【川原千夏子】中東を中心に広がっている重症急性呼吸器症候群(SARS)と同じ新種コロナウイルスについて、サウジアラビア保健省やカナダ・トロント大などの国際チームは19日、サウジの病院で人から人への感染が起きたと発表した。昨年9月以降、中東から欧州に拡大、計38人が死亡しており、世界保健機関(WHO)は警戒を呼びかけている。
国際チームは4〜5月、新種ウイルスの感染者が相次いで出たサウジ東部の病院で感染状況などを調べた。この結果、透析室や集中治療室などで患者から患者へ広がっていたことが分かった。医療従事者に感染したケースもあった。2003年に起きたSARSの大流行では、医療機関での集団発生から感染が広がったと考えられている。
調査結果は、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表した。
このウイルスは5月、「MERS(マーズ)コロナウイルス」と命名された。厚生労働省は、このウイルスによる感染症を「中東呼吸器症候群(MERS)」と呼ぶことを決め、国内へ上陸しないか、警戒を強めている。
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朝日新聞国際報道部