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  EXP×1000 作者:avu
バカな兄達
転生しちゃったみたいです。

こっちの世界で生まれたけど、前世の記憶があります。

普通の人生を生き、孫たちに囲まれ逝ったはずなんですけど。

気づくとハンターの家系に生まれ、ハンターとして育てられてます。

14歳になり始めてダンジョンへ行く許可が下りました。

私は出来が悪く、スキルも
〈けがの治りが早い〉という微妙なものです。

スキルは生まれた時から持っていて、たまに2つもって生まれる人もいます。

私みたいなパッとしないスキルもいれば、二人の兄のようにすぐれたスキルを持って生まれる人もいます。

スキルは最大10まで持つことができ、取得するには

1、モンスターを狩る
これがスキルゲットの主流です。全てのモンスターが持っているわけではなく、まぁ運です。

2、他人から奪う
これは最大のタブーです。犯した場合ギルドから抹殺されます。
ただし、ギルド監修のもとの決闘はあり。

3、突如スキルが生まれる
ごくごく少数です。


「早く来い」次男坊のライ兄さんが私を急かす。

「待ってください」優秀でダンジョン慣れしている兄たちに私がついていけるはずもなく、だんだんとおいて行かれました。

私の案内役とはいえ普段Cランクのダンジョンに潜っている兄たちにとって最低ランクのFダンジョンは退屈そのものなのだ。

でも、もう少し私のことを考えてもいいじゃないか。

正直、このダンジョンに出現する最弱のモンスター人食い蝿でさえ私は怖くてしょうがないのだ。

特別なスキルもなくレベルも低い私を置いていくなんて、こういうときの兄達ほど嫌いなものはない。

「ここはどこだ?」
私はとうとう出口も兄達も見失い、この薄暗いダンジョンで一人きりになってしまった。

さっきから足の震えが止まらない。

こんな時にモンスターが出たらどうしよう。
すぐ逃げよう。
どこに!?

はっきり言おう。私はテンパっている。

「もう嫌だ、帰りたい。兄さーん」
返事はない。あのアホ兄たちはどうせ奥深くの主を狩りに行ったに違いない。
お前たちは私の補助だろ!!役割を忘れるんじゃないよ。

その時だ、私の正面から人食い蝿が飛んでくるではないか。
一メートルはあるその巨体と高速に動く羽でぐいぐい迫ってくる。

「いやー!!怖い、きもい、兄さーん」
私は盾を投げつけ、逃げた。
剣も持っていたが、これだけは手放せない。

しばらく走って、後ろを振り向くと人食い蝿の姿は消えていた。
どうやら私に興味をなくしたようだ。

ほっと一息ついたが、すぐにまたテンパった。
だいぶ奥まで来てしまったようだ。

この辺は、キラーアントも出るエリアだ。
あいつらは獰猛だと聞く。見つかったら蠅のようには見逃してくれないだろう。

「どうしよ。バカ兄たちはどこ行ったんだよ」

私は一呼吸おいて、ダンジョンからの脱出を試みた。

場所はわからないが、勘を頼りに徐々に歩をすすめた。

だいぶ歩いただろうか、一か所に光輝く場所を見た。
「やった出口だ」

しかし、その光は出口ではなかった。

そこにいたのは、神龍。

「なっなんで!?」
私の反応は当然だ。
神龍がFランクダンジョンにいるはずがない。

神龍が存在するのは、最上位ダンジョンのSSランク、しかも【天空の園】のみである。

しかし、なぜかここに光輝く神龍がいる。

しかも、死にかけだ。目を開けるのも精一杯というとこだ。

私がとった行動はもちろん狩りである。
なぜ神龍がここにいるのか。
なぜ死にかけなのか、そんなのはどうでもいい。

神龍を狩って、素材を剥ぎ取り、売る!!
これで私は当分はダンジョンに来なくていい。

私は神龍の首元の傷をえぐるようにとどめを刺した。

神龍は半ばあきらめたのか抵抗すらしない。
私の剣が奥深くまでとどいたとき、神龍は息を引き取った。

「よし、これで私は大金持ちだ」

素材をはぎ取ろうとしたそのとき、神龍は光に包まれ消えた。
ん!?
そういえば、兄達から聞いたことがある。
これはモンスターからスキルをもらった時に起きる現象だ。

私は神龍からスキルをもらったようだ。


「サイ、生きてたか」声のしたほうから、ライとフイ兄さんが歩いてきた。
二人は【蟻塚】の主の素材を背負い戻ってきた。

「サイ、俺主の女王蟻からスキルもらったぜ。早く帰って確かめよう」
「Fランクだぞ、あんまり期待するな」フイ兄さんが興奮気味のライ兄さんに言った。
「そういうなよ、フイ。主からスキルもらったの初めてだからわくわくしてんだよ」

その後も二人は楽しそうに、話を続けた。
ふざけるな、私を一人にしておいて。
帰ったら父さんに文句言ってやる。
...まぁ情けないと怒られるのは私だろうけど。

ギルドにつくと二人は素材を売った。
ギルドの買い取り価格は200万㌱。

「Fランクでも主ってこんなにいくのか」
ライ兄さんだけじゃなく私も驚いた。

ちょっと分けてくれないかなぁ、まぁこの兄に限ってそんなことはあり得ない。

「次はスキルっと」ライはギルドにある水晶に手をかざすと、「おおっ!!」と一声。

「なんだったんだ?」フイ兄さんが聞く。
スキルは水晶に触れている本人しか見えないのだ。

「毒針だ。これから俺の攻撃はすべて毒の効果が出るらしい」 
「すごいじゃないか、さっそくダンジョンに行こう」
二人は楽しそうにギルドから出ていった。

あの二人は私が見えてないんじゃないかとも思えてきた。

まぁいい、私は私でやることがある。
私は水晶に手をかざし、得たスキルを確認した。

サイ
⁅怪我の治りが早い⁆
⁅EXP×1000⁆






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