剣捌きはライもフイ出来ない。
それどころか、今まで見た誰よりも美しい剣捌きをしていた。
俺はとんでもない天才を見過ごしていたようだ。
そういえば、あの子は子どもの頃から素振りばかりしていた。
それがダンジョンに行くことで、才能が目覚めたのか?
まぁ、原因は何でもいい。
俺は自分の夢とサイの将来のために走った。
家族にはバレていないが、
実は俺は貴族とか王族に憧れがある。
健康に産んでくれた両親には感謝しているが、子どもの頃からキラキラした服を着る貴族達に憧れた。
ハンターとして上り詰めれば、貴族の称号を貰えるが、俺にそれほどの才能はなかった。
だが、その夢を息子が叶えてくれそうだ。
俺は息子の将来のために馬を走らせた。
いや正直に言おう、ほとんど自分の夢のために馬を走らせた。
この情熱があれば国王だって口説き落せる!!
そんな気がする!!
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。